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3. 邪眼

 さて、レギオンもそうだが、悪魔の存在が気になるところだ。

 悪魔族の大規模作戦行動の一部かも知れない。


(山童、俺が直接見よう。共鳴(シンクロ)してくれ、お前の目を借りる)

(心得た)


「土蜘蛛、山童の目で見るから、俺も肩に乗せて進んでくれないか」

「お任せくだされ」


「その間、瀬織津姫が指揮を取るんだ」

「しかと心得たわ。

 聞こえたであろう? 土蜘蛛に宿得よ、これより妾に従うのじゃぞ。妾の言葉が吾が君の言葉と知るがよい」


 やれやれ、ダイジョブか? 仲間割れだけはしないでくれよ。


「主さま、宿得は降りるのですん」

「いや、そのままでいいよ。一緒に運んでもらおう」

「はいですの」


 ヤドゥルと反対側の肩に、俺は乗せてもらった。


「さあ、始めるぞ……シンクロ!」


 視界がいったん暗転し、山童の視界に切り替わる。

 体感は土蜘蛛の肩に乗っている自分のままだ。


 なんだかVRゲームでもやっているような違和感にもすぐ慣れ、レギオンたちを観察してみる。


 山童は廃ビルの二階から通りを見下ろしていた。窓からレギオン集団の去っていく後ろ姿が見える。


 何人もの死体が合体したような黒っぽい人影――頭や手足が複数ある不気味な裸体の群れが、ゆらゆらと揺れながら歩いて行く。


 先入観なしに見たら、優れた現代アートのようでもあり、ゲージュツ系な人にとっては美しいと思えるのかも知れない。

 頭部もくっつき合って後ろ向きにも顔があり、さらに目鼻口が重なるようにして多めに盛られているやつもいる。

 ベクシンスキーの絵より不気味かもだな。


 およそ霊塊は二十六体といったところか。

 レギオンたちは、最後尾を行く悪魔に追い立てられるようにして西へと進む。


 痩身の悪魔は頭から赤いフードケープを被り、背後からは様子は伺えない。

 フードを突き抜けて鋭い黒角が二本見える。

 黒くて細い手足がのぞいおり、長い杖のようなものを持っている。


 その杖もつ姿が、まるで邪悪な羊飼いのようにも見える。

 と、悪魔の歩みが止まる。


 ヤバイ、と思って山童に首を引っ込めさせるより先に、振り向いた悪魔と目が合ってしまった。

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