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学園騒乱編〜報告書②〜

投稿が遅くてすみません!


〜1週間前・京都某所〜


 エージェントを辞めてから2ヶ月が経ち、俺は京都のとある裏道でひっそりと何でも屋兼喫茶バーを経営している。


「必要な物は揃ったし、後は帰って開店準備するか」


 裏道を進み自店へ戻る途中はずっと今度の新作メニューは何にしよう等を考える。

 エージェント時代であれば、毎日命のやり取りで気が抜けない日々であったが、こう毎日が平和だと考える時間が増える事で新鮮で楽しい気分になる……つまり浮かれ気味である。


(…………?)


 店前に到着し扉に手を伸ばそうとしたが手を引っ込める。


(人の気配…人数は2人…)


 刹那に色んな事を憶測するがどれも該当したりデメリットも感じないので対応出来ると断定し店内に入ると奥の席に2人組の人影が認識できる。

 俺が入って来たのが分かったのかその2人組は立ち上がりこちらを確認する様に見つめてくる。

 俺も2人の男女を認識したがそこで困惑する。


「――っ!?」


 ありえない…色んな憶測を考えたがこの事態は予想していなかった…と言うより()()()()()()()()()()


「どうして、ここに…」


「…()()()()()のですね」


「色々、言いたい事があるが()()()()()()()()()…」


 目の前の2人組の存在が嘘であって欲しかったが2人組が俺に声をかけてきてそれが現実だと分かり自身を落ち着かせ冷静に対応する。


「どうやって突き止めた……父さん、母さん」


 情報隠蔽は入念を重ねやっており、ましてや目の前で()()()()見た筈なのに

探し出して見つけるなんて不可能な筈……と思っていると父親から答えが帰ってきた。


「……内山首相から話を聞いてここに来たが実際目にするまでは信じられなかった。」


 なる程な、あの内山首相(クソ野郎)今度ガチで潰す内山を俺のキルリストに載す事にした。





 〜首相邸〜


 書類を整理しながら考え事をしていた内山首相は急に悪寒を感じる。


「ぶぇっくし……」


 くしゃみを聞いた秘書が心配そうに声をかける。


「内山首相お風邪ですか?」


「そうだろうか……急に悪寒がしてな」


「体調が悪いなら早めに仰って下さい、すぐに救急車等手配致します。」


「大丈夫だ安心したまえ」


「本当ですか?」


「きっと誰かが私の事をかっこいいとうわさしているのだろう」


「……………」


 ※注意、そんな事は決してありません。


 多分それは無いだろうと考え苦笑いする秘書であった。






 〜京都某所の店内〜


「…とりあえずここに居る経緯は分かった」


 とりあえず2人を席に座らせた後、俺はここに居る経緯を詳しく聞いた。

 情報隠蔽は入念にしていたが自身の家族を侮りマークしていなかった結果であった。

 

「だとしても、ただ会いに来た…って訳でも無いだろ?」


 俺は回りくどく聞くのは好かないので敵意剥き出しで単刀直入に目的を聞くことにする。


「アンタ等は何が目的だ?」


 久しぶりに会った親に何て物言いだと思うが縁は切ってあるので言わば赤の他人なのだ。

 そして言われた2人は縁を切られそして死んだ筈の息子に久しぶりに会ったが変わった息子に何て話したら良いのか分からないのか俯き空気が重くなる。

 そんな状態が数分続き、流石の俺もこの状態は好ましくも無いし目的が聞けないのであれば対処が出来ないので敵意を無くして口調も和らげ両親に再度聞く事にする。


「父さんと母さん、流石に何か言ってもらえないとこっちも困るよ…久しぶりに会って緊張してるのはお互い様だろうし」


『………』


 黙っていた父さんと母さんは俯いた顔上げ立ち上がると座っている俺の真横に来るので俺は緊張状態になる。

 一体なんなんだ……ここまでして両親は何がしたいのか全く分からない……総理に聞いたって事は俺の仕事も知っているのであろうから恐喝?いやなんのメリットも無い…ならば金をせびりに?それこそナンセンスだろうな、まず見た目からして困ってないだろうし。

