65 ◇ 親戚のおばちゃん
「君が今、神様に見える。僕は目も悪くなったようだ」
「ふふふ、神様が来たから安心めされよ!
お布団で寝た方が疲れが取れますよ」
「あぁ、そうするよ、ありがと」
部屋のなかの荒れ具合と子供たちの服の汚れ具合から、彼が体調を崩した
のは何日か前からなんだろうということが伺い知れた。
メルアド交換していたのだから、自分を頼ってくれれば
よかったのに、と思った。
だけどもしこれが逆の立場だったら、やっぱり私も助けてとは
なかなか言えなかっただろうなって思う。
そして彼には本当に手助けしてくれる人がいないのだということを
私は実感した。
ご両親や親戚も、近くにはいないのだろう。
今から私が親戚のおばちゃんになってあげるよ、神谷さん。
子供たちにご飯を食べさせて洗い物をしてたら、もう16時になってた。
神谷さんはおかゆを食べたあと、よろよろと隣の和室に入っていった。
「神谷さん、そこっていつも寝てる部屋なんですか? 」
私はお風呂を沸かすスイッチを入れたところで、彼に声を掛けた。
「いや、いつもは2階で寝てる」
「じゃあ、枕と掛け布団を上から取ってきますね、いいですか?
勝手に上がっても」
「助かります」
神谷さんからの返事を聞いて、私は2階から枕と薄い夏用の掛け布団を
降ろしてきて枕は頭の下に、そして布団は掛けてあげた。
「ありがと」
「ゆっくり寝てください。子供たちのことは心配しないで」
それから私は芽衣ちゃんを伴って子供たちの着替えがどこにあるか探す
家の中限定の旅に出た。
麦くんと雨汰くんも私たちに付いて来たので衣類の収納場所が分かると、
私はゲームするような調子で3人に号令をかけた。
「みんなぁー、洗濯してある綺麗なおパンツとシャツ出してぇ~!
短いズボンもあれば出してね」
夏だし、パンツとワンピースかTシャツ着せればいいや、っと。
着せたり脱がせたり手っ取り早いし、子供たちも着脱が簡単で
いいと思うのよ。
過去の私の記憶の中の映像では、家の中にいる小さな子の夏の服装って
パンツとシャツ、短パンとTシャツ、パンツとノースリーブのワンピース。
寝る時は下だけパジャマ、上下パジャマとか。
まっ、今回は特別仕様で普段着を着せて寝かすことにした。




