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学園騒乱編〜報告書⑫〜

続きです、お待たせしました。



 No.3(サード)が振り向いた先に揺らめく影。

 先程までボロボロの衣服とは違い黒衣を纏う優人である。


「ケヒヒッ…貴様は一体何者なんだ?」


 アイリスの表情は笑っているが当の本人(サード)は恐怖が拭い切れず若干顔が引き攣る。


「不思議に思わないのか?」


 質問を質問で返されNo.3は質問を質問で返すな…と言いたい所だが言える雰囲気でも無い為、何がだ?と答える。


「何故、日本には2人のNo.が居るのにNo.の関係者である俺が日本政府の暗部をやっているのかを…」


「けっ…No.1(ファースト)No.2(セカンド)だろ?アイツ等もそうだけどNo.(ナンバーズ)は政治や世俗に興味が無いからな、ましてや貴様は関係者であってNo.では無いだろ?」


 確かにNo.には世界に対して興味が無い奴がちらほら居るがそれは正解では無い。


「ったく…あの爺さんちゃんと説明してるんかよ…」


 呆れるように俺が呟くとNo.3は首を傾げる。


「貴様が何を言っているのかは知らんが…」


「本来はNo.は世界の滅亡や緊急時以外は関与が禁止されている…だからNo.やその関係者も表舞台には立たねーんだよ」


 遮る様にそのまま話し出す。


「それなのに俺は政府公認で関与している…」


「ケヒッ、だから何だと言うのだ?その関与の禁止が本当なら貴様は規律を破って……」


 そこまで言いかけた所でNo.3が口を止め何かに思い至る。


(もし関与が禁止されているなら規律を破った奴は何故排除されていないのだ…?No.ならともかく替えのきく末端の関係者なら尚の事…性格は残念だがNo.1、とNo.2が排除に動かない筈が無い…いや、もしかして…)


 思考を巡らすNo.3に優人は問いかける。


「んで、そろそろ答えは出たか?」


 その言葉にアイリスの表情が歪む…それはNo.3がある1つの推測に辿り着き、驚きに顔を歪ませている。


「そんな筈…」


 No.3がそう呟く。

 1年前にあったNo.内であったある出来事が頭によぎる。

 それは一時期、唯我独尊のNo.1と傲岸不遜のNo.2が珍しく大人しくしていた事があり理由は語られなかったが噂では誰かに完膚無きまで叩きのめされたらしい…。

 当初はそんな馬鹿な事ありえないと、瑣末な事として捉えていたが…。


「ヒヒッ、そうかそうか…あの2人が動かないのはそうゆう事か…あの2人を叩きのめしたのは貴様だな?」


 No.3の返しに優人はバツが悪そうな顔をする。


「あー…それ知ってたんか」


 優人の意外な反応にNo.3もそんな反応をされるとは思わなかったのか何でそんな反応なの?みたいな感じで驚いた表情をする。


「まぁ、それはいいや…て言うよりそろそろちゃんと名乗った方が早そうやな」


 さっさと勿体ぶらずに言えよ…みたいな表情をするNo.3をよそに優人は目の前で仰々しく名乗る。


「初めまして、No.3(パペットマスター)…俺はNo.0(ゼロ)を冠し、コードネームを執行者と言います」


 そう名乗った優人にNo.3は一瞬呆けた後大笑いする。


「ケヒャヒャヒャヒャッ!!No.0?聞いた事が無いなぁっ!」


「まぁ、当然だろうな…極秘なんだから」


 No.3はもし極秘だとしても調べられない情報は無いと言うが優人は溜め息まじりに人差し指を立てて答える。


「実際、お前は俺の正体完全には掴めて無かっただろ?それに仮に調べても出てこないし分かったとしたらお前が俺に挑むなんて事しなかったと思うぜ?」


「ケヒャ、減らず口を叩きやがる…いいぜぇ、その与太話信じてやるが、どちらにせよ殺す」


 No.3が言い終わると攻撃の動きが無かったアイリスが武装を展開する。


「この人形ならお前を確実に殺せる、なら後はコイツに全力出させて暴れて貰うだけだ」


 その言葉の後にアイリスが武装を展開したまま糸が切れた操り人形(マリオネット)みたいに手足が宙ぶらりんになり俯く。

 その様子に優人が少し焦る様に問いかける。


「おい、No.3!アイリスに何した?」


 No.3から返事は返ってこず、代わりにアイリスが再び動き出す。


「…………」


 あいも変わらずだんまりなアイリスが顔を上げ虚な瞳をこちらに向けた瞬間、優人は左肩に焼けつく様な痛みが走る。


「ーーーっ!?」


 左肩を見ると小型ナイフが半分程刺さっている。


(刺さるまで気づかなかった…!?)

