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『あなたに恋しました !』 ――最後は君を好きになる――    作者: 設楽理沙


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37 ◇ひとまず撤退



 

 お天気が今ひとつだったので、今日も駄目かな? と思いつつ

公園へ向かう。


 果たして──


彼ら神谷親子は公園にいたぁーっ。


『やったー!』



 香は小躍りせんばかりにうれしかった。

 病気が快方に向かうと知った時以来の喜びだった。



 久しぶりに私の気持ちは弾んだ。フェンスの金網越しに

いつぞやの見知った姿が4つあった。


 3匹のカルガモの父親は泣くカルガモに悪戦苦闘している模様。


 一度こちらをちらりと見たような。


 だけど、ややこしくも愛しい子カルガモの世話を焼かねばならず

大変そうだ。


 

 しかし、会いたいと思ってた割にたぶん会えないだろうとも

思っていたため、香は肝心のある準備を怠っていたことに気付いた。


 あ~、やっちゃった。


 香は自分の足元、ワンピースのフレアースカートの部分に視線を向けた。


 ついつい、いつものように外出時のお出かけ仕様で身なりを整えて

来てしまっていた。


 小顔で162cmのスラリとした細身の香は、顔も綺麗で見栄えよく、

いわゆる容姿端麗である。



 幼少の頃より周りから可愛いと言われ、大きくなったら

美人さんになるね、と言われて育ってきた。

 


 それでも高校生の頃までは、自分自身のことを特別だと

思ったことはなかったのだが。

 

 女性なら誰でも多少なり成人してお化粧をして美しい洋服で身を纏うよう

になると美しくなるものだが、香はそのような中でも、群を抜いていた。


 24~25才ともなると、その美しさに異性どころか同性でさえも

香に対して特別な人というカテゴリで接してくる人間が一定数

いた。


 そして香自身、その頃よりこれまでも、それを感じることが多々あった。


 夫との出会いもその流れで、強引にアプローチされての結婚だった。


 香は美しさに色艶も混じり何とも言えぬ魅惑的な大人の女性の入り口に

まさに降り立とうとしていた28才の頃に結婚した。


 当時は恋愛して結婚なんて、誰だって素敵な容姿、肩書、学歴、収入、

実家の財力など、ないよりあったほうがいいに越したことはないのだし、

そこに拘りは持たなかった。



 けれども自分が不治と思われる病になり、夫の態度が少しずつ変化して

いくさまを見ているうちに、そういう拘りに目が向くようになっていった。


 彼とは根っ子の部分で繋がってなかったのだろうと考えるように

なったから。


 彼が愛したのは、健康な身体と美貌だけだったのだろうと。




 だから、神谷親子とは裸の付き合いとまではいかなくても、まずはイケて

ない自分を演出してのスタートを切りたいと思ったのだ。


 こんな面白いことを考えられたのには、神谷が香にとって

恋愛対象から外れていたからかもしれない。

 

 なんてったって、そもそもターゲットは子供たちだったから。



 そんな考えでいた香はしばし、逡巡した。


 しかし、出直すとして、次はいつここで会えるか分からないのよ?


 3分、考えた。

 

 やはり出直すことにした。


 

『自分の今日の出で立ちはモデル並みに気合が入っているとまではいかずとも、

外出仕様になっているため、又の登場とすることにしよう』


 それほど意識していなくても、いつもの習慣で香は出掛ける時には、

出で立ちに気合が入ってしまうのである。



 名残惜しくはあったけれど、この日香は彼らと接触を持たず

あっさりと退場したのだった。

  


 そして香は次に会う時のことを考えると、変装して彼らと会うことを

想像して、なんだかワクワクしてくるのだった。


  

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