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5/10

獅子とは悪戯好きが故に

トップ2参上



希望色オンザ透明色


結局、さぼるのが好きなのではなく。適度に休めることが重要なのだ。


遊ぼうよ。

そんな語りかけを。

わたしは肯定も否定もせず。

ただ、無視した。


「遊ぼうよ」

その一言でわたしの世界は一変した。


ガラガラと音を立てて、わたしは新しいわたしになった。


「ゑ!?」

「驚かないで、貴女の笑顔、とってもいいわよ。」

わたしは慌てて洗面所に駆け込み、鏡を見た。

そこには、いつものわたしがいるだけ…。


「遊ぼうよ?」

その声がもう一度耳に響いた瞬間。

わたしはわたしで無くなった。


そこには、"ケモ耳が生えた可愛らしい少女"が居たのである。




さて!今までの話、よくわからないままよくぞ聞いてくれた!

このお姉さんが教えてしんぜよう。

整理してみよう。

木主場たちはトップ7。早湖五可はトップ10。次空飛石はトップ3。

そしてこの獅田麗雨(しだれいう)こそトップ2。

はははー。驚くなかれ、わたしは非露印の役柄についている!

ヒロインといえば、主人公と衝突しながらも、徐々に惹かれていくのがど定番!

甘酸っぱい恋の始まりさ。


この獅子に狙われたからには観念してもらおうか?


バキッ!


何かが、粉砕される音がした。

瞬間。

わたしの獅虎遊戯が、弾かれる。


「だーれが、獅子だと?……阿呆かお主は。まず、誰に牙を剥いたかも分からん青二才が獅子などと名乗らんことだ」


へへっ…。

一瞬で理解できた。

このジジイ、やばい…。


「ふ、ふふん…。やるね。わたしの幻惑をかわすなんて…何処の誰さんなのかしら?奥ノ手を崩す奴なんて聞いたことないよ…」


実際のところ、どういう巧術なのか、もしくは奥ノ手なのか、分からないわたしは、探りを入れてみる。

ハッキリ言って、めちゃくちゃ怖いんだけど。


「わたしの名前は霧建国(きりたてこく)。お主と同じトップ10だと言いたいんだが…。信じるかの?」

「信じる?でも、あなた、見るからにジジイだし。トップ10は若人だけのグループじゃないのかしら?」


まあ、聞け。


そう言って、霧建は喋り始めた。

一時休戦というわけだ。


「のう。しだれよ。トップ10の中にも例外が存在するのを知っておるか?」

「ええ。絵心とあの悪魔とか、いつかちゃんとかかしら?」

「うむ。本来以上の実力者だったり、人数だったり、じゃな」


そこには法則は特に無い。

だが、唯一、毎回の様に現れる存在、トップ9が居たと言うらしい。


「それが、わし。霧建というわけじゃな」


わたしは理解していく。

ふと、気になって聞く。


「毎回?まさか、毎回トップ9の座に選ばれているとでも?だいたい何歳よあんた。そんなこといったら、創設者のカタツカさんはおばあちゃんの年齢以上じゃない」


「そうだな。わしとカタツカの関係性から話すか。氷柱の事もな」


肯定。

まさかの肯定。

氷柱様のことを呼び捨てにした奴、初めて見た。

少なくとも、話くらいは聞いてやろうかしら。


「わしは特級が日本を支配する少し前、カタツカエミに出会った。まだ、トップ10が存在する前じゃな」


お伽話を話すかのような口ぶりにわたしは少し興味をそそられた。


「明るい存在だったよ。カタツカは。周りの人間に暗い感情を一切合切持たせない、人望の塊みたいなやつじゃった。だが、大人だったあやつと子供だったわしは交わるべきでない存在同士だったのかな」

「貴方……もしかして、キャラ作ってるッ」


カチーン!!

ゲンコツがわたしの頭に直撃する。


「なにすんのよ!?率直な感想を述べただけでしょ!?」

「人が大事な話をしている時に、邪魔すんなよ。小童が!」


キャラ作ってるのは否定しないのね…。

なんてふざけたことを思うわたし。


話は進んでいった。


「ここで重要な点は、初会合の時、わしは子供の年齢で、カタツカは既に成人式を迎えた年齢だったということだ」

コツコツと自身の頭を叩きながら言う。

「んー?つまり、カタツカさんは歳を取っていない…?いや。そんなことできるはず……あ。もしかして、トップ10創設と何か関係が?」

「わしは歳を重ねている。まあ、一般より遅めらしいがな。不思議なのは、カタツカが歳をほとんど重ねていない点だ。解るかの?」


コクリと頷くわたし。


「だが、気付くはずだ。何かに」

「何か?」


貧乏ゆすりをしながら、苛立ってわたしは言う。


「ここまで来てなにを焦らすのよ。教えてちょうだい。きりたてさん?」


明確になった。

霧建は何か知っている。

しかし、どうも腑に落ちない点がある。

いや、待てよ。


「もしかして…津求名の事が関係してる…?」

「やっとそこに辿り着いたか。そう。今のトップ10はカタツカが生きていた時代に戻りつつあるんじゃ」


「わかりやすく言えば、トップ10は全盛期に戻りつつあるってことね…。ほぼ全てのメンバーが奥ノ手を持ち、多民とわかりあい、団結している…」


だから、頼む。と。

ジジイこと霧建国は頭を下げた。


「この通りだ。特田万を倒し、"喜怒哀楽"を取り戻して欲しい」

「ハゲが目立つわよ。クソジジイ」


パコーン!!


こんどは、何処からか現れたハリセンで頭を叩かれるわたし。


「なにすんのよ!?事実を言っただけでしょ!だいたいそのハリセン、何処から出したのよ!?」

「わしの奥ノ手は便利でな。って、事実でも言っていいことと悪いことがあると思うんじゃが!?黙れ黙れ!小童が!」


そもそも。

わたしなんかには、人から頭を下げられる資格なんて無い。


……。なんか、毒気抜かれちゃったな。


「分かった。けど、頼むべき相手は、後ろにいるんじゃないかしら?」

わたしは、指を霧建の真後ろに指した。


「いやー。ごめんごめん。れいうさん。それにきりたてさん?だっけ?全部聞かせて貰ったよ」


そこには、木主場絵心その人が居たのである。

狼臥煙と呼ばれる少女を連れて。
















狼臥煙とは誰なのか?

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