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『あなたに恋しました !』 ――最後は君を好きになる――    作者: 設楽理沙


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77/101

77 ◇負担




 離縁されても責められもせず、両親に迎えに来てもらえる私は幸せ者だ。


 重量のある家具や電化製品、洋服などは、先に赤帽さんにお願いして

あったから今日はほとんど荷物なくて身ひとつで、って感じ。


 家具って言っても備え付け家具だったから、化粧台ぐらい。

 それとオーブン、アイロン、ドライヤー、パソコンとか。


 仕事柄、書籍がちょっとかさばったかな。

 大きな家具がなくてよかったよ、ほんと。


            ◇ ◇ ◇ ◇



「離婚のこと心配かけてごめんね」



「ううん、病気が治ったことで御破算(ごはさん)っていうか、

おつりがくるわね」


 Happy……ハッピー……


 人は生きてさえいればこそよ

 (人は生きてさえいればいいのだと思える)


It seems that all we need is to be alive.



         ・・・・・



やりたいことがあって、心をいつも明るく持っていられるってすごく

幸せなことだ。


 誰かのために何かしてあげたいって思う気持ち。


 更にその誰かが、ただ漠然とした誰かじゃなくて特定の誰かなら、

さらに幸いだ。

 


           ◇ ◇ ◇ ◇



 翌日は寝込んでしまった。

 そんな状況に自分が1番驚いた。


 私って意外に(やわ)だったのねン。


 町田くんと過ごした頃のことが何かした拍子に頭の中を駆け巡り

その都度、罪悪感に襲われ、心底疲れてしまった。


 不思議と元夫のことでは、ほんの悔しさはあるもののあっさりと

過去のこととして、得心(とくしん)できている。



 私ってつくづく薄情な人間だなぁと思う。


 康之さんと結婚してから此の方、離婚を突き付けられるまで

町田くんのこと、ほとんど思い出すことなかったから。

   

 今感じている、胸を突かれるほどの痛みが嘘のように。



 離婚を突き付けられたことが裏切りと言い切れるかは分からないけれど、

確かに胸にチクリとした痛みが走ったことは本当。


 大きな痛みじゃない、ほんの少しの痛み。


 残念な人だなぁ~とか、病気の人間に(本当はもう違うけれど)冷たい

仕打ちのできる人なんだ~とか。



 自分が思い込んでたほどには康之さんから好かれてなかったことの

驚きで、吃驚したなぁ~もうとか。


 しかし、あそこまでお金のことを言われるとは……。


 本当に予想してなくてただただ唖然とするばかりで、開いた口が

塞がらなかったよ。


 今となってはまぁ、はっきり言ってもらってよかったけれども。


 金銭面ではそれほど負担を掛けてはいなかったはずなんだけど

何を勘違いしているんだか。


 働けなくなって収入がないことに不満があったんだろうね。


 収入なくたって迷惑は極力かけないようにって、病気に伴う費用は

全部預貯金から賄ってたのに。


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