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霧と不乱とそれ故に

君は、断末魔を聞いたことがあるか?

君は、走馬灯を見たことがあるか?


霧建とフランは対峙している。

小さな白線を対にして。


これは、故とイルエの恐れていた展開。即ち、前回の話から飛んでいる…。


ここは、とある中学校のグラウンド。

周りには誰もいない。


傍目から見れば、二人の姿を視認するのは困難だろう。


「さあ、潰し合いを始めるか。まずは、貴殿に死んでもらおう。これも、仕事だ。恨むなよ」

「お嬢ちゃん、随分、物騒な言葉をつかうんじゃのう?その大仰な振る舞い、親の顔を見てやりたいの」

「われの親御はとっくの昔に死んでおる。貴殿が知ったところで何の意味がある?」

「あー?冗談が通じない子供はやだのう」

「?われは、老翁くらいの時間、生きておるが…?」

「え?マジかの?その童顔にその体躯で?失敬。わしの知り合いは精神年齢が低い奴が多くての…」


瞬間。

明らかに霧建の目の色が変わる。


"花聞き"


「何をした?今、われに奥ノ手を使ったな?」


「うむ。使った。なに、信憑性を勘ぐっただけの事。…お主、昨日、何人殺した?」

「3人。それがどうした?」

「今、たしかに揺らぎを感じた。お主、記憶と事実に齟齬があるようじゃの」

霧建の目の色が青い色に変わっていく。


「む?記憶の齟齬か。貴殿の言うことも一理あるようだ」


なにかに気がつくフラン。

ゆったりと歩き出す。

そして。

前方に跳躍した。


"空気盾"


フランの目の前にあった空間が歪み始めた。


ギュルルル。


フランは。

空に立っている。

その表現が一番しっくりくる。


「貴殿をわれの齟齬の元凶と断定する」

「おいおい。わしは記憶操作なんて芸当できんぞ」

「その認識自体、怪しい」


霧建も戦闘態勢に入る。目の色が真っ黒に染まっていく。


「さあ、殺されたくなければ本気で来い。霧建国」

「そうか。その自信、"粉砕"させてもらおう」


闘いが始まった。




まず、動いたのはフラン。

「"名の皇帝"。空気よ湾曲して、鎌となれ。溶接され、刀となれ」

「コトダマ使いか。珍しい特級が居たもんだ。絵見以外では初めて見た」


フランの右手に鎌。左手に刀が展開される。


だが。


「トップ10を舐めるなよ」


その一言で、フランの武器が"粉砕"された。


「なっ!?」

フランは何かを見た。


「早すぎるかな?名塚フランちゃん?」

「何をした?"粉砕"と言ったな、ふむ。では、これでどうかな……!」


フランの右手から針が霧建に向かって射出された。

しかし、霧建の目の前で全て砕け散る。


「速すぎて見えないかの?」

「チッ。腹の立つ殿方だな。老いぼれの癖に」

「やっと口調が本性に寄ってきたの。ホッホッホ」


針は射出され続けているが、霧建には届かない。全て雲散霧消していく。

「なら!」



「……それ以上は止めろ。殺すぞ」


そう、"元覇王"の一言が告げられる。


その一言で。

霧建の周りの空気が澄んだ。


喩えではない。

比喩ではない。


「何をして、何を使い、何を駆使して、わしを傷つける?ピンチなのはそちらの方。見たところ、フランちゃんは空気に名付けをしているのか。それか、コトダマ使い故のチカラなのか」


霧建はそう言いながら、進み出す。

コツコツと革靴が地面を踏みしめた音がする。

一方でフランは考えた。

"粉砕"に対応する策を。


手汗が止まらない。冷や汗がでる。鳥肌が立つ。


こんなに恐ろしい気配を出す敵が、いままで居ただろうか?


どうする?どうすればいい?


「"お前は自分の立場を考えたことがあるか?"」


「…!…!ッッ!」


フランにしか聞こえない声。

その声がフランを畏怖から守った。


フランは、粉砕の一撃、撃破を、躱した。

くるくると流々の流れで。

華麗なダンスを披露するかのように。

タップダンサーのように。


踏み描く点と点が繋がっていく。

コッコツコッ!カツコッカッ!


「"お前を特有開花の総隊長に任命する。これは、特別待遇だ。イルエ以上のな"」


「われは、特級特別隊、"特有開花"の総隊長、名塚フラン!」


ニヤリと霧建はそれを聞いて笑みを浮かべた。


「それが、お主の本来の戦い方か。名乗りを上げてとは、武士の生き残りかの?」

絵留分(えるふ)だ!古代の人々の子孫だ!われは、貴殿には負けない!」

「失礼した。わしは、永久欠番のトップ10、トップ9の霧建国!そなたの覚悟!受け止めて見せようか!」

フランが武器を作るより速く、霧建が粉砕権能を使う寸前…。


刹那。

霧建の首が撥ねられた。

ザシュッ!!


血が切断面から溢れる。

霧建国だった肉塊は地面に倒れた。


「えっ?」

フランは呆然とした。何も見えない。目の前が真っ暗になった。

「うわぁあああっ!?ああああああああああ!!」


悲痛な叫びがこだました。




話し声が聞こえる。

ああ。走馬灯か。

霧建はそう思った。


何故、邪魔をした!?あの男とわれの真剣勝負を!命のやり取りを!


フランとか言うあの童顔が誰かに抗議している声。


叙位!何故だ!?答えろ!返答次第では、貴殿を許さない!!


ああ…。止めろ。ヤメテクレ。ソイツは危険だ。わしのために怒るな。叙位は危険なんだ…


嫌なこと言うなよな。霧建国は敵の副官みたいな奴。殺して当然だろ。騙し討ちだけど。笑笑。


何を…笑って…。貴殿、命のやり取りを何だと思ってやがる!?


騙し合い。

なに?ここでもう一戦ヤル気?

ジジイが一人死んだくらいでなにをキレてるのさ?

あははは!愉快愉快!僕に牙を剥く気?一匹オオカミさん?


ブチ殺す!!


叙位に殺意を向けたら駄目なんだッ!矛を収めろ!フラン!


霧の祈り虚しく…。


フランは矛を叙位に突き立て……。


自分の内臓(ハラワタ)が貫かれるのを見た。


"怨念苦肉酷"。

僕の18番の奥の手は、負の感情を力に変える。

殺意は強ければ強いほど良い。応用編として、今の君は呪い返しにあったみたいです。笑笑。



止められなかった…。

わしは、わしは、また、繰り返すのか?


そこぉ。全部聴こえてるよ。霧建国。


なに?何故…。



消えろ。


その一言は、霧建の残滓をかき消した。


勝者は居ない…。


漁夫の利。


全ては、叙位の掌の上で転がされていた…。



これで全て雲散霧消というわけか…。

つまらないな。


瞬間。

ゴッラリララ!!ガラガラガラ!!!

轟音とともに。

叙位の鳩尾に鉄拳が打ち込まれた。


「ッらああああ!!」


勝利の悪魔が乱入した。


木主場故!?何故貴様が!


「そのジジイは仲間なんでねぇ!助太刀するよ!」


「それと!!…仲間をむげにするやつはぶっ倒す!!」

遅れてくるのがヒーローの鉄則であった。


そう、この物語はフィクション。

とてもご都合主義なお話。


















話が乱立してきた物語。

後でまとめるのが大変なのはわかっています…。汗…。

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