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第5話 チート・ピーラーが超チート

 ジェシーさんは昼ごはんの支度。

 俺はクロエちゃんと、雑談をしてた。

 カンカンとけたたましく鐘が鳴る音がする。


「クロエ、モンスターよ。戸締り、手伝って!」


 ご飯の支度をしてたジェシーさんが振り返ってそう言った。


「うん」


 モンスターの出現を報せる鐘の音らしい。

 めんどくさいな。

 だが、ここで動かない奴は、駄目だ。

 仕事でも、トラブルの時に積極的に動かない奴はクズ。

 この村がなくなったら、困る。

 とりあえずの拠点だからな。

 それに俺の生存率を上げるには行動しないと。


「ジェシーさん、こんな時の男達がやる仕事は?」

「討伐だけど、危険よ」


 まあ、死なない程度にやってみるさ。


「危なくない程度にやってみるよ」

「気をつけてね」

「薪割の斧を借して」

「ええ、もちろん」


 斧を手に、村の境界の柵へ急ぐ。

 男達が農具や、斧や、鉈などの思い思いの武器を手に集まっていた。


「ええと、旅人のタイセイだけど。加勢しに来た」

「おう、ひとりでも多いと助かる。柵でモンスターを受け止めて、隙間から攻撃してくれ」

「了解」


 危険度は少なそうだ。

 ポイント稼ぎに良さそう。

 モンスターはまだ見えない。

 村人が色々な話をしている。


「オーガウルフの群れだってよ」

「Cランクモンスターの群れか。Bランク相当だな。討伐は無理そうだ」

「追い返せれば問題ない。やつら痛い目に遭えば、来なくなる」

「死人がでないと良いけどな」

「そんなこと言うなよ。本当になるぞ」


 オーガウルフか。

 強そうな名前だ。

 きっと、狼型のモンスターだな。


 柵で受け止めるって作戦だから、モンスターに遠距離攻撃はないとみた。

 モンスターは素早さと力が凄いのだろうな。

 オーガっていうと筋肉馬鹿のイメージだから。


 モンスターが、見えてきた。

 でかいな。

 トラより大きい気がする。

 真っ赤で、角が二本あり、そして毛がない。

 ヘアレスドッグって言うんだっけな。

 でも、体型は狼だけど、なんというか顔つきがもはやオーガと狼の合の子のそれ。

 犬が好きな俺としては、これを狼とは言いたくない。


 オーガウルフは急加速して、柵に体当たり。

 柵が揺れて傾く。

 これは不味いんじゃないか。


「死にさらせ!」


 俺は斧を打ち込んだ。

 皮膚で斧が弾かれて、手が痺れて斧を落とす。


「かてぇ。オーガの名前を冠するだけはある」


 柵の隙間が広がり、オーガウルフが鼻面を差し込み、俺は噛まれそうになった。

 しゃがんで避ける。

 やばい。

 とっさに手にしたのは、ポケットから地面に落ちたピーラー。


 それで、オーガウルフを引っ掻いた。

 オーガウルフの皮が一瞬で剥ける。


「えっ! こんなのあり?! チート過ぎるだろ! チート舐めてた!」


 俺を噛もうとしたオーガウルフと言えば、なぜか動かない。

 死んでいるのか?

