第二十二話『ドロップアイテムとレベルアップ』
取りあえずしばらくは複数のモンスターを相手にするのは回避して、一匹だけを倒していく方針の方がいいな。
なんにせよ俺はまだレベル1の駆け出しなんだ。無理をする必要はない。
さっきも言った通り、まずは戦闘というものに慣れていこう。
そう判断した俺が次の部屋で見つけたのはコウモリ型のモンスターだった。
地球で見るよりも一回り大きいコウモリっぽいモンスターが一匹、部屋の中を飛び回っている。
さっきのスライムと同じでどこか愛嬌があるような見た目をしているが、れっきとしたモンスターだ。
パンフレットにはスライムに次ぐ弱いモンスターと紹介されていたが、飛行型ゆえに初心者に狩るのは難しいとも書かれていた。
確かに飛び回るスピードは速いし、あんなに縦横無尽に飛び回られたら厄介だな。
しかしこれから先、もっと強い飛行型のモンスターが出てくることを考えると、あの飛行型最弱のコウモリは狩っておきたい。
そんなわけで俺はコウモリが飛びまわっている部屋に躍り出た。
するとスライムと同じであまり思考能力がないのか、それとも単に好戦的なのか、コウモリは真っ直ぐに俺に向かって飛びかかってくる。
しかし動きが直線的かつずっと同じスピードなので避けるのにさほど苦労しなかった。
二、三回避けたところで、コウモリの動きに呼吸を合わせ剣で斬り付ける。
そしたら割とあっさりと勝負がついた。
その一撃でコウモリは倒れ、地面に落ちた瞬間に消滅する。
後には『コウモリの羽』が落ちていた。
ラッキー! ドロップアイテムだ。
『負のマナ』の集合体であるモンスターを倒すと、たまにだがモンスターの特定部位にマナが集積したまま残り、それがドロップアイテムとして落ちることがある。
しかもここで取れる『コウモリの羽』は薬の調合に必要な上に不足しているだとかで、現在買い取り価格が上昇していると聞いていた。
ディジーさんにもらったメモによると、これ一つで確か銀貨1枚の買い取りだっけ?
この羽一つで一般家庭の平均稼ぎの十分の一か~。
……悪くないなぁ。
危険を顧みず冒険者になろうと考える者が後を絶たない理由がなんとなく分かって来たよ。
………。
よし、コウモリ狩りをしよう。
コウモリは思ったよりもオイシイ相手のような気がする。
俺的にはスライムよりもコウモリの方が弱く感じたし、コウモリの羽の買い取り価格が上昇している今がチャンスだろう。
あの程度の相手なら二匹同時でも勝てるはずだ。
そう判断した俺は、そこから他のモンスターは極力無視してコウモリだけに狙いを定めた。
戦闘に慣れようとかいう殊勝な心がけはいつの間にか消えていたりする。
地球でゲームをやっていた時もそうだったが、俺はオイシイ狩場だと判断するとひたすら狩り続ける習性がある。
俺は究極の『効率厨』なのだ。
レベルを上げ、金を稼ぎ、その金で良い装備を買って、さらにオイシイ狩場に移動する。
その繰り返し。
しかしそれがこの上なく楽しい!
気付けば俺は夢中になってコウモリ狩りをしていた。
飽きることなく、時間が経つのさえ忘れて。
最初は三匹以上がいると躊躇ったが、いくつか戦闘を重ねた後、いつの間にかコウモリがたくさん群れているのを見かけるほど喜ぶようになっていった。
最高記録は7匹同時だが、それでも俺は無傷で倒しきることが出来た。
コウモリの羽のドロップ率は十匹に一回といったところか。
そして昼飯を食べるのも忘れてコウモリを狩り続けた結果。
リュックサックがドロップアイテムでぱんぱんに膨れ上がった頃――。
俺はレベル2に上がった。




