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学園騒乱編〜報告書⑩〜

お待たせしました続きです!

 その場に居た全員が何が起きたのか分からなかった。


「あぁ…、クソ痛ってぇな…」


 銃声音が鳴り響いた後、静寂になった大講堂内に響く声。

 その声は壊れたスピーカーから聞こえるノイズ混じりみたいな声であった。

 背後から聞こえる声に琹達は振り向く。


「えっ…!?」


 後ろに居た人物…人物達に栞を筆頭に他の面々も驚きの声を上げる。


「姉様に愛花さん…それに古奈木さん!?」


 栞は先程まで講壇の上に居た2人が撃たれた筈の古奈木に両脇に抱えられている事に驚愕する。

 抱えられている2人も状況がさっぱりで飲み込めず困惑している。

 そんな事は他所に古奈木は抱えた2人を降ろして栞に預ける。


「マジで痛かったわ…容赦無く撃つもんだから…ってか衝撃でボイスチェンジャー壊れちまったし…これジークにバレたらどやされるぞ…」


 古奈木はノイズ混じりの声で憂鬱に喋り出し首元に手を当てるとビリっと何かを剥がしそれを捨てる。

 その光景と古奈木らしく無い喋り方、そしてまず生きていた事にその場に居た生徒や教職員達全員驚き唖然とする…尚、テロリスト達も同じ反応である。

 ようやく状況が理解出来た愛花は驚きに目を見開いて死んでいた筈の古奈木を見上げており、律華は古奈木にこの状況に対して問いかける。


「貴方、撃たれて死んだんじゃ無かったの!?それにどうして私達はここに!?さっきまで講壇の上にいた筈じゃ無かっ………」


「はーい、ストップ姉さん」


 古奈木では無い声と呼びかけに律華はへっ?と面食らう。

 律華の他にも愛花を始め周りに居る各々も律華を姉と呼ぶ懐かしい声に更に驚く。

 古奈木は自分の後頭部に片手を持っていくと(マスク)を脱ぎ始め、脱ぎ終わると腰まである長い黒髪と中世的な整った顔が露わになり、太っていた体型もいつの間にか萎んでいた。

 律華はもちろん琹、愛花、三朗、菜月、政太、華鈴が更に驚く。


「無名さん…!?」


 先に口を開いたのは華鈴であった。

 律華を除く5人も同じ疑問に行き着くが…。


「ごめんな華鈴ちゃん騙すような真似をして…この前会った無名は仮の姿…変装なんだよ」


「えっ!?」


 華鈴は困惑のあまり思考の処理が追いついておらず今度は確信に変わった栞と律華がその名を問いかける。


「ゆうと、にいさま…?」


「優人…?」


 その問いかけに正体を表した亡霊は微笑み問いかける。


「ただいま琹、姉さん…」


 その言葉を機に亡霊はとうとう現世という表舞台に降り立つ。

 優人の口からただいま、と聞いた琹、律華は何度も瞬きをするが現実だという事を知り溢れそうな涙を止められずにいた。


「でも、貴方は2年前に…」


 律華が問いかけようとするが優人はそれを手で制す。


「みんな、それに姉さんや栞も色々聞きたい事山程あるだろうけど…とりあえずコイツら片付けるまで待っててくれない?」

 

