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第1話 2月14日、バレンタインデーですっ!

2月14日はバレンタインデーということで、幼馴染み×チョコレートのお話を投稿します!

短編のつもりで書いていたら長くなってしまったので、連載の形を取りました。

9話完結の予定です(下書きは完成済です)。

2月11日~2月14日の期間に投稿、完結となります。


↓高崎小雪 視点

 今日は待ちに待った2月14日、つまりバレンタインデーです。


 女の子が男の子にチョコレートを渡す日です。


 世の中には義理チョコや友チョコといったものもあるようなのですが私が渡したいのはただ一人だけ……。


 私は首に雑にマフラーを巻いて靴を履きます。

 そしてドアに手を掛ける前にカバンの中に入っている赤い包装紙に黄色のリボンで結んである四角い箱があるかどうかもう一度視界で確認し、そっと手で触れた後に家を出ていつも通り彼の家へ向かいます。


 もう何回通ったか数え切れないほどたくさん通った、そしてこれからも歩き続けるであろうこの道を通って大切な幼馴染みである彼の家に歩きます……といっても30秒ほどで着いた所でインターホンを押します。


「おはようございます。小雪です」


『あらっ、おはよう!すぐに開けるから待っててね!』


「はい」


 インターホンから聞こえる快活とした女性の声を朝から聞くだけで私の心はとても晴れやかな気分になります。この声を毎日こうやってインターホン越しで聞いていますが毎朝の私の元気の源です。


 そして数える暇もなく扉の向こう側からドタドタと大きな足音が聞こえてバタンと勢いよくドアが開けられます。


「おはよう!小雪ちゃん!今日も綺麗で可愛いわねっ。赤色のポニーテール今日もバッチリねっ!」


「おはようございます、綾お姉さん。き、綺麗だなんてそんな……、綾お姉さんこそとてもお美しいですっ」


 そうです、綾お姉さんには私なんかでは太刀打ち出来るはずがありませんっ。


 私は目の前にいる女性の顔を眺めて恐縮してしまいます。彼女は黒崎くろさき あやさん。


 地元の国立大学に通う現在経済学部の1年生です。高校1年生である私とは3歳年上で、化粧をしていなくても毎日のお手入れのおかげなのかすごく肌が綺麗で視覚だけでもわかるくらいにお肌はモチモチでスベスベです。


 私とは小学校から姉妹のように親しくさて頂いており明るく元気一杯で、でも困ったときには真摯に相談に乗ってくれるとても頼れるお姉さんです。


 スタイルも長身でありながらスッとした体型、でもしっかりと出るところは出て美しい曲線を描くスタイルは完璧。加えて私とは違って年上が醸し出す色気があってとても魅力的な女性です。


 そんな「小雪ちゃん」と呼ばれている私の名前は遅くなりましたが高崎たかさき 小雪こゆきと言います。先程も言いましたが高校1年生で、バレー部に所属しています。


 身長は少し小さめで154cmほどしかありませんが幸いにも私は足のバネの力が強いらしく必死に練習した結果、身長の低さをジャンプで補えるようになり基本前衛でアタックを打つ役回りです。


 私の髪は他の子と少し変わっていて髪が赤色なんです。初めはこの赤色の髪が皆からいじられるきっかけとなってしまいこの血のように鮮やかな自分の髪が大嫌いでしたが、彼が褒めてくれたその時から私はこの髪が好きになれるようになりました。


 ポニーテールなのはバレーのため、というのもありますが何よりも初めて彼に褒められたのが赤髪のポニーテールだったので嬉しすぎて今でも止められません。彼は私の髪を綺麗だといつも言ってくれます……って私の話は今はどうでもいいですよね。


 黒崎綾さんに話を戻しましょう。彼のお姉さんである黒崎綾さんとは小さい頃からたくさん面倒を見て頂き今でもたくさんのお世話になっています。


 そして私の胸中を知っている数少ない人です。


 そんな私は親しみと尊敬の意を込めて「綾お姉さん」と呼ばせていただいております。


 でも、いつか別の呼び方で呼んでみたいと妄想は膨らんでいますが……って、それはま、まだいけませんっ!


「もうっ、小雪ちゃんもそんな謙遜なんかしなくてもいいのに!でもありがとうね。それで、今日もいつも通り?」


「はい、そうです!」


「いつもありがとうね。全く毎朝こんなにも可愛い子が迎えに来てくれているのにバカ弟は一体何やってんだか……はぁ」


「い、いえっ、私が好きでやっていることですから……むしろ毎朝お邪魔してしまいすみません」


「こらこら、謝らないの。今朝ご飯食べ終わった頃だろうからすぐに呼んでくるわね。外は寒いから小雪ちゃんは玄関で待ってて、って小雪ちゃん外は寒いんだから着けているならマフラーをちゃんと巻かなきゃだめよ。あたしが巻いてあげよっか?」


「い、いえっ。これでだ、大丈夫ですからっ」


「あら、そうなの?……あぁ~なるほどね、まったく小雪ちゃんも可愛いことするわねぇ~。確かにこれはあたしの役目じゃないわね。ふふふっ、じゃあ可愛い子の真っ白な首を温めてくれる人を急かしてくるからちょっとだけ待っててね…………こらぁっ黎人!小雪ちゃんもう来てるわよ!早くしなさいっ」


