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『あなたに恋しました !』 ――最後は君を好きになる――    作者: 設楽理沙


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32 ◇神谷親子と公民館



 あの(ひと)は、おそらく私のことなど露ほども覚えて

いないだろう。


 だが、私のほうはしっかりと覚えている。


 私だけじゃないはずだ。


 あの日公民館に行った母親たちは誰もが多少なりとも彼のことを

記憶しているはずだ。


 まず、今時3人もの子連れは珍しい。


 そして父親が子供たちを公民館などに連れて来るなんて珍しい、って

子供を持たない自分も初めての経験だったので、断言できるほどの情報は

持たないけれど。


 だけどたぶん周りのお母さんや指導役のリーダーさんも同じ

じゃなかったかな。


 微笑ましくもあり、心配でもあり、見守っててあげたいって

いう気持ちになるの。


 大丈夫?

 大丈夫かな?

 あっ、あーっ、なんてね。


 

 申し訳ないけど、私は美晴ちゃんのこともそこそこに、ずっとやきもき

したり突っ込み入れたり、じわっときたり、と最後まで心持って行かれてた。


 だから、公園で見かけた時はすぐに神谷さんって判った。


 子連れでの公民館デヴュー、私にはあれが最初で最後かもしれない。


 つい先だって、ご近所の奥さんにお願いされて美晴ちゃんを

連れて公民館へ行った。



 親子連れで行ける児童サークルなるものがあるのだ。


 子育てで行き詰まってる母親のため、そして子供のためでもあると

思うけれど、まぁ、親子向けっていうところかな。


 核家族化が進んで、夫は多忙で子育ての手伝いはできないそんな状況下で

孤独な子育てに行き詰まりを感じている女性たちが一定数いることを何かで

読んだことがある。


 芸能活動を休止して家庭に入ったある女優が年子で二人目を産み、実の

母親に3年間、自宅に来てもらいずっと世話になったと話していた。


 ひとりでも大変なのに、私なら絶対年子では産まないなぁ。


 家族計画をしっかりと練り、手伝ってくれる母がいるので少しの手伝いを

当てにするとしても、そうだなぁ~3つは空けるかなぁ~。


 理想は2才違いと思うけれど。


 公民館で開催されている未就学児の為のサークルって親にとっても

子供側にとっても、ある種救いの場であるのには違いない、おそらく。


 市の広報などで呼び掛けっていうか、サークルの発信欄をよく見かける。


 その他にも、お年寄りだとゲートボールや簡単な運動平均的な市民にも

お料理やらヨガ、マラソン、陶芸、お菓子作り、ダンスなどイベントが

盛りだくさんに揃えられているのだ。


 公民館で開催されている児童サークルでは、いろいろ先生役の担当者が

遊びを工夫してくれて、ざわざわわいわいやってるうちに親子のやさしい

時間が紡がれていくのだ。


 

 小さな子供を持つ母親たちは、ずっと家に居ると子供に対して

イライラしてしまい、叱ることが多くなり、それが原因でそんな自分に

嫌気がさしてしまい、という風ジにレンマに陥る。


 そして更にイライラが募り、のスパイラルに──

正に負の連鎖に陥ってゆくのだそうだ。


 子供を持たないわたしがどうしてここまで母親たちの気持ち

に詳しいかって?


 公民館ではそういうことも、母親たちからSOSとして

話に出していたからだ。


 わざわざ小さな子を連れて、車を出してまで公民館に来る

意味を考えるに──


 やっぱり親と子だけで過ごす自宅という密室は良くないのだろう。



 一度手を上げると、止められなくなると嘆いていた母親もいた。

 あんな小さな子らに手を上げるのか? 話を聞いていて驚いた。


 あなた、子供産む資格ないよっ、なんて心の中で呟いていた。

 そう、私は何とでも──何とでも言えるのだ。


 彼女たちの輪からは外れた位置にいる人間だからね。


 だけどやっぱり言いたい。

 小さな子に手を掛けるのはやめようよ。


 どうしても叩きたいなら、自分のド頭(どたま)でも叩いとき

なさいっ!


 美晴ちゃんの母親にお願いされて連れて行ったけれど、私が

先に知り合ったのは美晴ちゃんだ。


 新興住宅地の中心にある小さな公園で会ったのがはじまり。


 知り合った日、美晴ちゃんはおばあちゃんとミニ公園へ来ていた。


 おばあちゃんがやさしくて気さくな方だったから、美晴ちゃん

ともすぐに友達になれた。


 それは、3人を包むようにゆったりと流れるやさしい時間だった。


 

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