死の馨
おまえ、瑠璃唐草の
病める月の頬の
金剛石の伝う
薔薇も凍て付く中
太陽は散り
供物なれ
自らこそ贖罪の羊とは
知りもせずに
それでもなお
信じ続けるのか
いつかは
救いの手
差し伸べられんと
白刃は瓏々と
おまえを食む度
閃かん
嗚呼、
アドニスの血の賢さよ
おまえ、朽ぬ儘逝こうとも
何故そんなにも
美しく強かで
愚かなのか
ネモフィラ=真っ青な、血色の悪い
病める月=青白い
薔薇=血
アドニスの血=花一華花言葉は「薄れゆく希望」
白刃=雪
「朽ちぬ儘逝く」とは死体も朽ちぬほど冷たいということです。