学園騒乱編〜報告書①〜
第一章開始!!1話目でふ( 'ω')ノシ
色んな人の往来や雑踏の中、楽しげな会話や挨拶が聞こえる中で俺、天ヶ崎優人は政府の元エージェントは現在何をしているかと言うと……。
「用務員のおじさん、おはよーなの!」
「はい、おはよう。今日も愛美ちゃんは元気だね」
「うん!用務員のおじさんは今日もお花さんにお水さんあげてるの?」
「そうだよ」
俺はツインテ少女に微笑みかけながら暫く会話を続け校内に入る愛美ちゃんを見送ると別の方から声が聞こえてくる。
「うわぁ〜、おっさんが小学生と話してた!犯罪だよ犯罪!!」
今度は中学生ぐらいのギャルっぽい元気な子が騒ぎ立ててきた。
見た目が見た目なので誤解されそうだが人が挨拶して会話をしただけで犯罪者扱いされるのは理不尽だと思う。
「こらこら華鈴さん、人が挨拶して会話しただけでそんな事を言うんじゃ無いよ」
「あ、おっさん怒った?」
「こんな事では怒りはしませんよ」
俺はそんな事では怒りませんよアピールをしながら穏やかな笑顔で答えた。
「ちぇっ、つまんねーの」
「相変わらず華鈴さんも毎日人をからかうのを辞めませんね〜」
「だっておっさん、なかなか怒らねーもん」
「なんだい怒って欲しいのかい?」
もしそうならM気質がある変わった子である。
「いや、おっさん結構何されてもニコニコしてて絶対怒らねーじゃん?」
「まぁ怒っても良い事は無いし、諺にも笑う門には福来るって言うからね」
「おっさんやっぱ変わってるね」
「勿論、君達が虐めや危ない事をしたら怒りますよ?」
「あ、それは大丈夫!私そんな事一切しないからw」
俺は一切の迷い無く断言する華鈴ちゃんに感心を抱き素直に称賛する。
「君は偉いね〜」
「え!本当?じゃあお小遣いちょーだい!」
さっき抱いた感心を返して欲しい。
「はぁ…そんな馬鹿な事を言ってないで、そろそろ教室に向かいなさい」
「あ!やばっ!」
彼女は校門広場の時計を見て言うと足早に校舎に向かうが入り口付近でこちらに振り向く。
「おっさん!水やり頑張れよ〜!」
笑顔で告げ校内に入って行く彼女は結果なんだかんだで良い子である。
(にしても、まさか二度と帰ってくる事は無いと思っていた自分の母校に戻ってくるとは夢にも思わなかった……)
俺が今居る母校、天ヶ崎学園は日本有数の金持ちエリート校であり男女共学で小、中、高、大学のエスカレーター式である。
また最新の進学校であり中には財界や政界は勿論の事、学界や芸能界等々、世界の将来を担う子が多数在籍している。
(そして経営してるのが天ヶ崎財閥…つまり俺の父と母、そして姉である)
俺は花壇の水やりを終えると学園を見て呟く。
「…そんで、妹は小学生から高校生までの生徒会長ときたもんだ」
現在、天ヶ崎家とは絶縁した身であり一家全員が関わっている所に居ると思うと気分が滅入るものがあるが別に子供の頃、一家から虐め等にあった訳でも無いし何なら一家円満であった。
だがあの日…俺は死んだ事になっているので家族には…特に姉と妹には正体がバレる訳にはいかなかった。
(まぁ、身バレしないよう変装したけどその結果が……ね)
俺は近くの窓ガラスに映った自分の姿を見る。
そこには俺の影や形もなく以前に潜入で使った後、ジークから貰い受けた特殊スーツを身に纏っており見た目は何処にでもいる優しそうな五十代のメタボのおじさんである。
ふと、窓ガラスから目線を外し校門広場に目線を戻すと一部の高校生や大学生が不快そうにこちらをチラチラと見ている。
普通なら用務員のおっさんなど気にも留めはしない筈だが……まぁいつもの事なので放置するがあまり気分が良いものでもない。
(いつの間にか一部の高校生と大学生には歓迎されてないが、その分あまり不特定多数との接触や接点も抑えられて動き易いしボロが出る心配も無いから結果的にはオーライだな)
心の中でそう思っていると校門前の学生たちが色めき立ち騒々しくなり察する……どうやら俺が今絶賛会いたくないランキングトップに入る人物達が送迎用の高級車でご到着のようだ。
暫くして校門から凛として堂々と入ってくるデコボコ金髪美人姉妹。
「皆様、ごきげんよう?」
「おはよう、生徒の諸君」
デコボコ姉妹が校門近くの学生達に声をかけると先程よりも歓声が沸く。
「きゃぁーっ!律華様と琹様よ!!」
「き、きっ今日も麗しい……」
「本当、高嶺の花とは律華様と琹様の事を指すのだろうな」
「あぁ…律華様、琹様……」
色々と聞こえる賛辞と2人を崇拝してる異様な様はまるで新手の宗教の教祖かと思わせる光景である。
そしてその姉妹が自分の姉と妹と思うと頭を抱えたくなる案件である。
理事長の姉と生徒会長の妹、普通なら自慢出来るだろうが流石にこの状況は何でも受け入れられる俺でも引くレベルである。
ふと、この教祖姉妹は視界に俺を捉えたのか忌々しそうな目でこちらを一瞬見つめたと思ったら何事も無かったかのように視線をまた学生達に戻しそのままにこやかに校内に消えて行く。
「うわ…怖っ」
素の声で思わず口にしてしまい、直様周りを視線で観察するが幸い誰にも聞こえていなくて安堵する。
(……あーマジで嫌だわ、この依頼受けなきゃ良かったわ)
初っ端から楽できない依頼に心の中で悪態を吐きながら見た目、五十代のおじさんはせっせと学園内での仕事を片付ける。
(スタイリッシュで完璧に仕事を遂行するのは良いんだけど…やっぱり楽じゃ無いわ)
そんなこんなで仕事を一通り終わらし用務員室に戻る乗り気じゃ無い心底ブルーなおじさんは1週間前、事務所で依頼を受けた経緯を思い出しながら戻るであった。
優人:楽したい・・・
神様:呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!
優人:殺したのに何でてめぇ居るんだよ?
神様:儂が神だからじゃ
優人:もっぺん死に晒せ
神様:まぁ、待つのじゃ。お主楽したいのじゃろ?
儂に良い案がある。
優人:・・・言ってみろ
神様:お主がスタイリ・・・
ガスッ、ドコッ、バキィッ!!
神様:・・・・・
優人:神を失脚させて筋書きを終わらした方が早いわ。
結局殺される神様であった。