〜逃走と冒険者生活〜
お待たせしました。
御続きです。
皆さんお元気ですか?
あれから入国して数日が経ち、現在の俺は何しているかって言うと…元気に逃走しております。
「今日も変わらずあの人達、俺の事事探すけど暇なんか?」
道が入り組んだ住宅街の屋根から少し前から追いかけて来た兵士とユーシェを見ながら呟く。
別に罪を犯して逃げてる訳では無いが…。
「た、隊長…追いつけないどころか…見失いましたよ…」
兵士が肩を上下に揺らしながら息を切れ切れにユーシェに伝えている。
「本当…何処に行ったのかしら…とりあえずこの辺を手分けして詳しく調べていきましょう」
ユーシェは率いてる兵士にそう声をかけると彼らは了解です!と声を出してその場を離れる。
見下ろす場所に誰も居なくなったのを確認すると屋根からその場に降り立つ。
「はぁ…暫くは制服と仮面は封印だな…」
憂鬱気味に呟き仮面と制服を何気も無く放り投げると仮面と制服は風景に溶ける様に消えていった。
消滅した訳では無くて、いわゆる空間収納を使った。
このスキルはNo.時代から愛用している便利なスキルである。
まぁ、何故この様な事態になってるかって言うと…。
入国した日、馬車から降りて歩きながらユーシェ達と一緒に王城に向かっている途中でユーシェの存在に気づいた民衆達は騎士団の周りに集まり騒ぎになった事が発端。
人気者なのか愛されているのかユーシェと騎士団の周りは民衆の歓喜の声で溢れておりその対応に追われる形となった。
俺としてはあまり王家と関わるのは色々と面倒だったのでその騒ぎに乗じてメタマテリアルギリー効果もある制服の機能を使いその場からそっと逃げた訳だが…。
騒ぎが収まった頃、当然だが俺が居なくなったのが発覚して今現状、ユーシェが捜索隊を率いて秘密裏に俺を探してる訳だ。
「本当に飽きないよなー…そろそろ諦めたら良いのに」
建物の陰でこっそりとこの世界の服装に着替える。
もちろんこの世界で購入した物である……まず言っておくが決して盗んだ物では無いと断言しておこう。
「とりあえず…ギルドに顔を出す前に街の観光でもするか」
髪をポニーテールに結うと大通りに向けて足を運んでいく。
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「にしても、本当まだ朝なのに人通りが多いな…」
辺りを見回すが人々の往来で大混雑である。
パレード等のお祭りがある訳では無いが、ここの通りが所謂日本で言う商店街…露店で食材、日常品など買い物がメインの商業地区であり大変賑やかなのである。
ちなみにここはアストレイアの南の通りであり南門を抜けて進むと港があり、そこから色々と輸入したり行商人が来たりして南通りで販売している。
品揃え的には見たことある様な物が並んでる事もあるが、やはり異世界って事もあり、こちら側では見ない品物も並んでいる。
軽くウインドショッピングしていると香ばしい匂いが鼻孔をくすぐる。
匂いの元を辿っていくと屋台などで定番の串焼きが焼かれて売られている。
「旨そうだな…」
人は香ばしい匂いがすると、つい腹が空いて足を店に寄せてしまう訳で…。
「らっしゃい!!嬢ちゃん、フラインピッグの串焼きどうだ?一本200トリアだせ!」
そう言われて屋台のおっちゃんの手元を見ると脂の乗った厚みのある肉が脂と言う汗を滴らせながら焼かれている。
「嬢ちゃんじゃねーよ…とりあえず2本くれ」
女に間違われるのは顔立ち上仕方ないと思うがそれでも気分は良いものでは無いので機嫌悪く答えてしまう。
「そ、そりゃ悪かった…一本オマケでつけとくから機嫌直してくれや」
屋台のおっちゃんも悪気は無かったんだろうが、俺の不機嫌っぷりに頭を掻きながらあはは…と申し訳なさそうに笑って串焼きが3本入った袋を渡してくれる。
まぁ、オマケしてくれたから許そう。
俺は心が広いから寛大なんだ。
決してオマケしてくれたから許したわけじゃない。
屋台のおっちゃんに400トリアを渡すとまいどっ!!っと言われて、その店を後にする。
串焼きを食べながら街を散策する。
色々と巡りたいがその前にギルド…冒険者ギルドに顔を出して依頼の確認もしたい。
「まさか懐が寂しい生活をするなんて思わなかったしな…」
人間生きていくにも金は大切だ。
何をするにも先立つものが無ければ出来ない事が多いからな。
まぁ、お金に関してはリーゼから聞いており価格は日本とそんな変わりがないって所は正直助かる。
1トリア=1円らしい。
ちなみに貨幣の種類別だが…。
小銅貨=1円
大銅貨=10円
小銀貨=100円
大銀貨=1000円
小金貨=1万円
大金貨=10万円
白金貨=1千万円
虹金貨=時価らしいが最低でも1億円以上はするらしい。
大体こんな感じらしい。
小銭感覚の硬貨は手持ちで持っておき高額硬貨などは国が管理している国庫に保管され、ギルドカードまたは資産カードに個人資産として管理されている…用は通帳カード変わり。
高額な買い物などは買い物する店でカードを提出するとカードの残額から支払いができ、硬貨の引き出しなどはギルドまたは役所で申請すれば引き出す事も出来る。
ちなみに盗難防止などもちゃんとされており、残高の確認や引き出し、買い物等での使用も本人以外には使用できない仕様となっている。
まぁ、カードを使った買い物など家等の本当超高額な買い物しない限りほとんど使う事は無いしカードを利用するのは良く稼いでる冒険者か金持ちくらいだろう。
ギルドは南通りを北に向かった中央に見える高台に建っている大きな王城の麓にあるのでそこを目指している。
中央の王城を円形に囲むような道があり、そこから東西南北にアストレイアの名所の噴水を目印に目抜き通りが伸びている。
ちなみに名所の噴水は初代勇者パーティーの像が祀られており都市全体を覆っている魔物除けの巨大結界の役目を担っているらしい。
最初は気にも留めなくて気づかなかったけど、よくよく注視して空を見てみると何か薄い膜が見える…気がする。
「ここも相変わらず、兵士や冒険者が多いなぁ…」
ぶらぶらと歩いていると目的の冒険者ギルド付近にたどり着いたのだが噴水の周りには兵士や冒険者のパーティーで賑わっており、兵士は巡回や警備に慌ただしく動いている。
とりあえず冒険者ギルドの中に入ろうと入り口に向かっていると、さっき来た道からユーシェ達が少し疲れ気味で歩いてくるのが見える。
ユーシェの顔は残念そうな表情を浮かべながら考え事をしている様子が見えて、隣には…確かリリィさんだ。
めっちゃ疲れてるけど大丈夫なんだろうか?
