↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は徹底して悪女を演じる~おーほっほっ!は卒業したい!~  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/50

悪役令嬢は目覚める

 不意に目が覚めた。

 自分が見知らぬ場所のベッドで、横になっていることに気づいた。

 シンプルな白の寝具、右側には窓があり、左側は開けたスペースで、ソファが置かれている。出入口と思われる扉も見えた。その扉が開くと……。


「「「エリノア!」」」


 両親と兄が部屋に入って来た。

 父親はグレーのガウンで、母親はよほど慌てて屋敷を出てきたのか、寝間着にティーガウンという仰天な装いになっている。兄だけはウィスタリア色のスーツ姿で、この場にもおかしくない姿だった。


「怪我がなくてよかった、心配したぞ!」


 駆け寄る父親の言葉で、瞬時に記憶が甦る。

 同時に目頭と鼻の奥がじわっと熱くなり、涙がボロボロとこぼれ落ちた。


「カルヴィン様が、カルヴィン様が私を庇い、ナイフが、ナイフが――」


 呼吸がままらない私を、兄が抱きしめ、背中をさすってくれる。


「大丈夫だ、エリノア。カルヴィンは生きている」


 これには息が止まり、涙だけが、ボロッと頬を転げ落ちる。

 ナイフが心臓に刺さったと思ったのに! 


「エリノア、落ち着いて。呼吸するんだ」


 兄の声に慌てて、深呼吸することになる。

 驚き過ぎて、息を止めていた。


「お前たちを襲った男も捕まっている。動機や何者であるか言わなければ舌を切り落とすと……カルヴィンの従者が脅すと、あっさり白状した。犯人は、ブラック・シャドウに所属する男だ。今回、仲間が沢山逮捕され、その報復で動いたらしい。王立警備隊が連行し、引き続き尋問している」


 私が深呼吸を繰り返す間に、兄が状況を教えてくれた。


 犯人はブラック・シャドウ……!

 なるほど。

 動機は明白だ。しかし丸腰の令嬢を狙うなんて、悪質だわ!


「幸い、そいつがブラック・シャドウの本拠地となるアジトの場所を白状した。今、王立ブルー騎士団と王立警備隊が連携し、部隊を派遣している。これで一網打尽にできるだろう。こっそり我が家の私兵も送り込んでおいたから、幹部の一人や二人の首はとれるはずだ」


 父親がなんだか物騒なことを言っているのでドキッとしつつ、なぜそんなにあっさり、逮捕された男が白状したのかが不思議だった。それについて尋ねると……。


「カルヴィンの従者は、只者ではなかった。遊学先にも同行していたし、身のこなしが軽く、運動神経もいいと思っていたら……。砂漠の国の、元傭兵ギルドの人間だった。裏家業の人間でさえ、震撼させるギルドだ。一度ターゲット認定されたら、地の果てまで追われる。しかも死ぬまで追い続けるというその執念深さで恐れられていた。逮捕された男も、従者が何者であるか分かり、あっさり白状したわけだ。全くカルヴィンは、とんでもない逸材を従者にしている」


 兄の言葉に、カルヴィンの従者のことを思い出す。柔らかいブラウンの髪によく日焼けした肌をして、黒い瞳が印象的だった。まさか砂漠の国の元傭兵ギルドの一員だったなんて! でもおかげでブラック・シャドウを殲滅できるなら、それに越したことはない。


 というか、今はそれよりも、カルヴィンよ!

 私のことを身を挺して守ってくれた、この世界の推し!


「カルヴィン様に会いたいのですが!」


「そう言うと思ったよ。案内する。急がなくても奴は逃げないから、大丈夫だ。まずはその寝間着を着替えようか。ここは病院だ」


 兄に言われ、自分が病院にいたのかと、改めて理解することになった。


「侍女にドレスを持参させているわ。一緒に着替えましょう」


 母親の声に、部屋に侍女が入って来た。

 私と一緒にいた侍女とは違う。


「あの、私と一緒にいた侍女は、大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。別室で休んでいるわ。あなたが気絶した後も、病院までちゃんと付き添い、さっきまでここにいたのよ。でも私たちが到着したから、休んでもらったの。安心なさい」


 こうして母親が屋敷から連れてきた侍女に、ドレスに着替えせてもらった。

 その間、母親が話して聞かせてくれた。王都警備隊が、我が家を訪ねて来た時のことを。


 私が気絶し、カルヴィンが刺されたと知らされた両親は、もう大変だった。


「ロードリッヒはまだ入浴もせず、執務をしていたから、落ち着いて対処できたわ。でもお父さんは……。入浴していたのに飛び出てきて、もうビックリ。でもお母さんもね、既に入浴を終えて、寛いでいたから。着替える時間が惜しくて、飛び出して来ちゃったのよ」


「驚かせてしまい、ごめんなさい、お母様」


「いいのよ、エリノア。あなたが無事だったのだから。……それにカルヴィン様も。それにしてもカルヴィン様は……」


 そこで母親は困ったように、声を潜めた。

 どうしたのかと思い、尋ねると……。


「ナイフはね、隊服の上衣の内ポケットに入れてあった、銅レリーフに刺さっていたそうよ。しかもその銅レリーフ、傷がつかないようにするためなのかしらね? 鉄のプレートで包んであったそうなの。結構の重さだろうに、それを上衣の内ポケットにいれているなんて、驚きよね? しかも……」


 ここで母親は、私の耳に顔を近づけ、内緒話で教えてくれた。


「その銅レリーフにはね、どうも女性の姿が浮き彫りになっていたそうよ。それがエリノアそっくりだって聞いたわ。見せていただこうかと思ったけれど、プライバシーに関わることでしょう? それにあなたを救った英雄なのに。そんな物を大切に胸に潜ませているなんて、ねぇ?」


「ち、違うのです、お母様!」


 私の推しが、変態認定されそうになっている……!

 ドレスに着替えながら、誤解を解くことになった。

お読みいただき、ありがとうございます!

続きは本日、19時までに『悪役令嬢は恩人の誤解を解く』を公開します。

ご無理なく、ご都合のあうタイミングで、ご覧くださいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。