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第五話『神の祝福。英雄職』

 その後ステータス測定は続行された。

 次々とクラスメイト達が石版に触れていく。

 ある程度進んだ時、俺はステータスの値に一定の法則があることに気付いた。

 元の世界で運動が得意だった者は近接系の職業になり、逆に勉強の方が得意だった者は魔法系の職業になるようだ。

 ただ、プラモ好きの朝倉がホワイトスミス(鍛冶師の上級職)だったり、動物好きの岡崎がビーストマスター(魔獣使いの上級職)だったりと変則的なものもある(ちなみに朝倉も岡崎も女子だ)。


「すごい。全員上級職ばかりだ……」


 騎士の誰かが茫然と呟いていた。

 どうやら上級職というのはその道でかなり研鑽を積んだ者にしかなれないようなもので、その人数も僅かしかいないらしい。

 それなのにクラスメイト達は今のところ漏れなく上級職になっている。

 だからこそ騎士たちはみんな驚愕の表情をしているというわけだ。


 聞けば職業は下級職、中級職、上級職、英雄職、伝説職の五つに分かれているとのことで、この世界にいるほとんどの者が下級職であり、中級職でエリート扱い、上級職はその道を極めた達人という扱いのようである。

 ちなみに英雄職はそれこそこの世界に指で数えられるほどしかおらず、名前の通り英雄扱いだそうだ。

 伝説職に至っては今現在この世界で確認されている者はいないと言っていた。


 と、そこで一層強いざわめきが起きて俺は視線を前に戻す。

 そこでは俺と同じぼっち系女子である日ノ下が石版に触れており、彼女のステータスが浮かび上がっていた。


========================================


日ノ下カトレア 15歳 人間族 女 レベル1

職業:賢者(英雄職)

筋力:164

魔力:238

体力:138

防御:100

敏捷:197

魔耐:221

成長率:31

ジョブスキル:黒魔法レベル6・白魔法レベル6・演算レベル5・無詠唱レベル5・読解レベル7

個人スキル:言語理解・瞑想レベル5・睨むレベル6

ユニークスキル:なし


========================================


 ……おおう、ステータスの値が軒並み高い。

 しかし納得出来る部分もあった。

 日ノ下は学年一位の学力の持ち主だ。

 魔法系は理系が得意だと黒魔法、文系が得意だと白魔法に特化する傾向があるようだが、日ノ下は文系、理系問わずパーフェクトのせいか黒魔法と白魔法の両方持っている。

 何となく賢者という職業は彼女にとても似合っていると思った。

 ただ、


「え、英雄職……」


 そう、誰かが呟いたように彼女は英雄職だった。この世界に指で数える程しかいないという英雄職だ。

 誰もが日ノ下の人間離れした美貌を茫然と見つめている。

 しかしそんな中、当の日ノ下はというと何故かまた俺の方をじっと見ていた。

 こんな時でも構わず睨むように見てくる日ノ下の思惑が俺には分からない。

 ただ、あのさ……もしかしてステータス欄にある『睨む』っていうスキル使ってないよね? なんか元の世界の時よりもめっちゃ焦燥感が強いんだけど……。


 女王はスキルについての説明もしてくれた。

 それによると『ジョブスキル』というのは名前の通りその職業由来のスキルで、『個人スキル』というのは職業とは関係なく個人が努力したら会得できるスキルらしい。

 今回クラスメイトたちが持っている個人スキルは、恐らく元いた世界でその者に由来するスキルなのだろうとのことだ。

 例えば日ノ下はよく教室で目を閉じている時があったが、それが由来して『瞑想』なんてスキルが手に入ったのだろう。『睨む』のスキルもきっと俺のことをいつも睨んでいたから会得したに違いない。

 海老沼の『読解』なんてスキルはきっと彼女が図書委員だったことに由来しているのだと思うし、斉藤が特にこれといった個人スキルを持っていないのは斉藤が薄っぺらい人間だからに違いない。うん、きっとそう。


 ちなみに『言語理解』という個人スキルは全員が持っていた。このスキルのおかげで俺たちはこの世界の言葉が分かるらしい。

 そしてその『言語理解』だけは神からのプレゼントなのではないかと女王は言っていたが、俺は案外俺たちが元の世界で国語や外国語を習っていたことが起因しているのではないかと思っている。


 日ノ下は俺から視線を外すと何もなかったように自分の席へと戻って行く。

 自分が英雄職になったことに関して特に何の感慨も抱いていないように見えた。

 そのせいか場は盛り上がるよりもしんと静まり返っている。

 それでも何も気にせずすまし顔のまま席に座るところが日ノ下らしい。

 仕方なく次の順番の女子、桐生理子が気まずそうに立ち上がる。

 しかしあれほど高いステータスの次だ。桐生からしたらやりづらいったらないだろう。


 そして……桐生は普通のステータスだった。

 いや、桐生も上級職だったからすごいはずなのだが、日ノ下の後だから騎士たちも「あ、はい。普通ですね」みたいな感じになって特に何も言ってくれない。桐生涙目。

 ただ、やはり日ノ下が異常なだけだったようで、そこからはしばらく『普通?』のステータスが続いた。


 そうして遂に残す人数は僅かとなる。

 最後に残った者たちを見て、周りの視線に籠る期待は一層強くなった。

 そう、遂にトップカーストの面々の順番がやってきたのだ。

 間所(まどころ)、姫宮、風早(かぜはや)、そして螢条院。

 彼らはトップカーストと周りから認められているだけあって、それぞれ何かしら飛び抜けたものを有している。

 だからこそ自ずと期待は高まってしまうのは無理もないというものだった。


 まずは間所が自信満々に石版の元へと歩いていく。

 これで大した事なかったら笑ってやろう。

 奴は無造作に石版を掴み、出てきたステータスは次のようなものだった。


========================================


間所虎太郎 15歳 人間族 男 レベル1

職業:ハイウォーリア(英雄職)