他にも馬車で一緒の人達も居るがリリィさんと同様疲れた顔をしている。
あー…あれからずっと諦めんずに探してたんか。
うん、まぁ……お疲れさん。
何か菓子折りと一緒に旅立ち手紙でも同封して騎士団本部にでも送っておこう。
そしたら毎日追いかけっこしなくて済むし。
そんな事を思いながら冒険者ギルドの中に入って行く。
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「……クエスト受注資格が無くて泣きそう」
クエストボードを見て呟く。
現在クエストボードに貼られている高額クエストが今の俺では受注不可なのである。
受注条件がパーティーメンバーが2名以上とかソロでも受けれるのでもギルドランクがB級以上など制限があるのだ。
ちなみに俺にパーティーメンバーも居なければランクもE級である。
クエストには受注条件がありギルド側からの配慮である。
受注者の実力に見合わないクエストを受けられて冒険者が死んだり、クエストに失敗してしまっては目も当てられない状態になってしまう事が過去に多々あったのでこうなったらしい。
例外があるとすれば…ギルドランクである。
ギルドランクにはS級〜F級まである。
F級とE級は初心者、D級とC級は中級者、B級とA級は上級者、最後にS級は超級者と呼ばれている。
ちなみにこのS級の上もあるらしくZX級ってのがあるらしく…現在世界に5人しか居らず、それらは超越者、英雄、天災等色々言われているらしい。
それで例外ってのはS級からは受注条件などフル無視で色んなクエストをソロでもパーティーでも受ける事が出来る。
「…早くランク上げないとな」
そう言ってE級のクエスト用紙を受付まで持っていくと……。
「あっ!ユウト君、おはようございます!」
受付に居るショートカットのお姉さんが元気に挨拶してくれる。
「おはようございます、レミリアさん」
茶髪ショートカットのお姉さん…レミリアさんは俺が挨拶を返すと少し大きな胸を弾ませてながら(物理的な意味で)ハイタッチを求めてくる。
俺がやるの?みたいな感じでレミリアさんに目線を送ると彼女はほらほら早くっ!みたいな感じで上げた手を主張してくる。
はぁー、と溜め息を吐きながら渋々ハイタッチをすると彼女は嬉しそうに笑顔を向けてくる。
悪い人では無いんだが…朝からテンション高くない?
レミリアさんは俺が初めて冒険者ギルドに来てから色々と教わったりしてお世話になっている元気いっぱいなお姉さん受付嬢である。
元気で明るい性格に可愛らしい容姿に冒険者や他の受付嬢など老若男女問わず人気が高い。
俺が完了報告をしようと受付に行くと男性冒険者からはご飯に誘われている所も度々見ている。
まぁ、断ってる所しか見た事ないけど…。
それにしても他の冒険者にはハイタッチなんかしないのに何で俺だけ毎回会う度にハイタッチを求められるんだろう…。
「まぁ、いいか」
「何がですか?」
俺の急な呟きに首を傾げるレミリアさん。
「今日はこの依頼受けても良いですか?」
先程剥がしたクエスト用紙をレミリアさんに見せる。
彼女は受け取るとその用紙を確認する。
「ゴブリン3体の討伐ですね!ユウト君なら大丈夫だと思いますが…気を付けて下さいね?」
そう言ってレミリアさんは前屈みになってこちらをつぶらな瞳で心配そうに覗き込む。
「大丈夫ですよ、でも心配して下さってありがとうございます」
気遣われるなんてそんなに無いので本心で感謝する。
アイリス達だとボスなら余裕とかどうせ面倒事増やして最後は力こそパワーって感じの脳筋プレイで終わらすから心配しても無駄…みたいな感じで見送られるしな。
「では、行ってきます!」
「はい!いってらっしゃいユウト君!!」
俺に手を振りながら明るく元気にそう言ってカウンターから見送ってくれる彼女を後にして目的のクエスト攻略に臨む。
読んでいただきありがとうございます。
お気に頂けたり、気になって頂いた方々。
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そして私、今日でアラサーの仲間入りを果たしました…何か一年ってあっという間に感じます。
まだまだ未熟者で、このお話もまだ序盤ですが皆さんに楽しんでいただけるようにそして盛り上げれるように頑張ります。




