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16. 血の邂逅

― 前回のあらすじ ―


  歌舞伎城地下ダンジョンにて

  風日祈珠子(かざひのみたまこ)は幽鬼たちを退けるが

  生存ギリギリのところまで追いつめられていた

  偵察に出した鳴女(なきめ)が、昇り階段を見つけるも、テレパシーの通信が途絶える

  一方、犬養睦樹(いぬかいむつき)は危なげなく探索を進めるうちに

  ブルーベルが正体不明の斥候(せっこう)の鳥を眠らせてしまう

 サーチビームの光に、暗闇から浮かび上がったのは、昇り階段のようだ。

 振動する(はね)に光を乱反射させながら、ブルーベルはクールな笑みを浮かべて出迎えてくれた。


「ザーコザーコなのよさ。カーンタン過ぎて拍子抜けだわさ~」

「そうか、それでも良くやったぞブルーベル」

「当たり前なのよさ」


 階段の前には、一羽の雉が横たわり、ジェリーが見張っていた。


「ヂィ! 敵ホカいない」

「よくやったぞ、ジェリー」


 ふっと、気を抜いた瞬間だった。


「主さま、後ろ!」

「うあっ!」


 振り向く間もなく、俺の背中に衝撃と激痛が走った。

 ヤドゥルの危機察知能力さえも、一瞬遅かった。


「敵の矢ですん!」


 しかし続けて飛来する矢は、ことごとくヤドゥルの魔法障壁によって防がれた。

 しかし、矢の威力が強い。

 俺の頭部と肩に障壁が残されたが、それもあと一撃を防ぎきれそうにない。


「我らが主よ、ご辛抱を!」


 狗神の八郎丸が背中に飛び乗り、矢をひっこ抜いてくれる。


「いたた……」


 アーマーを貫通して、だいぶ深く入っていた。

 肉がえぐれる嫌な音と共に、強烈な激痛が走る。

 この数日、さんざ痛いのに慣れてはきたが、これは堪える。

 矢傷ってのがやっかいなのを、身を持って知った。


「助かったよ八郎丸」

「敵使徒、来ますの!」

「やあああああーーー!!」


 和服のような服にサイバーっぽいプロテクターを付けた戦士が、薙刀を振りかざして突っ込んできた。


挿絵(By みてみん)

   風日祈珠子突撃す  AI生成イラスト




 俺は魔槍屠龍でそれを受ける。

 だがしかし、押される!


 矢を受けた左肩が少し痺れて力が入りづらい。

 これは毒か?


 髪の毛はポニーテール、まだあどけなさの残る美しい顔が、怒りに燃えている


(――え? 女の子!?)


「待った! 八郎丸も止まれ!」


 彼女を背後から――これも怒りの形相で――切り刻んでやろうと、跳び上がった狗神を制止する。

 が、ダメだ、間に合わない? いや、聞いちゃいねえ!


 と、いきなり何か飛んできて狗神に当たったかと思ったら、その姿が視界から消えた。


「貴様! 何をするかっ!」


 プリンス・クロウリーがその舌で、狗神をくっつけて捕らえたのだ。

 そして今はそのでかい口に咥えられている。


 狗神は逃れようと暴れるが、口と舌で抑え込まれてどうにもならない。

 飲み込まれないだけ良かったな。


 しかし、少女の方は止まらない。

 何合か打ち合ったあと、薙刀はするりと槍の下を流れ、いつの間に俺の腕の下を薙いでいる。

 ガツンと脇腹に衝撃がきた。


 しかし、アストランティアのアーマーが、ダメージをかなり防いでくれた。

 状況は変わらず押されている。


 こいつ、俺より出来る! やばい!


