〜誰も居ない日々〜
皆様お久しぶりです。
久しぶりの投稿です……なにげに忙しくて時間が取れませんでした。
※アイリス視点
「ここ……どこ?」
目が覚めた私はそう言って首をこてんと傾げる。
さっきまでヘリでボス達と一緒に居て…それから……。
そこまで思い返した瞬間、ヘリが撃墜された事を思い出し一気に血の気が引き顔を青褪めるのが分かる。
「ボ、ボスッ!!!」
ヘリを撃墜した敵がもしかしたら近くにいるかも知れない……がそんな事もお構いなしに気づいたら大事なボスの生存確認をする為に大声で叫び辺りを見回す───が。
「何も……ない」
おかしい……ボスや仲間も居なければ墜落したヘリの痕跡さえ無かった。
撃墜の衝撃で投げ出された……?。
いや…それならおかしい。
そう思って身体を動かしたり、外傷など確認して自身の身体の調子を確認する。
「異常は無い……」
そう呟いてまた考える。
投げ出されのなら外傷あるいは何かしら身体に異常きたしている筈だが何も無いと言う事は少なくとも投げ出されて無い事は確か……なんだけど。
「どう、なっているの……?」
考えれば考える程、自分の思考がおかしくなる。
ボス達やヘリも消失した訳が分からない状況。
そして現在この場所は周りを見る限り墜落時に見えた真下に広がっていた樹海ではない事。
「本当に訳が分からない………」
近くに大きくて登りやすそうな大木が無いか見てみると、一本だけ良い大木があったので近づくと能力で自身を宙に浮かそうとするが……。
「……使えない」
能力を発動出来なかった。
何度試しても同じ結果に宙に浮かぶ事を諦める。
「なら、こっちは……」
能力発動の確証はないが両腕の裾から愛用しているクナイ付き鎖を垂らすと能力で鎖を浮遊させ大木の上の方に目掛けて深々と突き刺す。
「出来た?」
自身を浮かす事は出来ないが物であれば浮かしたり操る事が出来ることが判明し一安心する。
これならある程度動く事も出来れば敵と対峙しても対処が出来るからである。
刺さった鎖を強く引っ張っても抜ける気配がしなかったので鎖をロープ代わりに大木を登って高い所から辺り一面を見渡す。
「森…ばっかり」
遠くに山も見えたが出来れば川など水源が近くにあって欲しかったが、現状無い物ねだりをしても仕方なく更に言えば煙が上がってる場所も無い事からヘリもこの近辺に墜落して無い事が確認出来てしまい少々落胆する。
「訳が分からない……」
現在、彼女が言える総合的な結果はそんな一言だった。
◇◇◇◇
時間は分からないが体感的にはお昼は回っているだろうか…現在地の地理や上から見た時、森で下が見えなかった水源が無いかを確認する為探索中である。
日差しに遮られている為暑さは無いが歩き回っている為、体力の消耗や喉の渇きもあるが所々で休憩しながら進んでいるのでそこまでキツくはないが……。
「……はふぅ」
溜め息と疲れによる息遣いが同時に出て普段なら出ないであろう言葉が口から漏れてしまい、誰も周りに居ないが恥ずかしさを感じてしまう。
そんなこんなで歩いていると3m位の苔の生えた大岩が目についたので上に登り腰をかける。
「人の気配は無いけど、動物の気配はちらほら感じる…」
現在、歩き回って得られた情報はそれだけである。
何かしら見た事ある植生物等もあるかなと思っていたけど全く無く、更に言えば周りの木々等も日本には無い物ばかりである。
懐から水筒を出して水分補給を済ます。
探索の出発前に何が出来るか試していた結果の副産物である。
能力の行使で限定解除と大きな物質や宙に浮かぶ事は出来ないが武器に使っている鎖やウイングブレードは浮かして操る事は出来た。
更に嬉しい事に空間収納も発動する事が出来た事である。
空間収納には自身の装備や、もしもの時のサバイバル物資をある程度入れていたので大変助かっている。
かと言って物資も有限である為、早急に水源や食糧等探さないといけないのは変わりない。
ふと、周りが風で木々が騒めき、鳥が囀り羽ばたく音が聞こえるとピクニック気分を感じて楽しくなり空を仰いで暫く見つめていたが───ふと思う。
「……ボス達無事かな」
ボス達の安否が気になり、ふと何気無く漏らした一言だがそう呟いてしまった時、急に寂しさや不安に駆り立てられる。
「………………」
憂鬱な気分になりそうだったが、あっ、と思いつく。
「……ボスを見つけたらいっぱい撫でてもらう」
そんな計画を立てて達成した時を想像すると口元がふにゃっと緩みニヤけてしまう。
「……頑張る」
彼女は嬉しいご褒美を想像しながらにこやかにその場を後にする。
◇◇◇◇◇◇
色々とありながらも元いた森を離れ色々と探索し数日が過ぎた所で、アイリスの心境に変化が訪れる。
「………寂しい」
滅多に言わない言葉だった。
昔から1人は慣れていた……だから問題無いと思っていた。
だが、こうも何日も1人で探索して食糧となる動物を狩り夜には食事を摂り寝て過ごすを繰り返し、その間誰かと出会う事や話す事も無ければ自分が今どこに居るかも分からず、不安が押し寄せ心が押し潰されそうになる。
「みんな……大丈夫かな……?」
焚き火に当たりながら夜空に向かって呟く。
心配になって呟く言葉に返事は返ってこない。
「みんなに早く会いたい、なぁ………」
そう呟いたら頬に伝う物を感じて拭う。
まさかここまで仲間やボスに会えなくて泣くとは思わなかった。
「…………………」
