41 ◇何して遊ぼっか?
茉芽ちゃんが私の手元を覗き込む。
「小さい文字ばっかりで読めないよねぇ~。
ふふっ。ね、お名前何て言うの?」
茉芽ちゃんだって、知ってたけど聞いてみた。
取り合えず神谷さんに対しては今日がはじめまして、という
体で知り合いになろうかな、って思ってるから。
「ま・め」
ってとっても小さな囁き声で教えてくれた。
かわぁい~いっ。
「茉芽ちゃん、何して遊ぼっか? いつも何してるの?」
父親から相手をしてもらえない茉芽ちゃんは私からの提案に
速攻飛びついてきた。
すぐに私の手を取り、ロングローラー滑り台まで歩き始めた。
神谷さんは何となく、2人を見つつこちらの様子も気にかけていたようで、軽く『あぁスミマセン』と言い、2人から目を離さずにいた。
まだ彼からじっくりと私の風体を見られてはないのだけれど、乙女チックで妙なへんてこりんな恰好をしたおばさんって思われてるんだろうなぁ~。
私なんて──伊達メガネまでしてきたからね。
夫が帰宅する前に着替えなきゃいけないレベルだもん。
まぁ、今日の出で立ちは普通の人が見たらかなり引くレベルさ。
ここまで涙ぐましくもコミカルともいえる服装にしたのは
神谷さんには、気取らず素で私と接してほしかったから。
ほんとっ、私ったら子持ちおじんに何を期待してるんだろうか?
よく分からんけどもさ、まぁ、今はこういうことをしたい
気分なのよ。
でも、茉芽ちゃんと滑り台で滑るの楽しすぎっ。
まだ何の穢れの洗礼も受けてない無垢な幼児と接することが
できるなんて、素敵すぎるっ。
茉芽ちゃんは私と一緒に滑ったり、1人で滑ったりと、私が側にいることでまた彼女も楽し気だった。
途中で茉芽ちゃんが神谷さんのところまで走って行った。
「パぁパっ、おしっこ」
「え~、そっか、じゃあトイレ行かなきゃなっ」
そう茉芽ちゃんに言った神谷さんは私のほうに1才児を抱いて
やって来た。
「すみません、トイレ連れて行くので子供たちのこと少しの間
お願いしてもいいでしょうか?」
言いながらもう1才児を私に手渡す動作にはいっていた、ので
私も受け取りながら──
「あっ、ええいいですよ」
と答えた。
「助かります、すぐ戻りますので」
そう言うや否や神谷は大急ぎで娘の芽衣を連れてトイレへと
急ぎ足で連れて行こうとしていたその時──
私はムラムラと湧き上がる悪戯心を抑えることができなかった。




