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24 ◇妻の座
自分を無謀にも少しばかり持ち上げて考えたとして、妻の座を
狙えるというのならば、まだ自分にも一番になれる可能性はあるかも
しれない。
だが康之にはすでに妻がいて、成れるのは恋人もしくは愛人の
座しかない。
──となると、家庭的なことが得意でもこれは高得点には
ならないのだ。
スタイルも美貌も話術も到底私は彼女には敵わない。
悲しいけれど初めから勝負のついてる戦いをするほど愚かな女には
なりたくない。
石川という存在が登場するまで桂子は心密かに妻以外で康之の心の
拠り所になれたことに、喜びを感じていたのだ。
どんなに想っても手の届かないような類の男性と週に
何度かのおしゃべりを楽しみ、自分の作った手弁当や夕飯に感謝され、
それどころか女性として見られるような関係にまで発展し、天にも昇
るほどに有頂天だった。
だから、康之と石川が親密だと噂で知った時はかなり落ち込んだものだ。




