63 ◇心地よい疲れ
たぶん、子供たちに飲まれちゃって神谷さんはほとんどお茶飲めて
ないんじゃないかと思い、紙コップに彼の分も入れて手渡した。
「いやぁ~、すみません。いただきます」
「どういたしまして、私もいただきます」
私と神谷さんが言葉を交わしている間に問題発生。
麦くんが雨汰くんに突き飛ばされたみたいで、コケたまま泣いている。
雨汰くんは怒っている。
「茉芽、見てた? 」
「麦くんが雨汰くんのおもちゃを触ったらねぇ~、えーと、えーと」
「麦くんがそのおもちゃで遊ぼうとしたのかな? 」
「うんっ、そう。そしたら雨汰くんが返してって。えーとっ、えっと……」
「怒って突き飛ばしたんでしょう、たぶん」
そう言いながら神谷さんは麦くんを起こして抱き上げ、頭を撫でながら
あやした。
そっか、やっぱり目が離せないんだなって思った。
雨汰くんも麦くんも悪くない……たぶん。
私たち、大人が目を離さずにいることが大切なんだなって思った。
雨汰くんは、少しずつ、人との付き合い方を学んでいけばいいのだから。
そしてきっと、麦くんも少しずつ雨汰くんとの付き合い方を
学んでいけばいいんだ。
神谷さんに聞いた話によると、茉芽ちゃんは利発な子で3才児とは
思えない気の回し方ができるようで、雨汰くんとのトラブルはほとんど
ないらしい。
今よりもっと小さな頃から少しずつ、学んでいったっていうことよね。
学校へ入学するまでの期間に、やれることをやっておかないと
学校へ行きだすと、いろいろと問題が出てくるかも。
神谷さんは公民館の児童サークルなんていうのも利用してたけど
雨汰くんのことは、どうしてるんだろうな?
ちょっと気になってしまった。
お茶Timeの後、茉芽ちゃんと麦くん私と3人でハンカチ落としをした。
何年振りじゃぁ~の世界だったけど、はっきり言ってむちゃくちゃ
面白ろかったんだよぉ~。
小さい子って面白いわぁ~。
3人でぎゃあぎゃあ言うもんだから、神谷さんも笑ってた。
ひゃぁ、しかし真夏の1時間は半端ないね。
汗まみれでぐったりだわ。
子供たちが遊び疲れた頃、あたしも疲れたぁー。
神谷さんが言った。
「そろそろお開きにしましょうか、あなたも疲れたでしょう? 」
「はい、思い切り疲れましたぁ~、でも楽しかったです、フフフっ。
ではまた、明日って……明日も来られますぅ?」
「来たら、連絡しますよ」
「はい、待ってますね」
「「「「ばいばぁ~い~」」」」
「ばいばいっ」
この日はこんな感じでお開きとなった。
はー、マジ疲れたんですけど。
でも、心地よい疲れだった。
今夜はぐっすり眠れそうだわ。




