〜合流と新たな出会い?〜
毎度投稿頻度遅くてすみません。
読んで下さってる方に申し訳ないと思いますがそれでもご愛読頂ければと思います。
あむあむ……あむあむ……あむあむ……。
さて今の俺は何をされているかと言うと……突如目の前に出現したアイリスがこちらに飛びこんで来た衝撃で体勢を崩し、胴体辺りに手足を回され対面抱っこ状態になる。
その後は首元に顔を埋めてゔー、ゔーと数回唸った後、何故か首筋を甘噛みされている。
「おーい…アイリス?」
あむあむ。
「アイリス?」
あむあむあむ。
「離れてくれないか?」
ぎゅうぅぅ……あむあむあむ。
余計に手足に力を込められ離れる素振りが見れない。
あむあむあむ……。
───ぺろっ。
「!?」
首筋を舐められて背筋がゾクっと震える。
「お、おい!いい加減止めろ?」
と、言ってみるものの止めてくれる気配が無いので満足するまで放置しながら頭を撫でてやる。
まぁ、誰も居らずこんな場所も分からなければ不安になるのも当然か…。
そんな事を思いながらこの後の事考える。
◇◇◇◇◇◇
アイリスを放置してから十分位は経つだろうか…まだ俺の首を甘噛みしているものの落ち着いたのであろうか会話が出来るまでには回復したのである。
ちなみに撫でるのを止めると思いっきり噛んでくるのでずっと撫でっぱなしである。
「アイリス?いい加減離れてくれないか?」
「いやです」
「何故に?」
「私、頑張りました……皆んなを探すのに十数日色んな森を探索していました……その苦労をボスは労うべきです」
「お、おう……?」
いつも以上に自身の活動を力説するアイリスに気圧され疑問系で答えると彼女は手足に力を更に込めてくる。
「だからご褒美としてボスを好き放題出来る権利を……」
「……ご褒美が重くないか?」
明らかにこの要求は呑んではいけない気がする……とりあえず何か他に要求を……痛たたたたたっ!?手足の力を能力使って増強するなよ!?あ、こら!噛むなよ!!。
「あぁーもう、話が進まん!いい加減にしろアイリス!!」
いい加減、流石に色々と話など聞きたいのでアイリスを叱ると彼女はビクッと身体を震わし俺から離れ、隣に座る。
その姿は飼い主に怒られてしょんぼりしている仔犬のようだ。
「はぁ…そんな顔するなよ、ご褒美は後で考えるからとりあえずここまでの何があったか聞きたい」
彼女の頭を撫でながらそう問いかけると悲しそうな顔から一変、パァっと明るい笑顔に経緯を話してくれた。
「なるほどな……」
アイリスの話を聞く感じ初めの状況は同じだ。
ヘリは消え、聖骸も消えて仲間も周りにいない状況…違う点であるなら俺とは違う場所の森で目を覚ましたらしい。
確定では無いが…全員無事で違う場所に居る可能性は見えてきたな……。
「アイリス、何はともあれ無事で良かったよ」
そう言いながらアイリスの頭を撫でてやると彼女は幸せそうな顔をしながらその身を任せてくる。
同い年だが現在の彼女の姿だと妹だと思って甘やかしたくなるのは心の中の秘密である。
「とりあえず…アイリス、今日は野営にしよう」
「野営……ですか?」
そう告げると彼女は街に行かないのですか?と言った感じの雰囲気を出す。
「時間が時間だしな……」
そう言って空を指してアイリスに見るように促す。
彼女は気づかなかったのか、だいぶ陽は傾きつつある。
それに気付いたのか、あっ……と声を漏らして落ち込んでいく。
「ごめんなさい…ボス、私が言うこと聞かないから……」
先程まで幸せそうだったのに急にテンション下がって悲しそうな顔をするアイリスに気にすんな、とだけ声をかけて野営の準備を始める。
「アイリスは焚き火に使えそうな枝など集めてくれるか?」
「……了解です」
気にすんなと言った筈だがよっぽど落ち込んでいるのだろう……いつもより数段トーンが下がった声で返事をしてフラフラと集めに行く姿に苦笑いしつつ野営の準備を素早くこなす。
◇◇◇◇◇◇
あれから陽も沈み、辺りは真っ暗で灯りは目の前の焚き火だけである。
食事も済ませインスタントコーヒーを飲みながらアイリスをチラッと見る。
彼女は焚き火から少し離れた位置から膝を抱えて無表情な顔をしながら焚き火を見つめている。
無表情なのは毎度なのだが長い付き合いだから分かる、今回は少し違う。
まだ落ち込んでいるのか目が魚が死んだような目しているんだよなぁ…。
重症だな……そんな気にする事じゃ無いのに、いや……もしかして街に行きたかったのか?確かに1週間以上森に居れば当然か?……など色々と考えると彼女の意を汲み取れず悪い事をしたと思う。
はぁ……とため息しつつ空間収納から大きめのブランケットを出してアイリスの近くに寄るが何も反応が無い。
アイリスに座るぞ?と声をかけると彼女はこちらを見る事なく……はい、の一言だけで会話を終わらす。
ここまでの様子になると初めてアイリスと出会った時を思い出す……あの時はマジで大変だったな……。
そんな思い出に苦笑いしながら彼女を背後から抱きかかえるように座り込む……いわゆるラッコ座りをして俺と一緒にブランケットで包み込む。
以前、彼女に初めて会った時に一度だけした事がある。
最近もう一度やってとしつこくせがまれたが却下の2文字でお断りしたのだが……これで許してくれません?
