表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/244

4. 高円寺隠世

「やった………みたいだな」


「みごと討ち取りましたの」


「こいつは、あれかな………まさかあの暴走車に、跳ねられたヤツの霊なのか?」


「さて、それは知らないのですん」


「ところで、お前っていったい何者なんだ?」


「え? (あるじ)さま……?」


 幼い顔が驚いた表情を浮かべ、そして戸惑いを見せる。

 そしてしばらく黙って俯いてから顔を上げ、満面の笑みを浮かべながら話しだした。


「申し遅れました主さま。ボクは宿得(ヤドゥル)と申しますん。主さまを導きお守りするよう、仰せつかまつりですの。以後末永く、よろしくお願い仕りますん」


 深々と礼をする。


「ちょっと待て、いったいどういうことなんだ? それにここはどこだ? 俺は死んじまったってことなのか?」


「お(ひい)さまから、聞いておられないですの?」

「聞いてないよ何も」


 だいたいおひいさまって誰?


「では……ひとつひとつお答えいたしますの」


「ここはどこなんだ?」

「ここは高円寺ですん」


「それは知ってる。でも現実の高円寺と違うじゃないか」


「ああ、それですの。ここは隠世(かくりよ)と申しまして、現世(うつしよ)とは少しばかりずれた世界ですん」


「ウツシヨってのが、現実世界のことか?」


「はいですの。隠世は、死者と生者の世界の狭間ですん。そしてさらに向こうにある世界から、魔物も神も顕れることができるという、境界にある世界ですの」


「じゃあ俺は……死んでる………のか……?」


「死んではいませんの。主さまは選ばれし使徒として、隠世に招かれたのですん」


 キタ~~~、見事な厨二病設定!

 これはやっぱ俺の夢確定だろう。

 にしても……


「シトって……天使かよ」

「いえ、天使ではなく……」


「いや、いいんだ」


 某有名人型決戦兵器アニメが脳裏をかすめたが、それを説明しても通じないだろう。

 いや、通じないのが道理だ。

 この幼女がアニヲタ設定というのはやり過ぎだろう。

 もしそうだとしても、年齢的にあれを知っているには無理があるわけで、却下だ。


 ドリームマスターとして、無理やりな設定はできるだけ押し通すべきではない。

 設定の破綻は、すべてを虚しい現実へと引き戻す覚醒を、呼び込んでしまうからだ。

 かくなる上は是非も無し。

 存分に夢を満喫しょうぞ。


「で、誰が俺を呼んだって?」

「お(ひい)さまですの」


「そのお姫さまってのは、いったい誰なんだい?」

「えええ? ほんとうに覚えておられないのですん?」


 幼女が小首を傾げる。


「ふむ……困りましたですの」


 今度は小首は逆向きに傾く。これはカワイイ。


「そう言われても……な?」


「むーう……では、これからご案内いたしますん。直接お会いして確かめるのが、手っとり早いですの。はい、きっとそうなのですん」


 使徒ってのが何なのかよく判らなかったが、そのお姫さまってのに会えば判るんだろう。

 それにその(ひめ)さまがどんな女の子なのか、否が応にも気になるじゃないか。

 クエストとかも、彼女から発生する感じだろうか。


「こちらですの」


 ヤドゥルが先に立って歩き出す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