表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/83

プロローグ

                  

「当宿屋へようこそ。お泊りですか?」

「………」

「………」

「………」

「………」

「……いや、誰か何か喋りましょうよ」


 ローシェが困ったように声を上げた。

 只今、宿屋に入ったところなのだが、俺たちは基本的にみんなコミュ障なので誰も口を開こうとしない。


 結局ローシェが手続きを全てやってくれる。人のよさそうな宿屋のお姉さんは苦笑気味でローシェの労をねぎらっていた。

 俺はいつものように彼女の小柄な背中を見ているだけ。

 ローシェの薄い紫色の髪がトップでお団子にまとめられ、綺麗なうなじから二、三本の毛がぴょこんと出ているのが愛らしい。


 彼女がこのパーティにいてくれなかったらと思うとゾッとする。実際、ローシェがパーティに入ってくれるまで、宿屋の受付の人と話すくらいなら野宿の方がマシだと考えていた時期があった。そして本当に野宿していた。


 ……周りを見れば未だに黙ったままの女子が三人。


 一人はビクビクしながら俺の陰に隠れている奴隷火竜少女のルゥ。

 もう一人は腕を組んで尊大不遜な態度の竜王クルーエル。

 最後の一人は元クラスメイトの……。


 不意にその瞳がこちらに向けられる。冷えるような視線が俺を貫く。

 彼女だけは何故ここにいるのか未だに分からない。


「さあ、手続きが終わりましたよ。みなさん部屋に行きましょう」


 ローシェが振り返ってそのように声をかけてくるが、


「………」

「………」

「………」

「………」

「……せめて身内にくらい反応しましょうよ」


 竜王の『お付き』である飛竜少女のローシェは深い……それはもう深いため息を吐いた。


 ――コミュ障は異世界のテンプレを全てぶち壊す。

 ――コミュ障竜騎士は竜とコミュニケーションが取れない。


 それなのにどうして『竜』である彼女たちは俺の側にいてくれるのか……?


 俺はこの世界に来てから彼女たちと出会うまでの軌跡を思い返す。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆小説家になろう勝手にランキング☆

☆こちらのリンクをクリックしていただくと番外編『コミュ障竜騎士×コミュ障ドラゴン娘(s) -王都の晩餐-』に飛べます☆

↓この下の部分から評価などしていただけると今後の励みになりとても嬉しいです!(評価出来る場所は最新話にしかありません)↓
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