5. 追撃、突破
ヤドゥルの言葉に身構えると、階上より巨体の悪魔どもが次々と踊り出してくる。
やはりアヤに宿る悪魔なのだろうか。
しかしなぜだ? 完全ではないが、ひとまず撃退したはずなのに。
そうなるとアヤの身が案じられた。
シンたちが迎え撃ち、俺の両サイドでは激しいバトルが始まった。
眼前に棒立ちのままの竜人を見れば、何と切れた首から頭が再生し始めていた。
首を再度断ち切ろうと槍を薙いだが阻まれた。
穂先が鉤爪にがっちり抑えられている。
グイっと槍を引き抜くのに成功すると、すぐに心臓めがけて突きの一撃を繰り出す。
槍の鋭い突きは、横薙と違って防ぎにくい。
どうやら大雑把にしか「見え」ないようだ。
穂先が鉤爪のガ―ドをすり抜けると、ザクッと確かな手応えを伝えてくる。
槍を取られぬようすぐに引き抜くと、どっと血飛沫が上がった。
しかしまだ甘い。蘇る首はもう目元まで現れていた。
瀬織津姫の水咒がそれを覆い、阻止しようとする。
竜人の股の間をスライディングでくぐり、振り向きざまの鋭い二撃を放って両の翼を切り落とした。
尾が唸りを上げて迫るが、その動きは読んでいた。
ふたたびブーツの底で爆発を起こし、宙を舞うように躱しながら、鞭としなる尾の先端を切り捨てた。
やはり、尾はかなり痛みを感じるらしく竜人が身を捩る。
しかし、どうせ再生するのだろう。
水咒が削りまくっても竜人のエーテル・パワーの出力は底が知れない。
「ここは任せる!」
「心得た!」
速玉男命に戦闘指揮を委ねると、槍ごと一回転して竜人の尾をさらに短くカットしてやった。
これでシンたちもだいぶ戦いやすいだろう。
ブーツの爆発で、崩れた階段をひとっ飛びして階上へと移動。
フラットを駆け抜け、建物の入り口から廊下に飛び込んだ。