 俺は両親をよそに考え事をしていると両親がこっちに手を伸ばしまさに襲いかかろうとしたので対処しようと身構えるが……。


「…へ?」


 我ながら何と間抜けな声を出したのだろうと思う。

 両親が大泣きしながら抱きついてきたので呆気に取られてしまう。


「本当に…本当に生きててよかったですわ…」


「あぁ…こうして生きてる姿を見れて、私は幸せだ……」


 涙ながら言う両親に「そんな大袈裟な…」と言うとさらに2人は俺を抱いている腕の力を強め更に号泣する。

 こんな時どうしたら良いものか分からないが2人を落ち着かせる為に2人の頭を抱きかかえ撫でてみる。


「はぁ…これじゃどっちが親か分からねーよ…」


 この後、この状況が収まるまで数十分を要した。


 〜数十分後…〜


 とりあえず号泣する両親を落ち着かせる為にホット珈琲を淹れ差し出す。

 両親は珈琲の香りが部屋に充満する頃には落ち着きを取り戻し差し出された珈琲を受け取る。


「良い香り…ですね…」

 

「あぁ…」


「温かい内に飲めよ?」


 俺が促すと両親はカップに口をつけ飲み始める。


「美味しいですわ…」


「そうだな…美味しいな」


 元気がやっと出たのか微笑する2人に安堵するがこの2人は食レポとかには向いて無いだろうなと思うが口にはしなかった。

 数分後に俺は見計らった頃に両親に本題を切り出す。


「…で、どうして俺に会いに来たんだ?」


「それは…」


「……」


 言いにくそうに言葉を詰まらせる2人だが単純に死んだ筈の俺に会いたいって思いはあったのだろうとは思っているがそれだけじゃ無いと俺は確信していた。


「勿論、純粋に俺に会いたいって思った事実はあるだろうけどそれならここまで直接来なくても天ヶ崎家の力なら俺を屋敷に連れて来る事も出来たろうに」


「………」


「確かに、そうですわね」


「まぁ、来た所で全員半殺し程度で返り討ちにするけどでも、それをしなかった…いや出来なかったって事は身内を巻き込んだり聞かれたりするのは不味い話を俺に相談したかったんだろ?」


 ここ最近増えた事件の報道や昔の事を思い出し1つの仮説を立て確信に変える。

 報道では天ヶ崎財閥への未遂事件等があり気にかけており、何かしら裏ルートで俺の所にいつかは接触が来るかも知れないと思っていた。

 まぁ…当主自ら来るとは思っていなかったが。


「…察しが良いんだな」


 父さんが重々しく口を開いた。


「まぁ、色々とやったからね」


「…そうだったな」


「でも、そのせいで貴方は…」


 父さんと母さんは悲しそうな顔で俯く。

 別に俺の事に関して同情や哀れみは不要だと思っている。

 俺が自ら選んで進んだ道であり()()()()関しても両親が負い目を感じる事は無いと思っている。


「気にしなくて良い」


「だが私達は―――」


「もう良いんだよ、終わった事だし」


『………』


 食い下がろうとする両親に割って告げると両親はこちらを見つめて出かかった言葉を胸にしまう。

 それでも2人は死んでいたと思っていた息子が目の前に居るという事実に取り戻そうとする意思と自責を感じているのが分かるので諦めさすように伝える。


「確かに総理が話さなければこうやって出会う事も無かったけど、あの日天ヶ崎優人(自分達の息子)は死んだんだ…父さんや母さんが背負う事も無いし負い目を感じる相手ももう居ない……だからここに居る俺は赤の他人として接してくれ」


『だが(それでも)………』


『お前は(貴方は)私達の息子だ(よ)』


 どうやら両親は俺の事を諦めるつもりは無いらしい…まったく困った両親だよ。


「…とりあえずそろそろ本題を話してもらえないならそろそろ帰ってほしい」


 再会した2人に冷たいかもしれないが…じゃないとこっちは店が開けられない。

 一応、生活費かかってるので。

 