 優人は皆んなにそう話すと親指でテロリストと指す。


「んじゃ、咲…後頼むわ」


 咲に目線を向けて告げる優人に変わらずの応答を返す。


「全く、優人様…人を心配にさせるなんて…貴方はいつからそんなに偉くなったんですか?」


「相変わらずひでぇー言い方だな…けど久しぶりに名前で呼んでくれたな」


「………黙って下さい」


 咲に問いかけると少し顔が赤かった気がするが、いつもの様に咲は辛辣な感じに答えを返してくるが心配はしてくれたんだと思い、名前で呼ばれたのも久しぶりだなと感じる。


「咲、貴女は知っていたんですか!?」


 律華は咲が優人が生きていた事を知っている感じの雰囲気に驚き咲に問いかける。


「申し訳ございません、口止めされておりましたので…後ほど謝罪致しますので今はこの状況をどうにかしてから質問をお願い致します」


 咲は丁寧に答えるとメイドスカートの裾を捲り小型ナイフを数本取り出すと優人の側に寄り耳打ちする。


「ところで…この状況どうするのですか?貴方に到底どうにか出来る問題では無いと思いますが…」


 咲の心配を他所に優人は大丈夫、大丈夫と答える。


「そんな心配すんなって、それにテラスで咲が俺にした質問に対しても答えられるしな」


「どうゆう…」


 咲が優人の言葉の意味に疑問を投げかけようとするが優人は聞かずにそのまま講壇に向かうと律華と栞が腕を掴み引き止める。


「何してるの!?」


「駄目です兄様!!」


 優人は引き止めてくる2人に優しく笑いかけ引き止めていた手を離させる。


「姉さん、琹…ちゃんと戻ってくるから少し待ってて」


 そう告げて講壇にまた向かい始める。

 律華や琹は優人をまた止めようとするが咲に止められ、愛花達は優人が生きている状況に頭が追いついていけず呆然とその背中を見送る事しかできずにいた。

 ある程度近づくと周りのテロリスト達が照準を優人に合わせリーダーの男も優人に銃口を向ける。


「おまえさん…何者や?」


 優人は男の言葉にヤレヤレといった感じのポーズを取り更に近づく。


「それにどうやったかは知らんが一瞬でここから向こうまで行ったんはどうゆうトリックなんや?」


 尚も近づく優人に男は質問し続けた瞬間テロリスト達や男の視界、その場に居る全員の視界から優人の姿が消える。

 男は突然の未知数な出来事に不安が()ぎり額から冷や汗が出ながらも消えた優人の姿を見つけるべく辺りを見渡すが一向に姿を見つけられない。


「…はぁ、何処を探しているんだ?」


 溜め息と共に呆れた感じで聞こえる優人の言葉に男は振り向く。


「鈍いな…」


 優人は演台の上で足を組みながら腰掛けており男にダメ出しするがお構い無しに男は銃口をすぐに向けて発砲する。

 溜め息混じりに素早く片手を振り上げると放たれた銃弾は優人を避けるように左右に通り抜けていく。

 優人の振り上げられた手にはナイフが握られており男の表情は初めて焦りを見せ弾倉が空になるまで何度も引き金を引くが銃弾は全て斬られて優人に一発も当たっていない。

 驚愕な光景に、男はもちろん全員唖然とする。


「これで終わり?」


 片手でナイフをクルクルと上にハンドトスを繰り返しながら悠然と男に問いかける優人。


「…お前、ホンマ何者(なにもん)や?」


「元政府のお抱え諜報員…まぁそんなところかな」


 優人の答えに男の額に汗が滲む。


「そんな話…聞いた事ないで?」


「まぁ、表舞台には決して立つ事は無いしな」


 優人の発言に男はある考えに思い至る。


「……まさか」


「まぁ、お前が考えたその答えにほぼ間違いは無いけどな」


 優人は男の考えを肯定するように言い返す。


「ハハッ!!まさか…世界を統治するNo.(ナンバーズ)の関係者やったとはな!」


 優人の返答に満足そうに笑みを浮かべ男は嬉しそうに答える。

 No.の単語に大講堂内は大きく騒めく。

 No.とは戦略級兵器と同等の特殊な能力を持つ世界に7人しか居ない人間達で構成された組織であり各国の代表と深い繋がりがある。

 各No.の一人一人に何ヶ国か統治権があるが基本的には国の代表者に任せ関与しないようにしており、国に関与する場合は国家や国の危機など余程の事がない限り表舞台には現れないと言う。

