早湖五可(はやこいつか)とオーロラ
この世界には、トップ10と呼ばれる何かしらの役柄を持った若人が少なくとも十人存在する。
今回は、最強格と呼ばれる10人目のお話。
日常回。
早湖五可は、ある時から、人とは違っていた。何、見た目は、普通の人間の女の子だ。
平凡な父と平凡な母から生まれた、ただの日本語を話す、平凡な日本人。
しかしだ、彼女の周りでは、死が絶えなかった。そして、彼女は死に慣れていった。
「お母さん。なんで、倒れてるの?」
「お父さん。なんで、血だらけなの?」
まず、五可の6歳の年に母と父が亡くなった。
間も無く、叔父や、従兄弟も亡くなったと知らされた。
「またなの…また、わたしをひとりぼっちにするの。」
立て続けに、肉親が死んでいく。呪いのように。
あまりにも、過酷な運命。悲惨な現状。
彼女は、感情を消す事で全てから、逃げ出した…。
「は!っ!?……なんだ、夢か…。うーん。寝起き悪いわ。」
早朝。19歳の少女、早湖五可は、目を覚ました。
シーツが汗でびっしょり濡れている。よほど怖い夢だったのだろう…。もう、夢の内容は、覚えていなかった。
[すごくうなされてたわよ。イツカ。何を見たの?おっと、凄い格好になってるわよ。すぐにシャワーでも浴びて着替えた方がいいわよ。]
この声は、わたしの多民、オーロラ、の声である。
でも、凄いかっこう?…って!なんか、凄い透けてる!?
落ち着けわたし。ステイスティ、現状を説明すると、こうだ。
寝巻き(パジャマ)で寝たはずなのに、わたしの着衣は、白いポロシャツ一枚……。
自分で言うのもなんだが、凄くいかがわしい。
下は、下着のみなので、丈が短いポロシャツは絶対領域が絶対領域していない。
肝心の上は、いい具合に見えてはいけない部分が絶妙なバランスで透けていた。
あー!なんでこんな事に!オーロラにこんな醜態を晒してしまうなんて。
[あら、可愛いかったわよ?すうすう寝息をたてて眠る美少女を眺めて過ごす一夜は…]
「まてまて、その発言、大分、爆弾発言だよね??」
そうだ。コノヒトヘンタイでした。はい。もう、いいや…いつものことよ…。
諦めたわたしは、素直にシャワーを浴びる事にした。
この日がオーロラと過ごす最後の日になるなんて思いもせずに。
そう、明日は、わたしの誕生日。