数泊遅れてアイリスが今の状態に気付いたのかこちらに振り向く。
「へっ?はぁっ?ふぇ?」
俺の予想外な行動に驚いたのか素っ頓狂な声で慌てて今の自分の状況に理解が追いつくと彼女の顔がみるみる赤くなって抱えていた膝に顔を埋める。
気のせいかアイリスから熱を感じる。
「ど、どどどうしたのですか!?」
あまりにも驚いてキョどるアイリスに少し笑いが込み上げると共に少し安心する。
「いや悪い、本当は街に行って休みたかったよな……気づかなくて本当に悪かった……これで詫びになるか分からんが───」
「ボスは…悪くないです……」
彼女はそう言って俺にそっと体重を預ける。
この状況に季節も場所も違うが懐かしく感じる。
「こうしてると初めて会った頃思い出すな…」
その言葉に彼女は驚いた顔でこちらを見る。
まだ少し頬が紅潮してる気もしないが……。
「覚えて……いるんですか?」
不安そうに聞いてくる彼女につい笑ってしまう。
確かに多忙な日々で昔の事など忘れるかもしれないが、こいつらとの出会いを忘れる訳がない。
そんな俺を見るアイリスは笑われたのが嫌なのか少しムッとした表情を見せそっぽを向く。
「嫌いです……」
「怒るな怒るな……ちゃんと覚えてるよ、逆に忘れる方が難しいな」
彼女の機嫌取りするように頭を優しく撫でながら言うが……。
「ボス…最近頭を撫でれば私が機嫌が良くなるって思ってません?」
あはは……そう言われると苦笑いするしかない。
「そ、それで?少しは元気出たか?」
話を変えるように彼女に聞く。
「やっぱり、私…ボスには迷惑かけてばっかりですね…」
「迷惑かけられてるなんて思ってねーよ、気にすんな」
別に迷惑かけられてると思っている訳が無く、気さくに答える。
彼女や他の皆んなもそうだが俺や任務に関わる事で何かあったりすると申し訳なさそうに落ち込む。
「だ、だけど!」
「気にすんなっつてんだから気にすんな、俺はもう元ボスだけど…これまで迷惑かけられたと思った事なんて一度もねーよ」
「…………」
俺がどうでもいいような感じで言葉を返すと彼女は黙ってしまう。
誰しもいつかは大きな失敗だったりやらかしたりもするが、正直俺はそんな些細な事はどうでも良いと思っている。
その後、本人達がどう行動して成長するかが大事だと思っておりちゃんと成長するなら尻拭いや後始末など俺にとっては苦では無い。
まぁ、俺も隊を無理矢理抜けているから偉そうに言えないけど……。
「まぁ、本当に気にすんな」
納得したのかしてないかは分からないが彼女は黙って頷く。
◇◇◇◇◇◇
翌日の朝、朝食を取ってからアストレイアに帰ろうと思ってアイリスと準備を始めていたのだが……。
「ボス……何か拾った」
アイリスにそう言われて彼女の方に顔を向けると2つの何か物体を抱えている。
透き通るような黒と白の柔らかそうな丸い物体………。
………何アレ?
俺もよく分からないのでアイリスに近づいて確認してみると僅かにだがプルプル動いている。
………これ抱えても大丈夫なの?
(珍しいわね)
久しぶりに念話登場するリーゼに驚くとアイリスが不思議そうな顔をしたので気にしないでくれと誤魔化し念話に集中する。
(リーゼ、急に話しかけてくるなよ…焦るから)
(マスターもいい加減なれたらどうかしら?)
まぁ、慣れないといけない事は確かだが…こうも簡単に何もない所で意識外から急に声をかけられると驚くなって方が無理である。
(それはそうと黒と白のスライムなんて珍しいわ)
へぇー珍しい色のスライムかぁ………ん?スライム!?
アイリスが抱える謎の物体、もといスライムに目をやると2匹ともプルプルしながら、もぞもぞと動いている。
「アイリス……それ魔物だから急いで自然に帰してきなさい……」
害は今の所無さそうだが、何かあっても困るのでスライムには丁重にお帰り頂こうとアイリスにそう言うが……。
「……魔物……でもボス、これプルプルしてて可愛い」
うん、君可愛いものには目がないよね。
でもそれは辞めとこう。
てか辞めなさい。
「アイリスさん?流石に魔物は駄目だと俺は思うが……」
「……クロとシロ大人しいから大丈夫」
もう名前までお決めでペットにする気満々ですか……。
犬みたいな名付けをされたスライム2匹も彼女の腕の中で大人しくプルプルしている。
(リーゼ、スライムに害は?)
(珍しいタイプのスライムだけど害は無いわよ?)
俺の問いかけに秒で答えるリーゼ。
はぁ……とため息を漏らす。
「アイリス、魔物は街に連れて行けないぞ?」
「……大丈夫」
そう言ってアイリスは自分の両腕の裾に1体ずつスライムを入れる。
ちなみにアイリスの服の腕裾は着物の腕裾みたいに裾丈が長いので色々と物が入れられる。
「……これなら大丈夫」
自信満々に言うが勝手に出てきたらどうするんだろ……うん、もういいや考えるの疲れた。
俺は多分何言っても飼う気満々のアイリスを見て、考える事とスライムを自然に帰すことを諦めて朝食の準備を始めた。
最後まで読んで下さってありがとうございます。
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