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65 聖女

「俺、ちょっとアーシェのところに行ってくるよ。ブリンさんの家の息子さんが、足を折っちゃったみたいでさ。アーシェにみてもらいたいらしいんだ」


「……」


 仕事を終え家に戻ると、テーブルに向かい、黙々と針仕事をしている少女に声をかける。針を持つ手が止まり、少女はこちらに顔を向けると、こくんと頷いた。必要最低限の家具と日用品だけが置かれた、殺風景で薄暗い部屋の中で、彼女の白く整った顔だけが浮いてみえる。

 笑顔も、応答の声も最初から期待はしていなかったので、


「もうちょっと留守番よろしくな」


 言い残して、すぐに役目を果たすべくその場を去ろうとした。


「エリック」


 名を呼ばれ、振り返れば、自分と同じ黒い瞳と再び視線がぶつかる。


「……お天気が崩れそうだから、早く帰ってきてね」


 人形のような無表情に、今にも消えそうな、か細い声。だが、そこに確かに以前にはなかった彼女の変化を感じて、胸の奥から温かな熱がじわりと広がってくる。


「ああ、すぐに戻るよ。エレナ」


 思わず笑みをこぼすと、今度こそ家を後にした。


 エリックがアーシェと共にカロンの村に帰ってきてから、もう数ヶ月が経とうとしていた。


 カロンに戻ってきた時――意識を失っていたエレナはアーシェのおかげで再び目覚めることが出来た。エリックはアーシェに頼み込んだ。この村に残って欲しい。そして、エレナを助けて欲しい、と。王都で危ないところを救ってもらった上に、図々しい願いであることはよくわかっていた。返せるものだって何もない。それでもエリックにはもう、アーシェ以外に頼れる人間がいなかった。


 アーシェは、自分にもエレナを治せる保証はないと言ったが、結局は村に留まってくれた。どうせ王都には戻れないしね、と笑う彼女に罪悪感を覚えつつも、これでしばらくはエレナの命を繋ぎ止められる、と安堵した。


 あの日から、母の残してくれたこの小さな家に、エレナとアーシェと三人で暮らしている。


 エレナは最初、アーシェを拒否するでもなく、歓迎するでもなく、ただ淡々とアーシェとの暮らしを受け入れた。いつも無表情で、何を考えているかわからない、と村の他の子達にも敬遠されるエレナにも、アーシェは特に態度を変えることなく接してくれた。どんなに反応が乏しかろうと、彼女は毎日エレナに色々な話をして聞かせた。王都のこと、魔法のこと、大好きな恋愛小説のこと、いつか実現したい夢のこと……エレナはどう思っているのか、ただ黙って耳を傾けていた。


 突然現れて村に居座り始めた魔法使いを、大半の村人たちは戸惑いながらも受け入れてくれた。魔法使いは確かに珍しい存在だが、全く馴染みのないものでもない。隣国ディアマスとの国境が近いこの場所では、時折道に迷った旅人が村を訪れることがある。その中に魔法使いがいることも度々あった。エレナの症状を診て、エリックに王都へ行くよう助言したあの魔法使いのように。


 とはいえ、一部には孤児二人の家に同居し始めたアーシェのことを不審がる者たちもいた。だが、そんな彼らもすぐにアーシェを信用するようになった。


 アーシェはその魔法で、多くの村人たちを助けた。ある時は怪我人の傷を治癒し、火事を消し止め、またある時は遭難者を探し出してくれた。彼女はそのすべてに報酬を求めなかった。自分はもうエテルネル法院所属の魔道士ではない、魔法の対価にお金は受け取れないから、と。村人たちはせめてものお礼にと、食べ物や生活用品などを渡したが、彼女はそれで十分満足そうに微笑むのだった。


