私は意識が薄れていく中、私に差し伸べてくれたあなたの手をぼんやりと憶えている。
・・・私は、“あの時の記憶が一切ない!”
私は轢き逃げに遭い、私を轢いた車はそのまま逃げ去った。
私はその場に倒れ込み、意識がなくなっていく。
そんな時、一人の男性が意識が薄れゆく私に手を差し伸べてくれた。
正直あの時の事は、ぼんやりしか憶えていない。
若い男性だという事と、声を薄っすら憶えているだけ。
私を助けてくれたその男性は、救急車で病院まで一緒に乗って私の手を
握り励ましてくれていたらしい。
その後は、誰もその男性の行方を知らないでいた。
私は直接、その男性に会って“お礼を言いたいのだ!”
私を助けてくれた事、励ましてしてくれた事、手を握っててくれた事。
もう会えないのかな?
私は私を助けてくれた彼にどこか“恋心を抱いているのかもしれない!”
いつか会えると信じて、自然と私は彼氏を作る気がなかった。
周りの友達は、どんどん結婚していくと言うのに......。
“私は彼以外の男性を好きになれないでいる!”
『ねえねえ、今度飲み会があるけど亜紗音も来る?』
『・・・あぁ、私はいいや! ごめんね。』
『なんか付き合い悪いよ! ひょっとして好きな男性が居るの?』
『えぇ!? なんでよ!』
『“だって、顔に書いてあるじゃん!”』
『えぇ!?』
『図星か?』
『騙したの?』
『亜紗音が言わないからでしょ!』
『・・・そう、そうだね、ごめん。』
『“やっぱり、例の人?』
『まあね。』
『そっか、亜紗音って一途なんだね! ワタシだったらもう忘れて、
他の男性探して付き合ってるよ!』
『・・・そ、そうなんだ、』
『でも、ワタシ! 亜紗音のそういうところ嫌いじゃないよ、頑張って!』
『・・・ううん、ありがとう。』
『じゃあ! また女子だけの飲み会の時に誘うね!』
『うん! サンキュー』
『じゃあね!』
『うん。』
・・・“出逢いって、本当に分からない!”
私は、はっきりと憶えていない男性の事がずっと忘れられないのだ!
ほとんど記憶にもない彼を忘れられない。
でも? 私の中で、彼と出逢えたことは“奇跡”なんだと思う!
【私と出逢ってくれてありがとう、もし願いが叶うなら? もう一度あなたに
会いたい!】
会って、今の気持ちをあなたに伝えたいの!
“どうか神様! 私の願いを叶えてください!”
・・・数日後。
私に更なる奇跡が起きる!?
彼とまた会えたのだ! 神様が私の願いを叶えてくれた!
でも? 私は彼の顔を憶えていない!
憶えているのは、、、? 【薄れゆく記憶の彼の声。】
それを頼りに私は彼を探している。
そんな時、その彼の声に近い声の男性と出会う。
勿論! 彼だという保証はないのだが、それでも僅かな希望を胸に
私はその彼に近づく。
『・・・あぁ、あのう?』
『えぇ!?』
『“あの時は、本当にありがとうございました。”』
『・・・あぁ、あの時の女の子、、、?』
『やっぱり!』
『何故? 僕だと分かったの? 君はあの時もう既に意識がなかった
はずだと僕は思っていたけど、、、?』
『“顔はうる憶えですよ、ただ憶えていたのはあなたの声です。”』
『“僕の声?』
『特徴のある声だったので、憶えてたんです。』
『そう、それで僕に会えて君は良かった?』
『“勿論です! やっぱり私が想っていた男性でした!”』
『それなら良かった、幻滅されたらショックだしね!』
『やっとあなたに逢えた! 今度、お礼をさせてください!』
『・・・そ、そんな、別に、お礼なんかいいよ。』
『時間がある時に一緒にご飯でも......。』
『君がそこまで言うなら、僕は別にいいけど。』
『ありがとう!』
『あぁ!』
こうやって、私と彼は心も近づき“今では彼と付き合っている!”
私は“運命の男性と一緒になれた事が何よりも嬉しかった!”
もう彼を私は離さない!
・・・もし? 彼と離れてもお互い磁石のように引き合うのだと思う!
それが【運命のひと】の特権なのだろうと私は強く想っている。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。