 なお、日本にも2人のNo.が関与しているが日本全国にテレビで放送された表明式以来姿は現していない。


「No.が関与してるて事は…前もって工作はされておらんで、ここに聖骸があるのは確実ゆーことで申請やら何やら関係なさそうやな…それに自分色々知ってそうやな?」


「さぁな?もう俺は政府とは関係を切っている身だし今回は別口から依頼があったから来ていただけであってお前が望んでいる事の詳細は知らねーぞ?」


 男の問いかけに否定する優人が今度は逆に問いかける。


「ところで、お前のバックに居る奴…No.3(サード)人形兵士使い(パペットマスター)だろ?」


 優人の言葉に男は眉をひそめるが直ぐに観念した様に話し出す。


「知っとったんかいな…いつ分かったんや?」


「まぁ、ここに来るまでに校舎内に居たお前の仲間は殆ど無力化した時に数体人形兵士(アーミーパペット)が混ざってたしな」


 何気なく話した優人の言葉に男が驚く。


「おまっ!?外には100人以上居った筈やで!?…それ全部1人で片付けたんかいな?」


 俺は男の問いかけに、えっ…そんなに居ったん?ストレス発散に適当にボコってたから数なんて数えて無かったわ…と思いながら答える。


「え?まぁ…数なんて数えて無かったから分からんけど、まぁ無力化した後は1人も見てないからそうじゃねーかな」


 男の表情には余裕は見えず焦りと驚愕で唖然としている。

 優人を見送ってからの様子を見ている愛花達5人や咲達3人は各々驚きの連続に頭の中で思考の処理が追いついておらず三朗と政太は優人ってあんなキャラしてた?…いやしてないよ…と呆然になりながら話し合っていたり愛花や華鈴は思考が停止しているのかキョトンとしている。

 咲達3人に関しても同じような感じである。


「優人…貴方一体この2年間何があったの…?」


「姉様…私、なんかもう思考の処理追いつかないのですが…」


「…安心しなさい、私も同じですから…」


 そんな2人の様子に咲は同情する。


(まぁ、当然の反応ですよね…私もあの人がここまで規格外とは思いませんでしたし…)