「分かった、話の腰を折ってすまない…私から説明する。」


 父さんがどうやら察してくれたようで、ようやく本題に触れる事になった。


「単刀直入に言うが…お前の母校、天ヶ崎学園に入学してほしい」


 …この回答は予想外だ。


「断る」


 とりあえず即答だよね。


「なっ、どうしてだ?」


「いや、俺世間的には死亡扱いなのにのこのこ出てきたらおかしいだろ?常識的に考えて?」


 とうとうボケたのか?と内心思ったが心に秘めておく。


「た、確かにそうだが、外見が似ているという感じでなら大丈夫じゃ無いのか?」


「そんな見てくれの嘘なんか直ぐにバレるし知り合い…姉と妹、昔のクラスメイトが居るなら余計にリスクが高い」


 流石の俺もそんなバレるリスクしか無い場所に行くなんて断固お断りだね。


「…それでも頼む」


 絞り出す様に言う父さんは頭を下げる。

 財閥の当主自ら頭を下げるなんてあり得ない状況で

余程緊迫した状況と理解してその理由を尋ねてみた。


「……そこまでして入学させたい理由は?」


 勿論、納得出来ない下らない理由なら依頼を蹴るつもりではある。


「知っていると思うが、今天ヶ崎財閥は謎のテロリスト共に圧力をかけられている状態で幾つか未遂事件はあるが報道にはされていない事件が幾つもある」


 …なるほどね。

 だいたい読めてきた。


「それで、次にターゲットになりそうな場所が天ヶ崎学園でありそこに潜入入学して警備しろと?」


 言い当てたのに驚いたのか2人は目を見開く。


「なら警察に頼んだり、天ヶ崎財閥のエリート部隊使った方が早いんじゃ無いのか?」


 天ヶ崎財閥のエリート部隊はSWATの中でもエリート中のエリートを引き抜いた護衛部隊でありそんじやそこらのテロリストなら歯が立たない程である。


「…確かにその手もあったが先の事件で人員をそちらに割いてて回す余裕が無いのと、警察だと大事になりかねないしテロの際鎮圧出来るとは思えんのだ」


 まぁ、一理あるな。

 エリート部隊より警察の方が鎮圧力高かったら部隊を作った意味もないし、急に警察が警備をしていたら学園の生徒に混乱や不安を与えかねないしな。


「…とりあえず現状ら大体察した」


「なら受けてもらえるのだな」


 引き受けて貰えると感じた父さんは希望に満ちた顔でこちらを見る。

 けど…あえて俺は言おう。

 皆んなも知っているあの魔法の言葉を!!


「だが断るっ!!」


 誰しもきっと1度はこんな場面で言ってみたいセリフであろう。

 俺は決まった…そう思ったがその場に耐え難い静寂が訪れる。


 『………』


 2人は遠い目をしている。

 うん…ごめん、そんな反応になるよな。

 茶目っ気を出してみたがスベるとなるとこうも辛い物は無いので気を取り直して話を進めるとしよう。


「…まぁ、話を戻して、俺自身が学園に入学するのは無理な話だが潜入は無理では無い」


 どうゆう事かと2人は首をかしげる。


「1週間後、用務員として潜入するから話を通してくれたら後は俺が勝手にやるから」


「分かったが…大丈夫なのか?」


 父さんは心配そうにこちらを見る。


「大丈夫だって…心配するなら初めから頼むなって話になるぞ?」


 それを聞いた2人はホッと胸を撫で下ろした。


「んじゃ…そろそろ…」


 こうして1週間後、俺は天ヶ崎学園の用務員として潜入する事になった。


読んでくださってる方へ

投稿が遅くてすみません・・・

仕事やらなんやらで投稿時間がなくて中々出来ませんでした。

気長にやってるので温かい目で見守ってもらえるとありがたいです。

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