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第二十九話『マジックポーチ』

 スカルナイト狩りを始めて三日目の夜に差し掛かろうという時だった。

 正直スカルナイト狩りにうんざりし始め、本当に『骨滅のカード』が存在するのか疑わしくなっていた頃、ついにそれはドロップした。


 もちろん『骨滅のカード』である!


 地面に落ちていたカードを見た時は一瞬目を疑った。

 そりゃそうだろう。だってもう何千匹のスカルナイトを狩ったか分からないもん。

 ……ん? ちょっと待てよ?

 冷静に考えたら滅茶苦茶虐殺してるやん俺!

 こわっ!


 ……まあそれはいいとして(いいのか?)。

 とにかく、それだけに悦びも一入(ひとしお)だということだ。


 俺は興奮気味に『骨滅のカード』を手に取って見つめる。

 スマホくらいの大きさの長方形のそのカードからは不思議な力を感じた。


 この世界ではモンスターの中にこのように『カード』を落とす個体がいる。

 そしてこの『カード』には武器や防具を特殊強化する不思議な力がある。

 例えば今拾った『骨滅のカード』は武器を強化するカードなのだが、その強化内容は『骨型モンスターに対し攻撃力二割(20%)アップ』だ。


 これがどれだけ強力なことかお分かりだろうか?


 武器には『スロット』と呼ばれる穴が空いていることがあり、そのスロットにカードを差し込むことで武器が強化されるのだが、武器の中には複数のスロットが空いていることがある。

 例えば武器に五つのスロットが空いていたとして(MAX五つ)、その全てに『骨滅のカード』を差し込んだとしたら、その武器は骨型モンスターに対し実に二倍の攻撃力を発揮することになるということだ。

 これは相当凄いことだろう。

 仮に二確だった相手が確実に一確で倒せてしまうということになるのだから。


 だから冒険者の中にはカードを集めて、特定のモンスターに対しての専用武器を作ることも珍しくないらしい。

 確かに狙ったモンスターを狩るならその方が効率は良くなるだろうし、俺もその内にそうした専用武器にお世話になるかもしれない。


 しかし今は違う。

 もし『カード』を使うならもっと良い武器を持った時に使うつもりだ。

 何故なら『カード』は一度武器や防具に嵌め込んでしまうと、二度と取り出せなくなってしまうからだ。

 だからただでさえ貴重な『カード』を使用する時には慎重さが求められる。

『本当にその武器にそのカードを使って良いのか?』

 それは冒険者たちの永遠のテーマらしい。


 それに今の俺はスカルナイトを一確で倒せるし、何よりお金の方が必要なのでこれは売ることにする。

 さらに言えば俺には欲しい物があるのだ。

 そんなわけで早くダンジョンを出て冒険者ギルドに『カード』を売りに行くとしよう。



 **************************************



「こ、これ、『骨滅のカード』じゃないですか!」


 ギルドの二階の個室でカードを渡すと、ディジーさんが「やふーっ!」と言わんばかりにカードを両手で掲げて叫んだ。


「うわあ、うわあ、ついにドロップしたんですね!? おめでとうございます!」


 やはり『カード』とうのは相当レアなものらしい。

 ディジーさんはいつになっても『カード』を見ると興奮するものだと言った。

 最近『スカルナイトの骨』を査定させ過ぎたせいか少しノイローゼ気味だったので、むしろ俺よりも喜んでいる気がする。


「それで、この『カード』はどうなさる予定ですか? あ、でもわたしに渡したってことはギルドへの売却でよろしかったでしょうか?」


 俺は頷く。


「そっか。そうですね。今のリクくんには『カード』よりもお金の方が重要なのは間違いありません。その判断は正しいと思います」


 ディジーさんのお墨付きももらえた。


「それじゃあすぐに換金しちゃいますね。もし買いたい物があるなら、早くしないとどこのお店ももうすぐ閉まっちゃいますから」


 やはり出来る女は違うな。さすがディジーさん。

 俺が今日中に買い物を済ませたいことをさりげなく汲んでくれる。


 それから間もなく俺はディジーさんから『骨滅のカード』と『スカルナイトの骨』の買い取り額を合わせた金貨15枚と銀貨30枚を貰ってギルドを出た。



 **************************************



 さて、今俺の手元にはここ三日ほどの『スカルナイトの骨』の買い取り額も合わせて金貨16枚とちょっとある。

 これだけあれば欲しい物を手に入れるには十分だ。


 その欲しい物とは『マジックポーチ』。

 以前メインストリートの道具屋で見た、中に亜空間が広がっているマジックアイテムだ。


 最近の俺は、『コウモリの羽』よりも小さい上にドロップ率も二分の一しかない『スカルナイトの骨』を、一日でリュックにパンパンにするほど入手するほど狩りのスピードが上がっていた。

 狩り自体に慣れたということもあるが、レベルの上昇と共に敏捷性が上がったおかげもあると思う。

 このまま行けばまた容量の問題で満足な狩りを出来なくなるのは目に見えていた。


 さらに、だ。

 これから先、もっと下の階に潜ることを想定すると、一日でダンジョンから帰ってくることは効率が悪い気がした。

 実際に上級冒険者はダンジョンの下層に潜る場合、何十日分もの食料や準備をして『遠征』することがよくあるらしい。

 それを考えると、ここで『マジックポーチ』を買って狩りの時間を延ばすことは狩りの効率上昇に必要不可欠だと判断したわけだ。

 今の俺には金貨15枚で買える『マジックポーチ(極小)』が精一杯だが、(極小)でもリュック五個分の容量があるので十分だろう。


 そんなわけで俺はこの後、メインストリートの道具屋で『マジックポーチ(極小)』を購入した。

 また一つ狩りが楽しみな要素が増えた。




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