筋力:240

魔力:72

体力:239

防御:195

敏捷:178

魔耐:69

成長率:30

ジョブスキル:斧レベル6・槌レベル3・自己修復レベル3・肉体金剛レベル4

個人スキル:言語理解・気合レベル5・投擲レベル7

ユニークスキル:自信(無効)・


========================================


 笑ってやろうなんて言ってごめん。

 間所のステータスは凄いの一言だった。

 そして再び出た英雄職に場にはまたどよめきが巻き起こる。

 間所は俺的にかなり嫌な奴だが、野球で名を残すと豪語していただけあって身体能力はずば抜けている。それがステータスに完全に投影された形だ。

 皆が驚いた顔をしている中、間所だけが当然といった顔をしていた。

 世界が変わっても憎らしいほど不敵なのは変わっていない。

 間所が隣で驚いた顔をしている姫宮を促すと、姫宮はハッとしたように石版のところへ進んで行った。そのちょこちょことした動きにクラスメイトだけでなく騎士たちも癒された顔をしている。

 しかし石版に映った彼女のステータスを見てそれらの表情が凍り付くことになる。


========================================


姫宮姫 15歳 人間族 女 レベル1

職業:召喚大魔道(英雄職)

筋力:38

魔力:232

体力:32

防御:43

敏捷:30

魔耐:215

成長率:30

ジョブスキル:召喚魔法レベル6・時空魔法レベル4(無効)・黒魔法レベル4・演算レベル3・無詠唱レベル3

個人スキル:言語理解

ユニークスキル:チア(無効)・信頼(無効)


========================================


 ……やはり英雄職になったか。

 姫宮は日ノ下に次ぐ学年二位の学力を持つ。しかも日ノ下と姫宮はダントツのワンツーだ。

 予想していたがやはりステータスは魔力が高かった。

 学問の中でも姫宮は生物が大の得意で、昔からやたら変な生き物の名前に詳しかった。そのせいか召喚魔法なんてものを持っている。

 ただ、運動すら得意とする日ノ下と違って姫宮は運動が大の苦手だ。その差がステータスに顕著に出ていた。

 あんなちっこくて可愛らしい容姿の姫宮が英雄職だったことに、特に騎士たちが驚きを隠しきれないように目を丸くしている。

 当の本人も自分のステータスを見て「ほええっ、何このすごいステータス!?」とか言ってわたわたしているが、どうやら姫宮はステータスの法則に気付いていなかったらしい。

 そんな姫宮を見て面白そうに笑いながら風早が石版へと向かっていく。

 もはや誰もが期待して見つめる中、おぼろげに石版に映り始めた彼女のステータスは次のようなものだった。


========================================


風早沙羅 15歳 人間族 女 レベル1

職業:ソードマスター(英雄職)

筋力:169

魔力:129

体力:158

防御:137

敏捷:270

魔耐:139

成長率:32

ジョブスキル:片手剣レベル8

個人スキル:言語理解・先読みレベル3・気配察知レベル3・洞察レベル4・縮地レベル1(無効)

ユニークスキル:明鏡止水(無効)・愛(無効)


========================================


 当たり前のように英雄職だった。

 だが、彼女に関してもそうなると思っていた。何故なら風早は日ノ下、間所、姫宮といった者たちと比べて全く遜色ない人物だったからだ。

 風早の家は昔から剣術道場を営んでおり、彼女は昔からそこで剣術を叩き込まれていた。

 高校に入学して間もなく……というか、つい先日のことなのだが、生意気な態度の風早が剣道部の上級生たちに可愛がりという名のシメ目的で剣道場に連れて行かれた時、たった一人で剣道部の主将を含む十人ほどの上級生を竹刀一本で返り討ちにしたのは記憶に新しい。

 理不尽なことが大嫌いな風早はそれこそ上級生たちをボッコボコにしたらしい。向こうが泣いて謝るまで面の上から……いや、もうよそう。考えただけで背筋が寒くなってきた。


 そんな風早だからか片手剣レベルが8もある。

 多分これはジョブスキルだけでなく元の風早の剣の腕前の分もスキルレベルに加算されている気がする。

 当の風早は「ま、こんなものかしらね」という顔で長い髪を掻き上げていた。多分風早は早々にステータスの法則性に気付いて自分のステータスを予想していたに違いない。風早らしいと言えば風早らしいが。


 ちなみに風早が髪を掻き上げる仕草はワイルドだが艶めかしく、男だけでなく女子からもごくりという生唾を飲み込む音が聞こえていた。

 彼女は男子だけでなく女子からも異様にモテる。中学三年の時などは螢条院と風早のどちらがバレンタインチョコを多くもらえるかという賭けがあったくらいだ(同性から気安くチョコを貰える分、風早が有利と言われていたにも関わらず勝利した螢条院はさすがと言わざるを得ないが……)。


 閑話休題。


 次に立ち上がった人物を見て皆がハッとする。

 遂に螢条院の番だった。




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