「ちっ、違いますっ!」


 いえ、違わないんですけどっ。


 私の目論見をいとも容易く見破った綾お姉さんはニヤニヤと微笑ましい目で見てポンと頭を撫でた後、私が待つ彼を呼びにリビングへ入っていきました。


 喧騒さが消えて廊下の肌寒さを感じながらも何度も見てきた玄関をくるりと見渡します。


 綺麗に整えられた靴が4人分。その中にはいつも見慣れている黒いランニングシューズが視界に映って思わず心がほっこりしてしまいます。


 玄関に置かれているクマの置物、その近くに生けられている造花は毎年のように替えられていて今年はどんな花が飾られるのか実はとても楽しみにしています。次はどんな花なんだろうなぁと思案していると廊下の向こうからガラガラとドアがスライドする音が聞こえてきました。


 その何度も聞いてきた音に私の心臓はドキンっと強く拍動してさっきまで冷えていたはずの体が熱を帯びるのを実感します。


 私は確信して顔を上げて今日も一番待ち望んでいた人をこの目で捉えます。


「おはよう、小雪。寒い中待たせてごめんな」


「いえ、おはようございます。黎人くん」


 申し訳なさそうに頭を掻きながらも、穏やかな笑顔を浮かべて私の目をまっすぐに見つめる私の一番大切な小学校からの幼馴染み、高崎たかさき 黎人れいとくん。


 彼の優しい笑顔を見て私は嬉しさで一杯になり幸せがトクンと胸に染み渡ります。


 そして私の心臓は彼の出現と共にバクバクと大きな音を立てて鳴り響きます。それくらい私は毎日こうやって黎人くんに会えるのが楽しみで、嬉しくて、幸せで……でもちょっぴり恥ずかしい、そんな心温かな朝をこれからも過ごせたらいいなと私は切に思います。


「よし、準備できたぞ。それじゃあ行こっか……って」


「どうかしましたか?黎人くん」


 黒いいつもの靴を履き終えた黎人くんは私の首元を見て何かに気付いたのかグッと距離を詰めて私の首元に手を伸ばします。


「こら、小雪。外は寒いんだから。ちゃんとマフラーしなきゃダメだろ?ちゃんと巻き直してあげるからじっとしてな」


「は、はいぃ……気付きませんでした、ありがとうございます黎人くん。……へへへ」


 ち、近いですっ。


 でも黎人くんの顔がこんなにも近くにあって、マフラーを直してくれています。朝からかっこいい黎人くんの顔を視界いっぱいで見ることが出来て思わず飛び跳ねちゃいそうですっ。


 ふとした拍子に黎人くんの大きくてしっかりとした指先が私の首元に触れて肩がびくんとしてしまうくらいにくすぐったい気持ちではありますが、それ以上に彼に触れてもらって嬉しくてたまりませんっ。


 心臓の鼓動が恥ずかしさのあまり悲鳴を上げているように感じますがこんな痛みなんて黎人くんに触れてもらっている幸せのためなら安いものです。


 へへへっ、作戦通りです!


 黎人くんがマフラーを巻くのに集中してくれて助かりました。きっと今の私の顔は真っ赤に染まっていて女の子として見られてはいけないくらいにニヤニヤとした顔を浮かべているはずです。


 しかし、そんな幸せな時間もすぐに終わってしまい手先が器用な黎人くんは慣れた手つきで私のマフラーを巻き直してくれて距離を取りました。

 さっきまでの時間が惜しいと思いながらも私の今の首元には彼の手が触れたほんのりとした温かさに包まれます。


「よし、できた。キツかったり緩いとかあるか?」


「いえ、大丈夫です。すごくぴったりでとても温かいです。ありがとうございます、黎人くん」


 私は黎人くんが巻いてくれたマフラーをきゅっと両手で押えて黎人くんの残り香を感じながら、私のわがままを叶えてくれた黎人くんにお礼を言います。


 そんな私の意地汚い計画など疑うこともなく黎人くんは優しい笑顔を浮かべて私の心をときめかします。


 もう心臓がバクバクで嬉しくてたまりません。


 ニヤけ顔になっていないか不安ですが、黎人くんの様子は特に変わっていないのできっと大丈夫でしょう。

 もし、ニヤけたまま放置されていたのだとしたら、もう恥ずかしくて一生お嫁さんい行けませんっ。


 お嫁さん……ふふふっ……。


 いけませんっ、浮かんできた妄想を頭をぶんぶんと振って掻き消します。


 今日の日付を強く意識しているためかどうしても気持ちばかりが先行してします、もう少し落ちかせなければなりません。


「そうか、それはよかった。じゃあ行こうか小雪……行ってくる!」


「私もお邪魔しました、行ってきます」


「はーい!2人とも行ってらっしゃい!」


 リビングにいるであろう元気な綾お姉さんの声を背に私は今日も大好きな幼馴染みで大好きな黎人くんと一緒に高校に向かいます。


読んでいただきありがとうございます!

面白い?続きが気になるかも?と思った方はブックマークや評価★をよろしくお願いします!

次回もよろしくお願いします!


↓以下宣伝です。

私が、投稿している完結小説の後日談の方でもバレンタインに関するお話をあげております。

こちらは既にくっついた2人がイチャイチャするだけですが、よければ是非読んで見てください!


刹那の想いを紡ぎ重ね永遠に『俺は幼馴染の美少女と住んでるんだけど、誰よりも優しいそんな彼女とずっと一緒にいたい。ただ、それだけの話』

https://ncode.syosetu.com/n9943gf/

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