集合、チーム杉崎
大学も遂に長い夏休みに入った。中学や高校の時と比べてもはるかに膨大な期間の休みに、始まる前は無限に休みが続くように思えたがなるほど、始まってしまえば一日一日があっという間だ。それは、俺たちの毎日がバスケ漬けであることも関係しているに違いない。
今日は午前中に富川第二の練習の監督、そして午後からは、杉崎達と共に、俺たちの大会の練習を行うことになってきた。そのとき、一緒に行きたいとのことだったので、まだ元気のあった智代と灯も連れてきた。他の奴ら、特にもえと奈央はなぜかとても行きたがったか、体は正直なもので、結局、実力的な問題でもこの二人だけ同伴を許すことにした。
「熱いわね……。真夏の炎天下の中、公園でバスケするなんて、兄さんたちはドMなのかしら?」
「文句言うならなんでついてきたんだよ……」
俺たちが練習場所に選んだのは、富川第二中学校からバスで20分ほどのところにあった公園のバスケッコート。うだるような暑さの中、外でバスケをする物好きは俺たちしかいないらしく、コートは俺たちの専用コート状態だった。
それから待つこと5分、陽炎の中、二つの人影がコートにやってくる。
そのうち一人は見知った顔、杉崎と。もう一人は、天を突くような長身の男だ。
「よお野田。待たせたな」
「いや、俺らもついさっき来たところだ。それで、隣がお前が連れてくるって言ってたセンターか?」
「ああ、野田も見たことはあるだろ? 早坂淳也。高校の時のチームメイトで、祈の兄貴でもある」
祈というと、神楽坂の大人しそうなセンターの子か。見るからに荒くれ者みたいなお兄ちゃんとは似ても似つかねえな。てか杉崎の奴、ここでも主人公力をいかんなく発揮してくるなあ。この設定どこかで見た気がするぞ。
「お前、浦高の6番だったろ? 嫌らしいプレイが多かったのを覚えてるぜ」
「そりゃどうも。てか相変わらずアンタはでかいなあ。身長いくらあるんだよ?」
俺の質問に早坂は不敵な笑みを浮かべる。
「今年の春に190の大台に乗ったよ。ま、この一年であと5cmくらいは伸びるだろ」
「化け物め……」
身長高いの羨ましいなあ。俺も176cmあるから小さくはないけど、センターするんだったら中途半端な身長なんだよなあ。
「灯と智代も今日はご苦労様。怪我だけはしないようにね」
杉崎は智代と灯に顔を向けると、にっこり微笑んで言う。すると照れたように智代が顔をそむける。
「は、はい。ありがとうございます」
「なに智代、あなた杉崎さんに照れてるの? 確かに、うちの兄さんより数倍イケメンだけど、微笑まれただけで照れるのはやめなさい。処女だとバレるわよ」
「灯ぃぃいい!! お前はなぜいつもそうやって余計な事を言うんですか!」
「ていうか、さらっと俺貶すのやめてくれない?」
事実だから何も言い返せないのがタチ悪い。
あはは……と杉崎は苦笑すると、話を変えてきた。
「ところで野田の連れはまだ来てないのか? 沙織と遥香は、もうすぐそこまで来ているらしいんだけど」
「え、今日遥香達も来るの?」
杉崎の言葉を聞いた灯が目を輝かせる。
「ああ、あの二人ならなんとかついてこられると思ったし……あ、噂をすればきたきた」
「すみませーん、遅くなって!」
小走りで来たのは、練習終わりに直接来たらしいジャージ姿の遥香と沙織。ちなみに遥香は皆言うまでもなく分かるだろうが、沙織は神楽坂のPGをしていたスラッシャーの女の子だ。
「フフフ、遥香。久しぶりね」
「灯ちゃん! 二人も今日来てたんだ!」
「二人とも、部活終わりでそのまま来たのですか?」
「うん。そっちも同じみたいだね」
JC達は思わぬ再会に喜び合う。すると遠くからどたどた走ってくる足音。太陽に照らされて鈍く光る茶髪がうっとおしい。
「悪ぃ、寝坊した!」
「お前はキャラぶれないなあ、東」
遅れてきたのは最後の一人、東修平だ。
「お、お前も見たことある顔だなあ。馬鹿みてえに試合中ずっと走り回ってたうるせえ奴か」
「あん? んだてめえ見たことある面だな? どちら様でしょうか?」
「相手がデカいって分かった途端敬語になるのな」
メンバーも揃ったところで練習が始まった。
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