 そして、村人たちが彼女を完全に受け入れる事件が起こった。ある夜、魔物が村を襲ったのだ。

 赤い目をした魔狼たちが突如村を取り囲み、村人に牙をむいた。普段山奥深くに潜む彼らが、人里に降りてくるなど初めてのことだった。対抗する術がなく、混乱する村人たちを救ったのはアーシェだった。彼女は何匹もの魔狼たちを魔法ですぐさま追い払った。さらに、もう魔物が村に近づけないように、魔法で結界を張り、村を守ってくれた。


 この頃からだ。村人たちがアーシェのことを“灰色の聖女様”と呼び、慕うようになったのは。村人たちにとって、彼女の人助けを惜しまない態度と、魔物を退ける強力な魔法は、神や天使といった存在に近いものとして映ったらしい。


(聖女様って柄じゃないけどな)


 エリックは口元を緩めた。お世辞にも美人とは言いがたいし、口だって結構悪い。聖女というイメージからは程遠い。本人もそう呼ばれるのは照れ臭いのか、やめて欲しいと村人たちに懇願していた。


 けれど。自分とエレナにとっては確かに、“救世主”といっていい存在だ。


 アーシェが来てからも、エレナは時折意識を失った。その度に、アーシェが魔法で少女を目覚めさせる。不思議なことに、そうやってアーシェの力で目覚める度に、エレナに変化が見られた。以前は一切の感情を見せず、一日中一言も発さないことも珍しくなかったのに、最近では少しづつ口数が増え、自分の考えや想いを言葉にすることが多くなった。人であれ物であれ、何かに関心を示すことも増えた。表情こそ相変わらず乏しいものの、感情が豊かになってきているかのようだ。


 アーシェはあくまで現状維持しているだけで、決してエレナの病が良くなっているわけではない、と言ってはいたが、どうしたって期待してしまう。意識を失う頻度も減ってきているし、このままエレナは良い方向へ変わっていけるんじゃないか。そしていつか、未だ見たことのない彼女の笑顔が見られるんじゃないか、と。


 アーシェがいてくれれば、きっと全部上手くいく。

 そうみんなに思わせるものが、彼女にはあった。


「えーと、あいつ、どこにいるんだろう?」


 エリックは肩から下げたかばんから、小さなガラス玉を取り出した。透明な球体の中には、細長い三角形の板がふわふわと浮いている。細かな装飾が施されており、先端には虹色に煌めく石が埋め込まれていた。それは、球体をどう動かしても、ずっと同じ方向を指し示す。


 これは“魂の羅針盤”という魔道具だ。この球体の中の針は、常にアーシェがいる場所を教えてくれるらしい。これがあれば、魔力を持たないエリックにもアーシェの居場所がすぐにわかる。エレナがいつ意識を失っても、すぐにアーシェに助けを求めに来れるように、彼女からもらったものだ。


「これ、あげる。特別よ。 ……まさか、これをあなたみたいな子供に渡すことになるなんてね」


 羅針盤を渡す時、アーシェはなぜかそう言って苦笑していた。


 エリックは、羅針盤の指し示す先へと進んでいく。小さな村だ。すぐに見つかるものと思っていたが、村の出口まで辿り着いても、彼女の姿は無かった。どうやら村の外にいるらしい。アーシェはたまに人気のない場所で魔法の訓練をしている時があるから、今回もそれかもしれない。


 羅針盤を信じて、迷いなく村の外へと歩みを進める。白い息を吐きながら、薄く積もった雪を踏みしめ、足を動かす。雪の上には既に、向かう先も、大きさも数もばらばらの、人の足跡が複数あったが、どれが村の猟師のものか、アーシェのものなのか、判別はつかない。ただただ、羅針盤の示す先へと向かう。