 

 突き刺さるナイフを優人は引き抜こうと引っ張るとアイリスが左手を不規則に動かし始め、ナイフを引っ張る力などお構い無しに刺さっている肩にゆっくりと沈み込む様に刺さり始める。


「くっ…!」


 何とか引き抜こうとするが尚もナイフは優人の抵抗が無駄だと言わんばかりに深々と刺さっていく。


(やばっ…全然止まらねぇ!!)


 ならば…と言った感じに優人はアイリスから離れる為に中央庭園に向かって森を走り抜けようとするが展開された武装がさっきまでとは違い精度と威力が増して次々と襲いかかってくる。


「ちっ…!」


 優人は着ている黒いレザーコートの懐からある物を取り出してそれをアイリスめがけて投げつける。

 瞬間、その場一帯に目が眩む閃光と耳をつんざく高音が広がる。


「ーー!?」


 対処が遅れてしまいアイリスは閃光と高音の餌食になってしまうと辺り一面を先程展開していた武装で見境なく破壊していく。

 その結果、その場に土埃が舞って煙幕になり周りの視認が困難になるが、アイリスの視力と聴力が回復し始めるとアイリスはウイングブレイドで一閃…周りの

土埃を払い、視界を取り戻すがその場にターゲットである優人の姿が無く見失ってしまう。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 その頃、逃げ出せた優人はアイリスから距離を離して木陰で身を隠すと肩に突き刺さるナイフを引き抜く。


「よっと…」


 アイリスから離れた所為かすんなりと抜けたナイフをそこら辺に投げ捨てると周りに気配が無いか見渡すが何事も無かったかのように静かであり、一旦落ち着こうと態勢を立て直す。


(No.3の奴、強制的に限界突破(オーバーリミット)させやがった…能力の限界を超えての使用は身体に負荷がかかりすぎて最終的には死に至る…)


「それだけは阻止しねーとな…」


 結局、やる事は変わらないと意気込んだ所で自分が身を隠していた木が薙ぎ倒される。


「お早いご到着で…」


 嫌そうにポツリと呟く優人の前にはつい先程撒いた筈のアイリスが周囲に武装を展開しながらこちらに向かって歩いてくる。


「ぼ……す………」


 ふと、アイリスの口から言葉が出て優人は急ぎ呼びかける。


「アイリス!しっかりしろ!!」


「ぼ、す…ご、めん、なさ、い…」


 目は虚なままだが半ば意識を取り戻したのか声を絞り出すように、たどたどしく話し出すアイリス。

 アイリスとの距離が近づくなか優人は距離を離すべきなのかそれとも接近を許しても良いのか迷ってしまう。


「ぼす…わた、し、もう…」


「泣き言なんか言ってんじゃねぇーよ!」


 諦めるアイリスにそう叫ぶとアイリスが歩みを止める。


「じ、ぶん、のからだ、なので…わかる、です…」


 アイリスは優人に告げると諦めたような笑顔と血涙を見せる。


「だか、らボス…わたし、を……」


「ころ、して……」


 哀願するアイリスに優人は心の奥底から怒りが込み上げ、そして静かな怒りとなって優人を鼓舞する。


「悪いが…そうはいかねぇ」


「ぼ、す…」


 拒否する優人の決意にアイリスが呼びかけた所で急に頭を抱えると絶叫の声を上げ再び攻撃を始める。


(残り時間は少ない…ったく手間取らせやがって、絶対に助けてやる)


 アイリスの攻撃を躱す優人はアイリスの身を案じながら中央庭園に向かう。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





 自我があるかももう分からないアイリスの猛攻を躱しながら中央庭園に到着するが中央棟の近くに何人かの人影が見えたのでそちらに向かうと先程逃したはずの咲や友人達がその場に居り、すぐさま声をかける。