 バックステップで離れようとするが、追撃が容赦なく足払にくる。

 しかし、それは青い魔法障壁に阻まれる。

 これで足はカバーできた。


 突然、その恐るべき薙刀がふっと消えた。

 やった、ヴァレフォールがやっと対応してくれたんだろう。

 その権能[究極の怪盗]は、ヴァレフォールを見ていない相手の武器を奪ってしまうものだ。


 しかしここまでピクシーたちは、気合で圧倒されたのか、彼女が素早すぎたのか、対応できていない。

 こちらも武器を下ろして片手を上げる。


「君、ちょっと待って――んがっ!」


 その瞬間、プロテクターを付けた(ひじ)が、頭部の魔法障壁をぶち破った。

 そのまま(あご)にクリーン・ヒットを喰らう!

 ひっくり返る俺を飛び越して、先へと走る少女。


「主さま!」


 ヤドゥルが心配して駆け寄る。

 女戦士は床に落ちている雉を拾うと、そのまま階段へとダッシュ。


「幸せにおなりなさい」


 スノウドロップが[多幸の光]の術をかける。幸わせに包まれ戦意を失わせるやつだ。


「お~ね~むちゃーん~~」


 ブルーベルも[催眠の風]の術を重ねてかけてくる。


 やっとピクシーたちが反応して、術式を発動させたのだ。

 ところが、彼女の足は止まらない。レベルが高くて効かないのか?


「ベトベトさんたち、止めるんだ!」

 立ち上がりながら叫ぶ。


 階段を駆け上がる女戦士の眼の前に、突然ミントアイス色した巨大スライム状の球体が立ち塞がった。

 ベトベトーズは、ここまでの戦いでかなり大きくなっていた。


 思いっきりぶつかると、その弾力性のあるボディに弾き飛ばされた。

 彼女はそのまま階段を転げ落ちてくる。


 俺は抱きとめようと駆けつけたが、間に合わなかった。

 しかし、その下敷きとなって、少しは衝撃を和らげることに成功した。

 俺様グッジョブと言って好かろう。


 そして床に仰向けにひっくり返った俺の顔に、お約束通り彼女の胸が押し付けられていた。

 だがしかし、プロテクターで守られていて、硬くて痛いだけでまったく有難くもなんともない。


 それでもお約束は守られ、起き上がった彼女が赤面してビンタしてくるのかと思いきや、それもまた外れた。

 ここまでしてご褒美もナシ。

 彼女はそのまま動かなかった。


 そっと横にどかして仰向けに横たえると、少女は雉を抱えたまま至福の表情を浮かべ、安らかな寝息を立てていたのだった。


 ピクシーたちの術式が、遅延してようやく有効になったようだ。

 ということは、さほど彼女のレベルが高いわけでもない。


 実際は効いていたのに狂戦士(バーサーカー)のごとく、状態異常を跳ね除けて行動し続けていたということか。


 何という胆力だろう。

 それに薙刀の技量も、俺を上回っていた。


 そりゃそうだ、俺は高校の授業で剣道をかじったくらいだ。

 ダニエル張や出花(いでか)隼たちと渡り合えたのが、自分でも驚いているくらいだ。


 いや、もっと驚くべきだろう。

 もしかすると俺は――いや、ほぼほぼ間違いなく、相馬吾朗の槍術を部分的にでも継承しているってことなのだろう。

 そうでなければ、勝ち続けられるわけがない。


 うむ、これが真の睡眠学習……などと感心している場合じゃない。

 彼らと渡り合えるだけの槍術でも、彼女に実質負けていたのだ。

 いったい何者だろう?


「ヤドゥル、この子は使徒だよな?」

「はいですの、でも見たことがない使徒ですん」


(とっても可愛い寝顔、高校生くらいだね)


 アストランティアの声だ。


(さっきはすごい形相だったけどな)

(たった一人で、この雉を守ろうとしたみたいね。勇敢な子)


