81 ◇ルームツアー2
ふと、左を見てみると鏡が設置されてる。
「その鏡、全身をチェックできるので気にいってます」
そして鏡の足元には体重計が置いてある。
「体重計は以前はチェストの中にしまってたのですがいちいち
出すのが面倒で乗らなくなって太ってしまったんですよね。
それで置きっぱにすることにしたんです」
「へぇ~」
「そしてここにフローリングワイパー収納してます」
彼女が言うフローリングワイパーとやらは、全身見ることの
できる姿見の横にある凹部分にちんまりと収納されているのが
見て取れた。
まるで誂えたような凹部分に感動を覚えた。
「玄関ドア見てください」
「ン? 」
「ドアに窓が付いてるので明るくってわたし、すごく
気に入ってます。うちの玄関ドア」
「ほほう~、確かに。
自然の彩光で明りがとれるっていいよね。
気分的にも大切なことだし、現実的な面でも足元が明るいっていうのは
大事だからね」
そう話しながら俺はチェストの方に向き直した。
チェストの上にはW-iFiと消臭剤などが置かれている。
「このチェスト、近所の雑貨屋でGetしたんですけど、いくらだと
思います? 」
「えー、そりゃまた、難しい質問だね。
う~ん、分かんないよ」
「ガクっ。当ててほしかったわ」
「はぁ~? 」
「なんと、6800円! 」
「はぁ……」
「何ですか、さっきから、ハァ、はぁ、ばっかり。
つまらないわぁ~、ノリが足りないのよ神谷さんはっ」
「そりゃぁどうも、すみません」
ここは、謝らないといけないとこか? とこか?
香さん、ルームツアーに燃えてるからなぁ~。ヤレヤレ。
「えーでは、次はバスルームを紹介します」
「バシュルーム? バシュっルーム~ ♪」
麦くんが付いてきた。
「そだよぉ~、お風呂だよぉ~。見てねっ」
すごいっ、床には何も置かれてなくて、椅子やらシャンプーやら、
必要なものは全て床じゃない場所に、収納っていったらいいのか、備え付け
のバーやら棚にひっかけてあるんだよなぁ~。
汚れにくいから掃除の手間が省けるようにしてある。
「香さん、すごいね。前の家の時もこんなふうに? 」
「流石に夫だった人にここまで徹底するやり方をお願いすることは
できなくて、まぁ、できる範囲でって感じだったから、どうしても
石鹸やシャンプー、椅子は床に置いてました」
「そっか、そうだよね」