 やがて、村外れの木立の中、木々の合間に、求める人の後ろ姿を見つけた。


「ア――――」


「まさか、こんなところでノーグ様に再会するなんて、思っても見ませんでしたよ」


 声を上げるより先に、アーシェの話し声が耳に飛び込んできて、口をつぐむ。どうやら、彼女は一人ではないらしい。


「俺もまさかお前が、法院を飛び出してこんなところにいるとは思わなかったぞ」


 低い男の声。聞いたことのない声だ。男の姿はここからでは木立に隠され、見えない。アーシェは一体誰といるのだろう。


「まあ、いろいろ事情がありまして」


「知ってるさ。法院にいれば、お前ならいずれ導師になれただろうに。見ず知らずのガキを助けるためにルゼルに盾突くとは、相変わらずお人好しだな」


 見ず知らずのガキ――自分のことだ。察してエリックは思わずしゃがみ込み、近くの茂みに身を沈ませた。盗み聞きをするつもりはなかったが、自分のせいでアーシェが居場所を失ったのだという、未だ拭い切れない罪悪感が、彼らの前に出ていく勇気を挫けさせた。


「人のこと言えます? ノーグ様だって法院に残っていれば、ガーム導師の一番弟子としていずれ導師になっていたじゃないですか。なのに、突然失踪して。あの時は法院中大騒ぎでしたよ。まあノーグ様って組織に縛られるのとかお嫌いそうでしたし? 自由を求めて旅にでも出たのかな〜ってディナも言ってましたけど、まさか国家転覆を企む逆賊になっていただなんて」


 どうやら相手の男はノーグという名前らしい。この村の人間ではない。先日、怪我をして村に運び込まれた、四人の遭難者のうちの一人だろうか。アーシェとは既知の仲のようだ。だが……国家転覆。逆賊。アーシェは雑談でもしているような、軽い調子だが、どうも話が穏やかではない。


「逆賊とはひどい言われようだな。この国から戦争をなくそうとしている、平和主義者だぞ、俺は」


「いえいえ。その只者じゃない鋭い目つきと、いかにも訳ありですって感じの眼帯は、とても平和主義者には見えませんって。逆賊じゃないなら……海賊かな。あ、でもここ山だから山賊?」


「相変わらずだな、お前は」


 ふざけた言い回しに、男が笑う気配がした。だが、すぐにその声音が真剣なものに変わる。


「アーシェ、お前、俺たちの仲間にならないか? お前の力が欲しい」


「お断りします」


 即答だった。まるでそう言われることを予想していて、予め返答を考えておいたかのような迷いのなさだった。


「なぜ? お前も戦争には反対していたろう?」


「戦争反対を掲げて、王に戦争を仕掛けるのって、矛盾してません?」


「綺麗事だけじゃ大義は成せないさ」


「……私はもう誰かを傷つけるのは嫌なんです。それが仮に正しいことなんだとしても」


 応えるアーシェの声音は低く、固い。


「アーシェ」


「別にノーグ様の選んだ道を否定する気も、邪魔をする気もありませんよ。ノーグ様にはノーグ様のお考えがあるのでしょうし……あ、でも村に迷惑をかける前に、早めに出ていってくださいね」


「わかっている。仲間の傷が治ったらすぐに出ていくさ。……で、お前はこの先どうするつもりなんだ?」


 エリックは息を殺し、全身を耳にして二人の会話に集中する。


「うーん、正直考えてませんね。まあ、この村でもうしばらくは、のんびりするつもりですけど」


 彼女の回答にほっと息を吐く。だが、男が続けて事もなげに言った。


「そう長くはここにいられんだろうな。法院は必ずお前の居場所を突き止めて、追手を差し向けるだろう。シグルトはお前を殺しにくるぞ」


(殺し――?)


 男の言葉に、吐き気にも似た不安感が腹の底から押し上がってくる。あの日、ルゼルとかいう少年魔法使いは、アーシェを殺そうとしていた。まだ諦めていないのか。この数ヶ月間をあまりに穏やかに、平和に過ごしていたせいで、もうあの日のことは終わったことなのだと勝手に思い込んでいた。


 シグルトがアーシェを殺しに来る? シグルトって誰だ?


