宇宙の旅人
気の遠くなるほど、むかし、むかしのお話
永遠と続く宇宙をさまよう、一人の男がいた。
彼は、宇宙船も、宇宙服もないまま、宇宙の世界をさまよっていた。
理由は一つ
家族が、いない。
だから、人に、出会ったことのない彼は、旅をしている。
彼は、目的を知らないまま、旅をしている。
しかし彼は、信じていた。
だれか、自分を見てくれる人を、いると願って。
しかし、そんな願いは叶うものか、男は、年をとり、老人になっていった。
人を見たことがないまま、死んでゆくのだろうか。
そして、長い月日がすぎ、老人はだれかに会う夢を、もう、叶わぬ夢だと、このまま、死んでしまおうかと思っていた。
その時、老人は、あるものを見た。
きれいな、流星群だ。
遠くの方で、きれいな流星が、散っていたのだ。
老人は、その流星群にみとれた。
まだ、生きていたい。
そんな気持ちが、老人を変えた。
ずっと、生きる。死にたくない。人に、会いたい。
そして、生きる決心をしたのだ。
宇宙の旅人として、人に、会おうではないか。
その次の日、老人の夢が、叶う時がきた。
一つの隕石の上に、少女が、ねそべっていたのだ。
老人は、その少女を、だきあげた。
すると、少女は目を開けた。
少女も、家族をなくし、宇宙をさまよっている。
老人は人に出会えることができた。
しかし、一ヶ月もすると、老人の体は弱くなり、立てなくなっていた。
このまま、死んでしまったら、少女は一人になってしまう。
老人は決心した。
次は、少女のために、人を見つけよう。
二週間後、老人は、倒れていた。
少女は、老人を優しくねかせた。
老人のために、人に会いたい。
少女は、願った。
すると、小さな隕石が、やってきた。
願いは、叶った。
隕石の上には、若い女が立っていた。
老人は、優しく、ほほえんだ。
その、女も、優しい笑みを見せた。
しかし、次の日、老人は静かに、少女のうでの中で、帰らぬ人となった。
むかし、むかしのお話です