43 ◇会う切っ掛けができた
本当にイカレていたなら、流石の神谷もここまで思わなかったと思うが、まぁ、普通とおかしな──の間くらいと判断したわけだった。
けれど本当におかしな女性だった場合、もうこの公園には来にくくなる
なぁ~とか、まぁそんなことも脳内でグルグル考えていた神谷だった。
◇ ◇ ◇ ◇
神谷さんってイチイチ反応がおもしろい。
面白過ぎる。
私のことを本当に頭のおかしい女だったら、って
考えてるのがだだ洩れ。
いじり甲斐のある人だ。
だけどもう少し距離が縮まるまでは、いじるの、ここまでにして
おこうっと、残念だけど。
拒絶されてしまっては大変だから。
そんな神谷さんに、私の胸に抱っこしてた麦くんをそっと手渡した。
「3人も小さなお子さんがいて大変ですね?」
「えぇ、まぁ……」
神谷氏もきっと誰かの手を必要としているのではないだろうか?
なんて、どうして私はそう思ったのだろう ?
家庭の事情を本人から聞いたわけでもないのにね。
しいて言えば、直感サバンナ?
なんとなくだけど──
奥さんが病弱だとか、もしかしたらだけど、いないとか?
でも知り合ったばかりの相手にそんなプライベートなことは聞けない。
「あの、こちらへは結構来てるんですか?」
「……?」
「え、あ……の、私も最近気晴らしにこちらの公園を利用するように
なったのですが、ああ、まぁ買い物のついでになんですけれど。
どうせ立ち寄るなら茉芽ちゃんたちと会える日がいいかなって思って」
「はぁ、、まぁそうですね、気が向いたら──でしょうか」
「そうですか....」
本当は具体的な日が分ればいいのになって思って聞いてみたんだけれど、
ちょっと不信感持たれちゃったみたいで曖昧に濁されてしまった。
残念。
茉芽ちゃんが私から離れて砂場で砂を弄りはじめたのを切っ掛けに
私は帰ることにした。
「それじゃぁ、さようなら」
神谷さんに向けて声を掛けた。
「茉芽ちゃん、バイバイ、また遊ぼうね」
「バイバイ~」
「あのぉ~っ」
「はい?」
「アドレス交換しませんか? 僕の方は子供の様子を見て公園に来るのを
決めたりしてるので来る日は連絡しますよ」
『やったぁ~。イェィ』
ひゃあ~、アタックしといて良かったぁ~、もんすごい収穫だわ。
なんで、こんなことがこんなにもうれしいんだろう。
恋する相手でもないのに……。
デモ──
恋する相手の父親だもんね。
また、茉芽ちゃんや麦くんに会えると思うと、たまらなく顔が
にやけるのを止められなかった。
神谷さんは結局公民館に来ていた人物が目の前の私だとは
認識できなかったみたい。
アドレス交換しつつ、私たちは互いの名前を名乗りあった。
「じゃあ、連絡待ってます」
「ええ、さよなら……」
お互いに少し頭を下げていい感じで別れた。
今度ここで会えた時は、彼らと最後まで一緒にいようって思った。
◇ ◇ ◇ ◇
一番年長の雨汰くんは、少しこだわりが強そうに思えた。
3才の次女はしっかりしていることもあるのだろう、結構見守りは
しているものの、あきらかに神谷さんが気にかけてる比重は長男くん
のほうが大きそうに見えたから。
来る日にメール連絡貰えるなんて、すごく助かる。