 こうして見ると確かに美しい少女だが、まだ幼なさが残る顔立ちで、美人というより可愛い女の子だ。


「神族は何だろう?」

「分からないですの」


「我らが主よ、この雉、鳴女ではござりませぬか?」

「八郎丸、ナキメってなんだ?」

「天津神の式神でござりまする」


「ってことは、この子は天津神族か?」

「別の神族でも、天津神の式神をシンにすることはできるわよ」


 なるほど、ヴァレフォールの言うのももっともだ。

 てことは、相変わらず謎の使徒か。


 でも、格好からすると、なんとなく天津神族ってことでいい気もするが。

 ちゃんとした答えは、起こして聞いてみるしかないだろう。


 でも、また暴れて逃げられても困る。

 そこで俺は、妙案を思いつた。


 ベトベトーズに壁状に広がってもらい、小さなドーム状の小屋を作り、俺とヤドゥルだけで話しを聞くことにしたのだ。

 床も硬いので、ベトベトーズが柔らかい敷物にもなってくれている。


 スマノーの光が、半透明のミントブルーの壁に吸い込まれて青いグラデーションを作り、とても妖怪の壁の中にいるとは思えない幻想的な雰囲気を(かも)しだしている。


 さあ、いよいよだ。

 この女子に声をかけるぞ!

 ダイジョブ、俺は国津神第三使徒だ。

 落ち着いてやれば、ちゃんと話せるに違いない!

 まずは深呼吸をして、気持ちを落ち着かせよう。


「スーーーーハーーーー、スーーーーハーーーー」

「何をしていらっしゃるですの?」

「空気の毒見だ」


「んん~~……、危険は感じませんの……」

「そうか、こっちもダイジョブそうだ」

 だといいんだけど……


「き、君、起きてくれ」

 俺は少女の肩を揺すった。


「ん……ううん……お兄さま……」


 ん、ブラコン設定か、悪くないぞ。

 そのお兄さまとやらに俺はクリソツで、勘違いして起きしなに抱きついてくるのもアリだ。


(ナイと思うよ)

(アストランティア、妄想にまで入ってこないで! アホなこと考えて気をそらそうとしてるんだから)


(ボクはキミの妄想領域に接して存在しているのを忘れないで)

(妄想ずっと監視されるってこと!?)


(あ、エロい妄想が始まったら、ボクはどっか行ってるから気にしないで)

(気にするよ!)


「いかない……で……」


 少女の閉じた目から、涙が溢れ出る。

 何かつらいことを思い出しているんだろうか。

 今起こすのをためらわれる。


「この、主さまに弓引きし賊徒めが、いつまでも寝穢(いぎたな)く伏しておるでないのですん。起きるですの!」


 そう言ってヤドゥルが頬をぶっ叩いた。


「あぁ……ヤドゥル、もう少し優しくしてやろうよ」


「う……」

 少女は目を覚ますと、ガバと上半身を起こした。


「ここは? え? 鳴女は!? しっかりして!」

「ダ、ダイジョブ、だよ。寝ているだけだ。傷つけて……ない、から……その……」

「姫君、ここは何処(いずこ)でござりましょう?」


 雉も目を覚まし、人語を喋った。


「良かった、鳴女、どこも痛くない?」

「どこも痛くありません」

「良かった……」


 やっとひと安心という感じの姫君は、キッと俺を睨みつけた。


「あなたは、何者ですか!?」

「あ、お、俺は、犬養睦樹(いぬかいむつき)、使徒だ。国津神族の……て、敵じゃない、お、お、お、落ち着いて」


 落ち着くのは俺の方ってツッコミは止めてくれよ、アストランティア。

 正面から向き合ったその少女は、超絶ヤバかった。

 天敵レベルだ。


 ごめんなさい降参ですって言えたらどんなに楽だろうか。

 その幼気(いたいけ)さが残る容貌は、水生那美とも、一色あやとも違った、純粋無垢な少女の美しさだ。

 その中にも凛とした、こっちまで背筋がピンっとするような――静謐(せいひつ)な佇まいがある。


 俺の精神構造は、そんなものに立ち向かえるほど耐震設計じゃない。

 ぐらぐら揺れて、車酔いみたいにふらついている。


(那美さんとなら、ふつうに喋れるのにね)