「お前、あいつと戦えるのか?」


「まあ、私なんて先生の手にかかったら瞬殺でしょうね。確かにまともに戦いにならないかも」


 自分の命の危機の話だというのに、アーシェはあっけからんと言った。顔は見えないが、笑っているかもしれない。


「俺が言ってるのはそういうことじゃない。お前にあいつと殺し合う覚悟があるのかってことだ」


 男の確信に満ちた声が、問う。


「お前、あいつに惚れてるだろう?」


 ばくんと、心臓が跳ねた。

 アーシェはなんと答えるのだろう。

 怖い。

 怖い? 何がだ?

 一体何なのだろう、これは。

 自分で自分の感情がわからない。


 アーシェがふと顔の向きを変えた。横顔が見える。

 柔らかく下がった目尻、緩やかに上った口角。ほんのり紅く上気した頬。


 綺麗だ。 


「……さすがノーグ様。嫌なところ鋭いなぁ」


 それは初めて見る――恋をしている女の顔だった。

 心臓が、ギリギリと痛んだ。












「……アーシェ」


 目を開くと、窓の向こう、空高く登った太陽とまともに目があってしまい、エリックは眩しさに眉間にしわを寄せ顔を背けた。


 すると、自分が横になっている寝台の側に置かれた、小さなサイドテーブルの上に、寝る前にはなかったはずの小瓶があるのに気づく。身を起こして確認すれば、小瓶には半透明の緑色の液体が満ちており、下に置かれたメモ書きの上に緑の光を落としていた。


――――今日の分の薬です。これを飲みきったらもう薬は飲まなくて大丈夫。でもしばらくは無理はしないこと! ディナ


 メモ書きには綺麗な女性らしい字でそうしたためられていた。

 どうやら、自分が眠っている間に、ディナが置いていってくれたらしい。昨日王都に到着し、ディナとパリスは法院への報告や事後処理で相当慌ただしかったはずだ。だが、いまだ本調子ではない自分への薬は、しっかり忘れずに用意してくれたようだ。エリックは無意識に口元を緩めた。


 魔物と戦ったあの日――自分は倒れた。薄れる意識の中で、ディナが心配そうに何度も名を呼んでいたことだけは覚えている。後から聞いた話では、ディナは動揺しつつも、実に冷静に対処してくれたらしい。エリックに魔法が効かないとわかると、すぐさま傷口を火で焼き切って止血し、街に運ぶと、自ら増血剤を調合して飲ませた。彼女の的確な処置がなければ、自分は今ここにいなかっただろう。


――――ディナって言ってね。私の親友なの。とっても頼りになる、優秀な魔道士なのよ。もしまた王都に行くことがあれば、ディナを頼るといいわ。きっと助けてくれるはずよ。


 アーシェがいつも、彼女のことを嬉しそうに語っていたのを思い出す。だから、ディナもまた、アーシェのことを弾んだ声で語っているのを聞いた時は、二人は本当に親友同士としてお互いを大切に想っていたのだなと、微笑ましく思った。


「ディナも毎日ご苦労なこった。あいつ、お前に本気で惚れてるんじゃないか?」


 温かで穏やかな気分は、からかうような男の声ですぐに不快感へと変化した。

 声の方へ視線を移せば、部屋の隅に立つ眼帯の男。相変わらず、神出鬼没だ。自分が一人でいる時だけを狙って現れる。もちろん、彼はお尋ね者だから、正面からおおっぴらに自分を訪ねてくるわけにはいかないのだが。


「何しに来た?」


「説教しに、かな」


 ノーグはつかつかとベッドの側へと歩み寄ってくると、無遠慮に見下ろしてくる。幾分表情に険があり、不機嫌そうだ。


「怪我には気をつけろ、と忠告しただろう? お前があんな雑魚相手に負傷するなんて。一体何があった?」


「……」


「まあ、大方あの娘をかばって負った怪我だろうがな」


 図星だった。リシェルを森の中へ連れ去り、蛇に囲まれた時――離れた場所で彼女が蛇に襲われかけているのを見て、とっさに持っていた剣を蛇に向かって投げつけた。リシェルを襲おうとしていた蛇は剣に切り裂かれ絶命したが、代わりに丸腰になり隙を見せた自分は、情けないことに敵のひと噛みを許してしまったというわけだ。