「姉さん達、まだ逃げてなかったの?」


 問いかけると咲が申し訳なさそうに答えると律華が優人の怪我に気付いたのか一緒に逃げようと声をかけるがそれを拒否する。


「一緒には行けない」


 どうしてと問われ、先程のやり取りを思い出すと自然と手に力が入ると、止めないといけない奴が居ると答え咲や友人達に手の平を突き出す。


「空間干渉…」


 優人がそう呟くと咲達の周囲が空間ごと段々歪みそれが元に戻る頃には咲達の姿は一切消えていた。


「あいつらを校門前に飛ばしたから、これで思いっきり戦えるな…」


 さてと…と一息置いて宙を舞って追ってきたアイリスを見上げる。


「…ここで決着つけてやるよ、アイリス」


 アイリスに向かって言い放つと最後の一本であるナイフを構える。


(…武器がこれだけとかマジでハード過ぎるけど)


 あまりにも不利な状況であるが決意を固めるようにナイフを構える手に力を込める。


「絶対、お前を助けてみせる!」


 この言葉と同時にアイリスは地上に降り立ち、ウイングブレイドを射出し始めこの戦いの火蓋が切って落とされる。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 アイリスの攻撃は苛烈さを増し確実に仕留めようと四方八方からあらゆる攻撃が優人に向かって放たれるが優人は自身の能力を使いながら華麗に避けていく。


「ぐっ…!」


 優人は左眼に走る痛みと精神侵蝕に堪えながらアイリスに目指して縦横無尽に駆け抜ける。

 そんな優人を近づけまいとアイリスは今使える武装を全て使うが優人の能力によって全て躱される。

 あと数メートルまでお互いの距離が近づくとアイリスは地面に手を翳す。


「!?」


 想定外の行動に優人は危険を感じ後ろに跳び退こうとすると鈍い音と共に痛みが走る。


「こぼぉ……」


 優人が口から大量の血を吐きその場に血溜まりを作る。

 自分の背中から胸にかけて貫く杭状のナニか。

 手で触ると自分の血でヌルりとするがソレがナニで出来ているか理解する。


「こ、れは…土、か?」


 それが正解と言わんばかりにアイリスは地面に翳した手を退けると優人に突き刺さった杭はボロボロと崩れて土塊(つちくれ)となる。

 完全なる背後からの不意の一撃。

 その場に突っ伏せる優人は自身の血溜まりに沈む。

 助けると息巻いていた優人のあっけない戦いの幕引き。


(くそっ…対応出来なかった…やばい…意識が、とおの…く)


 ピクりともしなくなった優人に今度こそトドメを刺し殺したと認識したアイリスだが先程の謎の復活もあり警戒を怠らず優人から目を離さず武装の一つである仕込み鎖の(やじり)を向ける。


「…………」


 然程、時間は経っていない筈なのに警戒の緊張のせいか長い時間を感じさせる。


「どうした?もうお終いですか?」


 死んだ筈の優人から聞こえる優人では無い気品が漂ってそうな女の子の声。

 すぐさま、アイリスは向けてた鎖の鏃で刺し貫かんとするが自身の身体と同様に動かせず、なんとか身体と鎖を動かさんと抵抗するが微動だに出来ずに居ると優人の身体が起き上がる。


「面白そうだから折角、私が出てきたのにこれで終わりならつまら過ぎですわ?」


 先程復活した時とは状況が違い優人の胸は大きな穴が空いているのに何事も無かったかのように振る舞う様子をアイリスを通して見ていたNo.3は驚きを通り越して若干引き気味であった。


(ケヒッ!?意識回線しか残ってないから話す事は出来ないが…本当になんなのだ、コイツは?)