(そうなんだよな~)


「主さまはとても寛容なお方ですの。矢で射られたのも、不問に処すと仰せなのですん」


「き、君も使徒だよね?」

「……天津神族使徒、風日祈珠子(かざひのみたまこ)。なぜ鳴女を眠らせたのです?」


 どこまでが名字か名前なのか分からない名乗りをした少女は、やはり天津神族の使徒だった。


「ごめんっ、んて……て、敵の斥候だと、思ったんだ。ほんと、ごめん。でも、ダダ、ダメージは与えてないし」


「ここは……?」

「さっきのか、階段のそばだよ。あの、ベトベトさんという妖怪を使ってね。あ、見た目不気味だけどいいヤツでさ。その、テントみたいのを作ったんだ。ほら、こ、この壁も床もベトベトさんの体なんだ。や、柔らかくてフニャフニャで、キモいでしょ? い、今のところ、ほら、幽鬼どもも、ちち、近くに居ないし……安全だ」


 ああ、なんか余計なことまで、口からどんどん出ちゃって、きっとドン引かれてる。

 ちょっと喋りすぎないよう気をつけよう。


 案の定そっぽを向かれた。

 と思ったら、周りをぐるり一瞥(いちべつ)すると、ため息をひとつ()いてこちらに向き直った。


「申し訳ありません。鳴女が眠らされて頭に血が上ってしまい、敵か味方かも確かめず攻撃してしまいました」


 そう言って深々と頭を下げる。

 良かった、それほど引かれてないみたいだし、話が通じる相手だった。


「いや、いいんだ。こっちも先に攻撃しちゃったわけだし……」


 ――ブルーベルの暴走のせいだが。ちらと横目で見ると、さっとスノウドロップの影に隠れた。


「き、君も、たった独りこんなところで、す、すっごく迷ってたんじゃないのかな? 心細くて、恐ろしくて……どうしょうもない状態で、なのに唯一の仲間が眠らされて、それで……必死に助けようとした……んだよね」


 くそ、また口が勝手に!

 見た目が可愛いからって、ひとりの戦士に対して、くっそ余計な心配じゃないのか。


「はい……その通り……だと思います」


 え? そうなの?

 どこまでその通りなの?


 ああ! そうだ!!

 もしかすると、もしかして、あの浮浪者の爺さんが助けるように言ったのは、この子のことかも知れない!!


「じ、実は俺も単独でここに放り込まれてさ……めちゃくちゃ彷徨ってたんだ、マジで。でもシンたちがたくさんいるから、何とかなったんだけど、幽鬼とかガンガン倒してさ。逆にちょっと楽しんじゃったりなんかして……き、君のシンはこの鳴女だけ?」