「いいか、エリック。あの娘も確かになんとか手に入れたい重要な駒だが、お前自身だってこの戦いの切り札なんだぞ。もう少し自分を大事にしろ」


「……俺が、切り札? 役立たずの間違いだろ?」


 アンテスタに現れた魔物を倒すことも、エレナを取り戻すことも出来なかった。両方やってのけた男の憎い顔が頭を過ぎって、ぎりっと奥歯を噛みしめる。


「またえらく自信喪失したもんだな」


 ノーグは呆れたようにいい、力なく寝台に置かれたエリックの手を指差した。


「お前がその指先でほんの少し触れただけで、どんな強力な魔道士も、そう、俺も、ルゼルも、あのシグルトでさえも魔力を封じられ、ただの非力な人間に成り下がる。その力が切り札じゃなくて何なんだ?」


「……近づいて、触れられなければ意味がない」


「近づいて、触れるだけでいいんだ。簡単だろ?」


 あっさりと言い切るノーグに、六年前、彼と出会った頃のことを思い出す。


 住んでいた村も、エレナも、アーシェも、すべて奪われ、地に伏して泣いていた自分の前に現れたこの男は、言った。あの男に――シグルトに復讐する力が欲しくないか、と。一も二もなく男に付いていった先で待っていたのは、地獄のような日々だった。


 エリックの中に眠る破魔の力を覚醒させるため、男は毎日その魔力を少年の体に叩き込んだ。もちろん死なないように加減はされていたが、それでも毎日怪我を負い、満身創痍だった。だが、男は笑って言った。


――――こうやって毎日魔力をぶつけられていればいいんだ。簡単だろ?


 ボロ雑巾のように扱われる日々の中で、拾ってもらった感謝の念よりも、男への不信と敵意が上回ったある日、少年は力に目覚めた。


 幾度も男から浴びせられた魔力。いつしか感覚的に感じ取れるようになっていたそれを、目の前の男は確かに自分に向がって放っている。だが、それは自分の元へと届く前にすべて消失していく。

 ノーグは満足そうに笑った。


――――おめでとう。それが破魔の力だよ。なあ、簡単だったろう?


 この男は、本当に。

 エリックは不意に素早く手を持ち上げ、ノーグの方へと伸ばす。指先が触れる寸前――ノーグは後ろに飛び退いてそれを避けた。


「おいおい、何の真似だ?」


「……俺は、あんたが嫌いだ」


「知ってるよ。お前が敵意や憎悪を持って触れた相手は数日間は魔力を失う。嫌がらせのつもりなら勘弁してくれよ。俺もいろいろやることがあるんでね。今魔力を封じられるのは困る」


 ノーグは特に怒った様子もなく、肩をすくめた。


「……もう用は済んだろう? 帰れよ」 


「いや、もうひとつ報告がある」


 自身に向かって伸ばされた手が追い払うように振られても、ノーグは立ち去ろうとはしない。

 

「今日シグルトが国王と謁見した。王都を勝手に離れたことの申し開きのためにな。あの娘も一緒だ」


「一緒に……? それで、どうなった?」


 先程までの態度とは一転、顔をあげ食いついてきたエリックに、ノーグは口の端を持ち上げた。嫌な笑い方だ。


「何だ?」


「いや、お前がどういう顔するかと思ったら、おかしくてな」


「……早く言えよ」


 本当に、この男は嫌いだ。エリックは内心の苛立ちもあらわに、続きを促した。

 ノーグの笑みが深くなった。


「結婚するんだそうだ。シグルトとあの娘が、な」

久しぶりの更新になってしまいました汗

お読みいただきありがとうございます!

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