12. 勝敗の行方
― 前回のあらすじ ―
シージ・ゲートの第5セット
これまで1勝1敗2分
そしてダイスは
スノウドロップ:⑥・③・⑤
俺:⑥・⑥・?
そして運命の三頭目が投げられる
さあ、相手は⑥③⑤、こちらはベストの⑥⑥だ。
しかしここで①でも出したら、合計13で相手より下になってしまう。
さあ、気合を入れろ! いっそ狙うぞ⑥⑥⑥!!
あ、なんか666って、不吉な数だっけ?
だが、俺はすべて受け容れよう!!
不吉だろうが何だろうが、どんと来い、超常現象!!
「主さま、勝つのですん」
「我らが主よ、必勝ナリ!」
「キキ! 負ケない!」
「だいじょうぶスリ」
「「ベートー!]」
「ゲッゲッゲ、まあ、ボクは戻ってもいいんだけどな――ま、ガンバってね」
「わしは、主さんに付いていくのじゃよ」
「マスター、強く願うのよさ!」
「ああ、ありがとうみんな!」
さあ、いくぞ、黒くてカッコいいお前。
そう、命名しよう、この赤目のダイスに。
お前は今日から、ブラック・ジャックだ!
そう、トランプでも、21はブラック・ジャックの必勝数。
そして、ダイスの目をすべて足すと、21だ。
よし、これってイイ感じゃないかい?
さあ、ダイス、ブラック・ジャックよ、俺は望みを叶えたい!
またシンにすればイイとか言ってたけど、ほんとうは、違う!
どうしても、俺はブルーベルを失いたくない!!
俺は小さなキューブを握りしめ、強く念じる。
(我が望みに応えよ、ブラック・ジャック。お前の持てるすべてを出し切るのだ!)
俺が手をヒラリとさせると、ダイス・ボードに黒のダイスが踊り、赤い目が舞う。
そして……荒々しく跳ね返り、ボードの縁を転がり、縁にかかったまま止まった……出目は……②!!
クソ! これじゃスノウドロップと同じ合計数だ。
コトリ、縁からダイスが離れた。
その目が変わる……上を向いたのは……⑥だ!!
「やった! 666だ!」
「すごいのですん、主さま!」
「キキーーー!!」
「是ナリ!」
「お、お姉さま……だいじょうぶ、これからですわ」
スノウドロップ:⑥・③・⑤
俺:⑥・⑥・⑥
しかし、まだ彼女はドローに持ち込む可能性がある。
俺が平置きにすると、スノウドロップが③⑤を重ねると、必ず一勝できる。あとは引き分けと負けになるので、何が起きてもドローになる。
そうなると俺は、⑥⑥を作るしかない。
俺の勝ちは、
ス:俺[③⑤:⑥⑥・⑥:〇・〇:⑥]
[③⑤:⑥⑥・〇:〇・⑥:⑥]
[⑥:⑥⑥・③⑤:〇・〇:⑥]
の3ケース。
引き分けは、
ス:俺[⑥:⑥⑥・〇:〇・⑤③:⑥]
[◯:⑥⑥・⑤③:〇・⑥:⑥]
の2ケース。
俺の負けもある。
ス:俺[◯:⑥⑥・⑥:〇・⑤③:⑥]
の1ケース。
スノウドロップはこれに望みを託すだろう。
俺は覚悟を決めてダイスを配置した。
右のゲート:◯
中のゲート:⑥
左のゲート:⑥⑥
これで勝負だ!
「いいぜ、こっちは終わった」
「こちらもです。さあ、勝負ですわね」
ゴブリン兵たちが槍を交わし、ゲートが上がっていく。
右のゲート[スノウドロップ:⑥ 俺:◯]>負け
ヤバい、俺の負けケースがアリじゃないか!!!
次のゴブリンたちが槍を合わせ、ゲートが上がる。
中のゲート[スノウドロップ:◯ 俺:⑥]>勝ち
やった、勝った! 勝った! 勝った!
最後のゴブリンたちが槍を鳴らし、ゲートが上がる。
左のゲート[スノウドロップ:⑤③ 俺:⑥⑥]>勝ち
赤の旗が上がった!
ゴブリン兵たちが槍を掲げ、ラッパが高らかに鳴る。
そして店主も店員も拍手で勝利を祝福する。
「勝負ありでございます。勝者、犬養睦樹様!」
「ふう……終わった……」
「やったのですん????」
「キーキキキー!!!」
「祝着ナリ、我らが主よ!」
「お、お姉さま? ええ? 嘘でしょ? これ、イカサマよ、イカサマ以外にないわ!」
「コロンバイン、恥ずかしい真似はお止めなさい。……わたくしの負けですね。あなたの強い願いが、わたくしの望みを凌駕したということです」
「キャハハハハハ!! みんなサイコーなのよさ!!」
ブルーベルは、宙返りしながら喜んでいる。
「しあわせスリスリ」
スネコスリが、俺の脛に優しくスリスリ・アタックしてきた。
「おめでとうなのですじゃ」
「まあ、みんな一緒になるのは、勝っても同じだよね」
「「ベットベトーーー!!」」
「わたくしはピクシーのスノウドロップ。さきがけて春を告げ、夏には眠る冷たき目覚めの気の息吹、今後ともよろしくお願いしますわ」
「コロンバインちゃんさまはイヤ! 絶対イヤ! ニンゲンのしっぽのシンになんかならないの!」
「コロンバイン、約束は約束ですよ」
「イヤアアアアア! コロンバインちゃんは、超絶可憐で超絶可愛い春爛漫の花ピクシー、今後とも夜露死苦なの! 銃の乱射なんかしないんだからね!」
「キャハハハハハ、ダヌーの面汚しども。ようこそ、ムッキーの花園へだわさ」
「何が面汚しなのよ! あんたこそ、面汚れ過ぎて、顔だかお尻だか分からないわよ!」
「キャハハハハ!! コロンバイン!! サイコー下品、怒った顔ブサイク!」
「キーーーー!!」
「止めなさい、二人とも!!」
ヒュウと冷たい風が吹く。
もしかして、スノウドロップは隠し玉で、冷気術式を持っていたのか?
あとで確認しよう。
「お姉さまあ~~~~~コロンバインちゃんは、どうしたらいいの~~~!!!」
「今までのままでいいのですよ」
「キャハハハハハ!! あーしは、だ~い満足だわさ!!!」
やれやれ、これから騒がしくなりそうだ。
それにしてもブルーベルのやつ、いつの間に俺のあだ名なんか知ったるんだ。
それと、ハーレムじゃねえだろ。
だったらイイけど。
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3ピクシーを手に入れてご満悦の睦樹!!
かなりパーティーも強化されたと思われる。
次なる舞台は新章第15章へ!
第15章1話は、1日お休みをいただき、令和6年10月23日公開予定!