 皮を剥かれたら、死ぬのか。

 まあ、いいや。


「みなさん、これ使って」


 持ってたピーラー4個の全部を渡した。

 俺はやらん。

 ピーラーで引っ掻くなんて、恐くてできない。

 俺が仕留めるのを見てたのだろう。

 受け取った村人が、次々にオーガウルフの皮を剥く。


 皮がなくても、死なない個体もいるな。

 だが、皮がないと、出血が凄い。

 確実に弱ってる。

 いずれ死ぬと思う。


「こりゃ良いぜ! 硬い皮がなきゃ楽勝だ!」

「おう。硬くないオーガウルフなんて、Eランクも良いところだ」

「サクっとフォークが刺さったぜ」


 皮を剥かれ弱ってほとんど動かないオーガウルフに、俺も黙々と斧を振るう。


――――――――――――――――――――――――

レベルアップしました。

――――――――――――――――――――――――


 レベルが上がった時には、戦いは終りの様相。。

 オーガウルフのほとんどは死んだ。

 敵わないと思ったのか残りは逃げた。


「焼肉祭りだ!」

「久しぶりだな!」

「酒が飲める!」

「女衆を連れて来い! 解体だ!」

「皮をなめすぞ!」


「助かったぜ!」


 ピーラーを返しに来てくれた。

 ぴこん。


――――――――――――――――――――――――

スマイル100円、頂きました。

――――――――――――――――――――――――


「今回の英雄は、この旅人さんだ! 名前は?」

「タイセイだよ」


 俺はピーラーを渡しただけ、英雄の資格なんてない。

 利用しただけだぞ。

 この村が滅びたら、俺だって死ぬ可能性がある。

 それだけだ。


「タイセイ、ありがとな。英雄タイセイを讃えるぞ! 焼肉祭りの主役だ!」

「おう」


 憧れの視線がなんか、恥ずかしいような、嬉しいような。

 みんな笑顔。

 ぴこん。


――――――――――――――――――――――――

スマイル100円、頂きました。

――――――――――――――――――――――――


 どんどん、スマイル100円が入る。


 後始末が始まった。

 ぴこん。


――――――――――――――――――――――――

スマイル100円、頂きました。

――――――――――――――――――――――――


 女衆と子供達が来て、さらに、スマイル100円がたくさん入る。

 4千円を超えた。


 その視線を辞めろ。

 頬が緩むのを感じた。

 くそっ、投資だからな。

 それと俺の武器。


「ならばこれかな。【スマイル100円通販】」


 検索窓に、解体用ナイフと打ち込む。

 1万円を超えるような物もあるが、解体用ナイフ3千2百円をチョイス。

 このアイテムがどんな効果かは分からないが、解体を助けるアイテムには違いない。


「これ使って」

「よさそうだね。借りるよ」


 死骸に解体ナイフが刺しこまれると、一瞬で解体が終わった。

 やっぱりな。

 そんなことだと思ったよ。


 これって、生きてるモンスターにも有効なんだろうな。

 刺さらないと駄目とかそういう制約はありそうだけど。


 肉祭りと呼ばれてる宴会が始まった。

 みんなが酒を勧めてくるので、すぐにぐでんぐでんに酔ってしまう。

 オーガウルフの肉は美味かった。

 なので余計に酒が進む。


 もう、何が何だか分からん。

 気が付いたら、村の広場に寝てた。

 焼肉祭りは終わって、みんな撤収してる。


「酔いが抜けない。【スマイル100円通販】」


 検索窓に、酔い覚ましドリンクと打ち込む。

 この209円の奴で良いや。

 ぐびっと、一気飲み。

 酔いが綺麗さっぱりなくなった。


 残金が7千円近くになってる。

 解体ナイフでかなり使ったのに。


 肉祭りで、さらに貰えたんだな。

 酔っていて覚えてない。


 酔い覚ましドリンクは高いアイテムだと、能力が色々とあるんだろうな。

 肝臓が強化されて、解毒耐性が備わったりしてな。

 金に余裕ができたら試してみよう。


 村人は後始末に奔走してる。

 皮なめしは、結構手間が掛かるらしい。


 余った肉は干し肉にするようだ。

 でも、みんな笑顔。


 ぴこん。


――――――――――――――――――――――――

スマイル100円、頂きました。

――――――――――――――――――――――――


 おお、こりゃ今日はボーナスタイムだな。

 同じ人からでも、何度も貰えるようだ。

 時間差で、どんどん100円が貰える。

 ちなみにスマイル100円だが、目の前に居なくてもオッケーらしい。


 利用してしゃぶり尽くす。

 だって、笑顔貰っても減るもんじゃない。

 減っても一向にかまわないが。


 村での生活は、なんか良いなぁ。

 はっ、俺は何を思った?

 くそっ、認めるよ、ブラック企業の生活より、何倍もましだ。


 日本に帰りたい気持ちはある。

 だが、行き来できたら最高だ。


 ブラック企業なんか辞めたい。

 それにこのチートアイテムが日本でも使えるのなら、同僚もチートにしてやりたい。

 仲間も、会社を辞めたいだろう。


「【スマイル100円通販】。検索、異世界転移」


 該当商品はありませんと出た。

 検索、別世界。

 『その糖度はもはや別世界』か!

 あるのかよ。

 桃だった。

 3千3百円で10個。


 10回試せる。

 だが、元の世界に帰れるかは賭けだ。

 ギャンブルはやらない派だから、確信が持てるまで、お預けだ。


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