三角座りをしながらパチパチと燃える音を立てる焚き火を静かに見つめる。
数日前から誰かがそばに居る当たり前の日常を突如その喪失を体感し、周りに信頼できる人が居なければ自分はこんなにも心が弱かったのかと落胆する。
───昔の私ならあり得ない事だったから。
首を横に振り不安や心配を払拭する。
「みんなしぶといから大丈夫……早くボスと合流する」
そう自分に言い聞かせて、決意を新たに固めると毛布を被り横になる。
横になって見る夜空は先ほどと変わらず満点の星空が広がっており、日本でも中々見れない光景である。
「きれい……」
そう呟いて少しすると意識が微睡に沈んでいった。
◇◇◇◇◇◇
あれからまた数日が経ち現在、また違う森を彷徨っている。
ここ最近は動物とは異なった化物ともよく出会うようになった。
大きな狼みたいなやつ、人の顔くらいの大きさの蜂や2メートル位のあるでっかい蜘蛛やそれより大きい蛇。
今更かもしれないが本当にここは私達が居た世界なのだろうか?と疑問に思ってしまう。
襲ってくる化け物は決して日本……いや地球上では決して見ない生物である。
「人よりは強いけど……所詮ただでかくなった獣や虫、ボスに比べたら弱い」
ボスと手合わせを何度もしてその異次元並みの強さを知っているから言える。
明らかに弱いし攻撃してくる割には動きも狙いも単調なので動きも分かりやすい……簡単に仕留められる。
「でも、食べられそうに無かった……」
食糧に出来るかと思ったが、まず虫は論外……見た目もそうだが食べられる部分も少なく何より毒々しい。
次に獣の方だが……こちらは肉が不味そうな色をしており、お腹をこわしてしまいそうなので辞めておいた。
「ゔぅ……なかなか見つからない……」
そしてここに来てからこういった大きな化物としか出会う事が無くて、なかなか食糧となる獲物が見つからず苦戦している。
「水源の確保は出来たけど……食糧が見つからないのは……大変……」
現在、2日ほど食わずの生活である。
まだ我慢は出来る……出来れば物資は仲間を見つけて何かあった時に使いたい思いもある為、下手に使いたく無いけど後1、2日経っても食糧が見つからなければ物資に手をつけるしか無いと考える。
「とりあえず……湖の方に戻る……」
いったん休憩の為、そう呟き湖の方まで戻る。
戦闘は今の所激しい動き等はしておらず一撃で化物共は倒しているが能力の使用で体力は削られていく。
さらに前まで無かったのに燃費が悪いのかお腹も空く。
───くぅぅぅ。
可愛らしいお腹の音に恥ずかしくなる。
周りを見て誰も居ないことを確認して、恥ずかしさをかき消すかのように深呼吸をしてホッとする。
「………早く食べ物見つけなきゃ」
お腹が空いて動けません、戦えませんとかなったら目も当てられない状況を想像してしまい呟きながら周囲に気配が無いか調べながら戻っていると……。
───ガサッ
近くの茂みから音と動く気配を感じて足を止め、その方向を見つめる。
能力を使うと色々と消耗が激しい為、能力を使わずにその音と気配の主を捕まえようと姿勢を低く屈み込み静かに茂みに近づきそっと覗き込む。
「………ごはん」
聞こえないようにそっと呟いた。
目の前には野兎が2匹おり、彼女にはその2匹がもうご飯にしか見えないのか獣の様な視線で捉える。
一瞬だった。
狙いを定めた瞬間、アイリスは2匹の野兎に飛びつき襲いかかる。
野兎も気付いたのか逃げようと散開するが……1匹は彼女の口に背中を咥えられ捕まってしまう。
「ヴぅぅ……」
唸る様にもう1匹の兎を見ると仲間を助けたいのかプルプルと震えてこちらを見ているが……勝ち目が無いと踏んだのか茂みの中に逃げていく。
アイリスもせっかくのご馳走を逃さまいと野生の獣並みにもう1匹を追いかけていく。
まさかその行為が幸運にも出会いを果たすとは知らずに………。
◇◇◇◇◇◇
野生の獣の如く無我夢中で獲物を追うアイリスだが途中で逃げる痕跡を見失ってしまうと、猫みたくしゃがみ込み辺りを索敵する様に神経を集中させる。
「フゥー…」
口に獲物を咥えているせいか威嚇みたいな声しか出せず喋れない。
暫く静かにしてその場に待機していると離れた所で気配を二つ感じその方向に向かって突き進む。
獲物が2体……ごはんいっぱい。
もう、アイリスの頭の中にはご飯の事しか無く警戒も怠り逃げたであろう茂みの先に飛び出し視界に捉える。
茂みに逃げ込む兎と1人の人間。
人間も驚きの表情を浮かべ困惑していると私と視線が合う。
「アイ、リス…か?」
恐る恐る尋ねてきた人間の言葉に私の意識が徐々にクリアになっていく。
今、私の目の前に居る人間……いや彼は……。
いつの間にか口元が弛み捕らえていた大事な食糧を逃してしまうが……。
───そんな事は今となってはどうでも良い。
やっと……やっと……やっと出会えた!!
会いたかった!寂しかった!!心配した!!!
でも彼はどうして後ずさるのだろうか?
私が近づく度に一歩下がるので何故だろうと思いながらも迫る様にゆっくりと近づく。
とうとう彼が逃げ場を失い、後退りが出来なくなると同時に私ももう我慢の限界であった。
今すぐ彼の胸の中に飛び込み、温もりを感じながら頭を撫でてもらい褒めてもらいたい。
そしていつの間にか獲物を捕まえる様に飛びかかっていた。
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