「ええ、この子だけですけど……シンがたくさんって……」

「ああ、そうだね、紹介するよ。ベトベトさんたち、もういいよ元に戻って」


 するすると天井が開いていく。


「あ、君も立って、えっと、かざひのさん」


 女戦士は肩に雉を乗せて立ち上がった。


風日祈(かざひのみ)が名字で、名前は珠子(たまこ)です。よく間違えられるので気にしないでください」


 そう言われると、頭の中で漢字が浮かんだ。

 隠世はこうしたイメージが伝わるから便利だ。


「さあ紹介するね。この丸いのが妖怪のベトベトさんたち。敵のEP吸いまくって、でっかくなリ過ぎて分裂して、さらにまたでっかくなった。


 ちっさい犬猫みたいな妖怪がスネコスリ。

 それから狗神の八郎丸、彼は中野のロードだ。


 飛んでるのは妖精のピクシーたちで、ブルーベル、スノウドロップ、コロンバイン。

 そして毛深いのも妖精で、エルダー・ブラウニーのともぞうさん。


 そして大きなフェアリー・トードのプリンス・クロウリーに、大ネズミのオイリー・ジェリー。


 そして昨日まで中野のロードだった悪魔ヴァレフォールだ」


 皆紹介されると、お辞儀をしたり、よろしくと挨拶したり、くるりと空中回転したりと、まずまず友好的に返してくれた。

 ヴァレフォールは優雅にお辞儀をする。カーテシーというやつだ。


「そしてこの子はシンじゃないのだけど、俺の導き手のヤドゥルだ」

「主さまの導き手のヤドゥルですの。主さまには粗相の無いようにするのですん」

「あ、ちょっと当たり強いけど、気にしないで」


「シンが十一体って……それに、こんな可愛らしい導き手? あなたを加えて十三人のパーティーって、ちょっと多すぎませんか?」

「そ、そうだねえ、ははは、だいぶ大所帯になっちゃって……」


「シンの数は、二体がふつうだと聞きます」

「え? そうなの?」

「主さまは特別なのですん」


「どんなに多くとも五体が限界と教わりました。私など、まだ一体しか持てません」


 相馬吾朗もけっこうな数のシンを持っていた。

 となると、この特別なシン枠も、彼からの継承ってことだろう。

 でも、彼のシンも十一もいなかったはずだ。


 出花隼もけっこうシンがいたはずだが、きっとルーラーだからだろう。

 となると、俺はルーラーとなって枠が増えたのか?


 いや、そうなる前から十体はいたんだ。

 ダニエル張も多かったけど、確かに五体程度だった。


 俺ってやっぱ主人公属性持ってるってことかい?


(そうかも知れないよ。シン特化なんじゃない? 会話だけでシンにできるってすごいんでしょ?)

(そうか、俺って職業テイマー、あるいは召喚士の主人公ってことでオケ?)

(オッケー!)


新ヒロインとの出会い!

睦樹のハーレム・ストーリーが今始ま……

らない!


===============================


ここは新宿サブナード、福音書店前


「あれ? 犬養睦樹くんの霊圧が消えた……」


 一色あやは、握手を求めるファンそっちのけて立ち上がった。


「さっきまで近づいて来てたのに……どうしたのかな?」


「あやタソ~~握手おねしゃす~~」


「はい、有難う、ぎゅっぎゅっぎゅぅ!」


「あやタソ、それマイ(ハンド)じゃなくてマイ親指(サム)っすよ」


「だって、君のふっといサムくんカワユスだからいけないんだ」


「我のサムのカワユス告げる尊み!」


「……睦樹くん、まさか死んだとか? えにしちゃん、あなた殺してない?」


「あやさま、アタシを何だと思ってるんすか?」


「え? 殺し屋でしょ?」


「一色あやさまの親衛隊長、赤石えにし、です!」


「不届きなファン、殺さない?」


「殺さないっす! 精神的には()りますけど!」


「えにしちゃん、お願い」


「嫌です」


「睦樹くんがどうしたのか、探ってきて!」


「嫌です。ほら、次の子にサインしてください!」


「あ、はい、お待たせしました~~、いつもありがとうございます!」


「ったく、なんでアタシが、あんなタコの安否確認しなきゃなんねえんだよ……」


 センター街を歩いていると、赤石えにしのゴスロリスカートの裾が引っ張られた。

 見ると天使と見まごう可愛さの金髪碧眼の5歳くらいの幼児がいた。

 その向こうにはその妹のような幼気(いたいけ)な幼子が。


「うぜーんだよ、アタシは超可愛いがろうが、超天使ちゃんだろうが、ガキなんざ、大っ嫌いだ!」


 えにしがスカートから手を振りほどくと、二人の幼児は驚いたような悲しいような表情を浮かべ、すっと消えて行った。


「え″……あ"……お、おばけ~~~ー=====3

 あやさま~~お化けがでた====3」


 パニックを起こし、泣き叫ぶゴスロリ少女。

 走り去るその姿を、柱の影から赤い帽子を被った浮浪者の老人が、そっと見守っていた。


===============================

次回!! 令和7年9月7日 日曜日更新予定!!

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