86 ◇相談事
「すごいなぁ~、香さんは……」
「……? 」
「僕に悩み事があること、なんで? 分かったの? 」
「いやぁ~、超能力者じゃないし、分かりませんよぉ~ぅ。
ただ、もしあるなら、って思っただけですってばぁ」
「そっか、そうですよね。ははっ……」
神谷さんは乾いた笑いを零した。
何か、言いにくいことなのだろうか?
「いやぁ~、来年雨汰がね、小学校なんだよね」
「あら、雨汰くん……もうそんな、なるんだ」
「まだまだ、小さいって思ってたのにね。小学生なんだよね。
実はそれで、普通に学校に通わすか、特別なクラスにするか、迷ってる
っていうか──
どれが雨汰にとっての最善なんだろうって。
まぁ悩みは尽きないっていうか」
「私の知り合いの子供さんのことで、そういった話は聞いたこと
あるんだけど。
今はどう呼ばれているのか分からないけど、私の知ってる範囲では
支援学級っていうのがあったはず。
あと、また聞きとかで聞いた話とか合わせて鑑みてみると、だいたい
母親は普通学級に固執してる人が多いって感じかな。
実際のところは分からないけれども。
私の見聞した件数なんて3~4件しかないので。
父親の意見は分からないけれども、大体幼稚園や学校行事ってどうしても
母親主体になるから、母親の意見が主に尊重されるのかもしれないわね。
私、神谷さんの言った、どれが雨汰にとっての最善なんだろうって、
言葉が胸にじぃ~んときました」
「ははっ、それはどうも! 」
「先ずは普通学級と支援学級と両方トライアルさせてみて、雨汰くんの
行きたいほうにしてみたらどうでしょう?
雨汰くんファーストですね。
あと、聞いたところによると、授業によってF学級とS学級に振り分ける
って言う方法もあるようですし。
私学校側との話し合い、一緒に行きますから」
「すごいっ、君はすごい人だ! 」
「今頃知ったんですか? 」
「あぁ、今ね。
変な人だっていうのは前から知ってたんだけどね」
「変って?
へんって、ほんとに失礼な人ね」プンプン
「だって子供3人抱えてオロオロしてる僕のようなしょぼくれオジン
と積極的に交流する人なんだから」
「あっ、そうね、確かに。
それは変人扱いされてもなんも言えねぇ~」
「怒らせちゃいましたか? すみません。
本当のところ、最近ではあなたのこと頼りにしてまして、申し訳なく
思っています。
雨汰の学校のことも独りでずーっと悶々と悩んでたのに。
あなたに話したら、あっという間に解決してしまって。
でもずっとあなたを頼ることはできないって分かってるんです。
どこかで線引きして、自分で、自分の足だけで歩いていかないとって……」