 アイリスの限界突破(オーバーリミット)の影響で

支配が弱まり手元から離れてしまったが、優人を殺すという命令は残っており、先程何とか意識回線を復旧すると追い詰めて殺した筈…なのにこの状況はどうゆう事だろうと頭を抱えると優人であるナニかがNo.3の考えている事がお見通しかのように不敵に笑う。


「そこの操っている者…どうせ私が何者なのか考えているのであろう?」


「…………」


 完全に支配が出来ている訳では無いので喋る事は出来ないが今回で何度驚いたか分からないが心を読まれて驚愕する。


「話す事も出来無いのかしら…まぁ未熟者なら仕方ないかしら、ね…。疑問に答えてあげるなら私はこの身体の持ち主が所有する能力(スキル)の自我と、しておこうかしら…」


「…………」


 No.3は能力に自我とかコイツは何を言ってるんだ?と、理解が追いつかず訳が分からなくなる。



「まぁ、理解出来なくても良いわ…」


 まるで理解出来ない事を分かっているかのように話した後、興味が無くなったのか今度は自身の身体に目を向けて確認している。


「それにしても…私の能力を使っておきながらここまでボロボロになるなんて、何だか腹立たしいわね…まぁ、それは今度伝えるとして…」


 身体の持ち主…優人に対して文句を言うナニかは指をパチンと鳴らすと一瞬ノイズが走ると胸に空いた穴が消え失せ元通りとなっている。


「さてと…そこの操られてる貴女はいつまで突っ立ているつもりかしら?」


 ナニかは動きを封じられ抵抗しているアイリスに告げるが一向に抜け出せない様子をみて溜息を吐く。


「はぁ……これでも私、力をだいぶ抑えているのにこれで動けないなんて期待外れもいい所だわ…」


 そう言って、また指をパチンと鳴らすとアイリスの拘束は解かれ身体が自由になると、すぐさま後ろに飛び退き展開していた武装を手元に寄せる。

 アイリスの意識は無い筈だが身体が訴えてくる…コレに立ち向かうのは危険だと。


「あら、逃げるのかしら?」


 優人の体は目の前にあるのに耳元で囁かれたような錯覚を起こし咄嗟に手元のウイングブレイドで薙ぎ払うが空を切り裂く。


「ふふっ…」


 そのナニかは優人の中性的な顔で少女のような笑みを見せアイリスを挑発する様に手招く。


「ほら、相手をしてあげるからきなさい?」


 挑発に乗るかのようにアイリスは先程と同じように地面に手を翳すと優人が立つ周りの地面から強固に固められた土の杭が一斉に生えて、串刺しにする…筈だったのだが……。


「残念ね…」


 ソレが呟くと土の杭は見えないナニかに阻まれて先端が優人に届く事は無く、一斉に生えた土の杭は先端から粉々に砕け散っていく。


「他に無いのかしら?」


 悠々と笑顔で語りかけてくるソレは何事も無いようにアイリスに向かって歩き出す。

 アイリスも近づけまいと切り替えて武装で射抜こうとするが全て届く前に見えない壁に阻まれ止まってしまい、優人の手が邪魔な虫を払うかのような仕草をすると最も簡単に吹き飛ばされてしまう。


「はぁ、つまらないわね…操るって言うのはこうやってやるのよ?」


 と、ソレが言い終わると指をまたパチンと鳴らし、先程飛ばされたウイングブレイドや仕込み鎖を最も簡単に操りアイリスを傷付けないように拘束する。

 

「貴女みたいに力を暴走させてまでしないと出来ない能力じゃないわよ?」


 まるで呼吸をするのと同じような感じで話すソレはアイリスの目と鼻の先まで近づくと興がそがれたのか

失意した顔でつまらないわ…とだけ呟くと自身の唇を人差し指でそっとなぞり目を瞑る。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 全身、深い水の底に居るような感覚で微睡む優人は思う。


(くそ……あんな事言っておきながら、こんな無様な醜態を晒すなんてな…これが死ぬって感覚なのか……?それにまだアイリスを元に戻して無いのにに…)


 優人の内に悔しさと後悔が込み上げる。


(動けよ…俺の身体…動けるだろ?、さっさと目を覚ましてアイリスを助けて…やらねーと……)


 自分の想いに反し意識は段々と弱まっていく。

 段々、段々と深い眠りにつくように優人の意識が沈んでいこうとした時だった。

 ふと、少女の声が聞こえてくる。


『今回は大サービスですわ…ここまでお膳立てしたのですから、後は自分で何とかなさい』


 少女に意識下で語りかけられた優人は、目の前が眩い光で溢れると、沈んでいく筈だった意識は現実に覚醒し始めるのであった。

読んでくださってありがとうございます。

意外と読んで頂いてくれる方が居て下さって凄く嬉しいです!

まだまだ執筆等、至らない部分がありますがこれからも読んで下さると嬉しく思います。

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