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『あなたに恋しました !』 ――最後は君を好きになる――    作者: 設楽理沙


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12 ◇ セカンドオピニオン




 こんな風に考えるようになった切っ掛け、それは……。


 私の子供の頃からのお年玉貯金を管理してくれていた母が、私が成人して

数年後に、私に譲渡してくれることになった。


 額面にして、300万円ほど。

 

 私が生まれた頃からだから、ちょうど通帳も新しいものと交換しないと

いけなくて、ふたつの懸案が重なった。


 両親は私の名前で預貯金してくれていた。


 丁度そのころ私は仕事に忙殺されていて自分で某銀行に行けなくて

母親が手続きに行ってくれた。


 A支店に行くと、私の運転免許証と委任状だかなんだか、提出するように

言われたそうだ。


 ひと昔前なら考えられないようなことを。


 子供の名前で貯金していても親がお金を入金しているのは明らかで

赤子が貯金しに行けるのか?

幼稚園児が行けるのか?

小学生が行けるのか?

となるでしょうに。


 今は犯罪が横行していて、昔のようにはいかないのかもしれない。

 決まりを作り、マニュアルから少しでも外れることは、外すことは

許されないというような風潮になってきているのも分かるけれど──だ。


 しかし、である。


 何もその時母親は出金して他銀行に移すと言った訳でもなく、

ただ単に古くなった通帳を某銀行から刷新してほしいと告げられ、

その古い通帳を新しい通帳にするだけのことだったのだ。


 すなわち、同銀行にこれからも預貯金はそのまま据え置くということで

あったにも関わらず、子供の運転免許証が──委任状が──


こんな場合には住民票も──とかまぁ、聞いていて理不尽とも取れる対応を

そこの行員はとったのだ。


 20数年、親の時代も含めるともう何十年もの長きに亘、ずっと

顧客だったにも拘わらず。


 信頼されていないも同然ではないか。




 町の某銀行に20年も前から毎年貯金している客に対して、あなたでは

出せないとはこれいかに?

 ──と、その時母は閃いたという。


 近隣にもうひとつ小さな支店があることを思い出したのだ。

 支店が変われば、担当者(行員)が変われば、もしかして、と思ったらしい。



 ビンゴ……!


 母が恐る恐る、手続きのことを聞くと普通に新しい通帳に入れなおせる

とのことだった。


 もちろん私の免許書も不要。

 印鑑があればOKだった。


 しかも、母と私の考えと同じことをその行員は語ったという。

 

 他の銀行に移すのではありませんからぜんぜんそのようなお子さんの

委任状とか免許証はいりませんよ、と。


 母は、別の支店での応対のことは一言もその人には話さなかったと

言ってた。

 ややこしくなって藪蛇になるのも嫌だからと。


 同じ銀行で、近隣であるにも関わらず、人が違うだけで同じことに対する

対応がこんなにも違う、という経験を私たちはしていた。


 そしてベッドで横になって、自分の病気に何か活路はないかとうつらうつら

考えていた時にふと、思い出したのだ。


 人が変われば、場所が変われば、何かが変わるかもしれないと。




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