 周りは置いてけぼりの中、そんな事はつゆ知らずの優人は男に降伏勧告を出す。


「まぁとりあえず、だ…何かめんどくさくなってきたし大人しく捕まって公共の機関に差し出されてくれない?」


 優人の傍若無人な言いように男は呆れと苛立ちを覚える。


「無茶苦茶やな自分!?…そんなもんノーに決まっとるやろ!?」


 声を荒げて拒否する男にそうですよねーと心の中で思う俺。

 すると男は仲間達に見えるように手を挙げると大講堂内の仲間達が一斉に銃を構えこちらに銃口を向けてくる。

 あ、そんな感じで来ますかと思い気怠さが増してくる。

 マジで大人しくしてくれないかな…こっちとしてはもう面倒になってきたんだよね…。


「…何のつもりだ?」


「お前さんを捕らえるのは諦めて殺してからゆっくり聖骸探そうと思ってな…だから大人しく死んでもらうわ」


 うわぁ…マジで面倒だよ…。

 あれだけ力量差見せたのに、何なのコイツら。

 馬鹿なの?馬鹿なのかな?…はぁ…。

 面倒くさがってる俺を他所に男は告げてくる。


「これだけの数に一斉に狙われて撃たれりゃー流石にさっきみたいな事は出来んやろ?」


「はぁ…面倒だな…無駄なのに」


 俺が言い終わるのと同時に男の手が振り下ろされると周りから無数の銃弾が俺に目掛けて飛んでくる。

 辺りには悲鳴と銃声音や薬莢がバラバラと落ちる音、硝煙とマズルフラッシュが立ちこめる。

 優人が立つ場所は無数の銃弾が飛んでいった所為か煙が立ち込め姿が見えずにいる。

 愛花達は不安が募り安否を確認しようと叫ばずには居られず、咲も不安な色を隠さずにいた。


「流石にこれで終いやろ…」


 そう呟くとようやく男の顔に余裕の笑みが見え、仲間に撃つのを止めるよう手で指示を出す。

 暫く静寂が続くと優人の立っていた場所の煙が薄っすら晴れていくとその場に立っている人影が見える。


「嘘…やろ…?」


 男が驚愕に声をあげる。

 目の前の異様な光景に男の仲間達も茫然自失になる。


「…避けたり切れないなら、早い話銃弾を止めてしまえばいい話だろ?」


 優人は男に悠然と語りかける。

 優人の目の前には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「な、何が…起こってるんや…?」


 理解を超える光景に男の思考が追いついておらず疑問を投げかけることしか出来ない。

 男の問いかけに優人は銃弾を制止させるように突き出していた片腕を下ろすと止まっていた銃弾が一斉に下に全て落ちていく。


「何が起こったって…銃弾だけ止めて無力化しただけやけど?」


 さっき説明したのに…と思いながら男を見ると呆気に取られており、何か説明間違えたかなと思ってしまう。


「とりあえず…っと」


 俺は片腕を横に上げ指を鳴らす。

 それと同時に大講堂内に居る男以外のテロリスト達が一斉にその場に崩れ落ちる。

 その異変に気付いた男は焦りを見せあたふたする。


「これで後はアンタのみだけど…どうする?まだ抵抗する?」


 男の様子を見ながら俺なりの最終通告を告げる。

 これ以上暴れられても面倒だし、何より力使うのがしんどい…大人しくしてくれたら良いんだけど…。


「この…化け物め…」


 男は悔し紛れかそう呟くと大人しく両手を上げて降伏の意を示す。


「化け物…ね」


 男の言葉を呟くように言うと俺は思い耽るも男を拘束する為に近寄る。

 男は抵抗する意思が見られず大人しく拘束を受け入れると俺は男に話かける。


「アンタの言う通り…俺は化け物だよ」


 話しかけられた事に面食らう男に話し続ける。


「まぁ、アンタがNo.3(サード)からどれだけ聞いているか知らんけど…俺は正確にはNo.の正式メンバーでは無ぇよ」


 男が驚き何かを言おうとした時だった。

 大講堂の天井から大きな衝突音が鳴り何かが突き抜けてくると同時に生徒や教職員達が悲鳴を上げる。


「なっ――!?」


 そして俺は目を見開く…男の背には片刃の剣みたいな物が深々と刺さっており心臓を貫いていた。

 すぐさま男に駆け寄るが口から大量に吐血し貫かれている胸からも血が流れ出て手遅れの状態であった。


「げほっ…失敗、した奴の末路は……結局こんなもん、だな…」


「おい喋るな、すぐに治して…」


 俺が力を使って治そうと手をかざすと男は首を横に力無く振るとそのまま事切れる。


「……」


 後味が悪い中、俺はこの剣みたいな物が突き抜けてきた天井を見上げると天井の外つまり空中に何か人らしき物が浮いている。

 それは段々下に降りてきては長いクリーム色の髪を靡かせて壇上の上に降り立つ。

 背には先程の片刃の剣みたいな物が7本浮いており目元には黒いアイバイザーをしているが、俺はそれを…姿は違うが彼女を知っている。

 俺の頭の中に警告音が鳴り響くと、すぐに大声で咲に告げる。


「咲!!今すぐここから人質全員と一緒に早く逃げろっ!!」


 事態の急変を察知した咲は優人の告げた通り人質を誘導して逃がしていく。

 それを確認して彼女と対峙すると彼女は片腕を前に突き出すと触れてもいないのに先程男に刺さっていた剣みたいな物が抜けて彼女の背に戻っていくと突き出していた腕を下げる。


「…ったく、終わったと思ったらコレかよ」


 俺は心底思った事を口に出してしまう。

 彼女はこちらをじっと観察しており微動だにしない。

 彼女と向き合ったまま視線だけ一瞬、大講堂の出入り口を確認すると咲が人質全員を逃がし避難した事を確認し俺は溜め息混じりに彼女に話しかける。


「はぁ…毎度毎度、俺がする仕事ってなんでこうも簡単に終わってくれないんだろうな……」


 彼女からの反応は何も返ってこない。


「なぁ、お前もそう思わないか?…アイリス」


 俺がそう告げると彼女…アイリスは不敵な笑みを浮かべ、アイバイザーからは赤い光が不穏に灯る。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

投稿はめちゃくちゃ遅いですが長い目で見てもらえると幸いです。

ちなみにこの章もクライマックスですので次回も楽しみに待ってもらえたら嬉しいです

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