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砂塵りのケーナ  作者: 束間由一
第二章:愛の輝き
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急襲、ワイバーン


 アール人の生き残りで、魔物と融合させられたファムナと知り合い、力を借りることになったレイル達。要塞のさらに奥へと進む。





 地下40階に到達し、遂に最大の難関とノエリーが言っていたワイバーンの棲家(すみか)へとレイル達は足を踏み入れた。かつての戦争で、空からの攻撃に対抗するために作られた翼竜(よくりゅう)は、レイル達に容赦なく襲いかかる。直線状の一本道以外は底の見えない、落ちたら即死であろう崖になっている地形は、まるで彼らの動きに有利になるように作られたかのようだった。


 

 「2人とも、気をつけて」ファムナが言う。

 「奴らは近接攻撃だけじゃなく、炎も吐く。なるべく奴らの直線状に立たないようにして!」


 『はい!』ケーナとレイルの声が同時に出た。


 「向こうは、飛行している……それを止めれば十分に勝機はあるよ。幸い、このブロトロンの肉体は物理攻撃にも炎にも耐性がある。逃げきれない時は盾にしてその隙に攻撃すれば効果的だわ」


 「詳しいんですね」


 「私もかつては戦士だったのよ、ケーナ……さあ、慎重に行きましょう!」



 ワイバーンが、首を突き出して、レイル達に突撃(チャージ)してくる。

 レイル達は、言われたとおり肩面をファムナに立ってもらい、反対側の敵のみを狙う事にした。



 「翼を使えなくすればいいのなら! ……真空の刃よ、標的を切り裂け! <斬空爪(エアクロウ)>!」



 レイルの手から、風の刃が放たれる。その切れ味は鋭く、ワイバーンの翼を見事に切り落とした。翼を失ったワイバーンは奈落の底に落ちて行く。



 「やった!」ケーナが左手を強く握る。


 「ケーナ、いけるよ! あいつら、そんなに頑丈じゃ無いみたいだ」


 「そうだね。じゃあ、私の剣でも……」



 少女は、突撃に失敗し横切ったワイバーンに剣撃を加える。

 彼女の剣は、流石は王家の名剣。その翼をまるで紙のようにシュッと切り裂いた。



 そして、このようにワイバーン達を次々に崖の下に落としながら、3人は少しずつ前進し、遂に突破する事に成功した。新たなる仲間の存在のおかげで、レイル達は比較的楽にこの難関を突破できたのだ。


 

 「……はぁ」レイルが、大きく息をする。


 「よく頑張ったわね、2人とも」


 「ありがとうございます、ファムナさん。あなたのおかげで何とかなりました」


 「そんなことないわ。レイルの冥術、ケーナの剣技、どちらもワーバーンに対抗するには十分だった。あなた達でも十分乗り越えられたと思うわ」

 

 「そんな……」



 褒められて、顔が赤くなったレイルを、ケーナが小突く。


 

 「もう、照れちゃって…………でも、これで<歩みの種>まではあと少しなんですよね?」


 「そうね、もう魔物の巣窟のような場所は無いはずよ。ただ……」


 「え? まだ、何かあるんですか?」


 「あれが現れるかもしれない」


 「あれ?」


 「負の遺産のひとつがね……前に言ったでしょ? 私達は、ある魔物の暴走が元で壊滅したって」


 「はい…………まさか!」


 「そう、そのまさかよ。その魔物は、今もこの要塞のどこかにいる。もし出会ったら、最悪の事態だと思って」



 その、最悪の事態は、不運にも、この後レイル達に訪れるのであった。




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