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みなさん、お元気ですか?
久しぶりの投稿です。
久しぶりすぎる。。。
翌朝。
まだ明け方である早朝に、俺は起きた。
まだ王妃付き侍女達が母を起こしにくる気配はない。
彼女らが俺を見たら騒ぐのは間違いないので、早めに隠れるか退散するしかないだろう。
けど、その前に。
ベッドで眠る母を見る。
スースーと寝息をたてて寝ている母に思わず呆れる。
流石に精霊のおかげで俺がユディだと信じている母だけど、それにしても警戒心が足りない。
魔族のユディであった頃の精霊達が俺の周りにいるからといって、たまたまの可能性だってあるのだ。
流石に精霊に好かれる悪者はいないので、その辺りは信頼されるだろうが。
全く、と俺は苦笑いを零す。
やっと会えた家族。
もう一度会いたいと願った家族を目にして、俺は気を緩めたら泣きそうだった。
それを必死に抑え、俺は母の額へと手を伸ばす。
そうして使う力は活性化。
魔法のような、魔力を動かすだけのような、まあ俺オリジナルの使い方だ。
魔力を使うし、魔法と言ってもいいのだけれど。
名前を付けるなら、やはり活性化魔法だろうか。
俺は魔力を手に集め、母の額からじわじわとエネルギーを動かす。
これをすることによって人のもともとの治癒力を強くする。
ただ、エネルギー循環をさせるとエネルギーを摂取しようとお腹が空くし、眠くもなるが。
母さんにはたっぷりの栄養と休息が大事だ。
それを数分すると、俺は額から手を離した。
その拍子に母の目がゆっくりと開く。
どうやら起こしてしまったようだ。
「おはよう、母さん」
微睡むように目を開け閉めしていた母は、俺の挨拶にこちらへ目を向け、そして目を瞠った。
あ、まずいかも。
またしても自分が人間である容姿を忘れていた。
朝目が覚めて、目の前に人間がいたら驚くだろう。
「ユディ」
だけど、母は俺の名を呼んだ。
「ユディ、ユディ。ユディ」
起き上がり、俺に手を伸ばす母。
一歩ベッドに近付けば、母はそのまま俺を抱き締めた。
「ああ、ユディ。やっぱり夢じゃないのね。人間だけど、貴方は私のユディなのね。ユディ、ごめんなさい。私のせいでごめんなさい。ユディ、許して。ごめんなさい」
ボロボロと泣き始めた母に俺はやはり、と母の背中に手を回した。
そのままトントンと背を優しく叩く。
「母さん。俺がずっと気にかけていたのは、母さんが自分を責めていやしないかってことだったよ。俺は俺の判断を誤ってあの時死んだんだ。母さんのせいなわけがあるか。俺の方こそごめん。辛かったでしょう?俺の力じゃ一、二年しか持たなかったみたいだし、身体的にも精神的にも母さんが無理をしてるんじゃないかって俺は心配でならなかったよ。案の定、病人みたいな顔してるしさ」
うっうっ、と泣く母を宥めるように背中を撫でる。
ぎゅっと母が俺を抱く力を強めた。
「母さん、勝手に死んでごめんね」
その言葉で母が大声で泣き始めた。
侍女達に自分がここにいることがバレてしまうとまずいなぁと思いつつ、俺は母のしたいようにした。
俺にすがり付いて泣く母を、このまま思う存分泣かせるか、けど体力的にも辛いだろうし、あまり無理をさせてるのも、と俺はぎゅうぎゅう抱き締めてくる母の背を撫でながら考える。
母の泣き声を聞きつけたのだろう。
結論が出る間もなく、侍女が飛び込んできた。
「どうされました!?きゃああああ!!!」
甲高い叫び声が部屋に響いた。
「王妃様!!に、人間の子どもが何故ここに!?」
混乱する侍女を押しのけて、兵士が入ってきた。
「王妃様、ご無事ですか!?人間の餓鬼め!王妃様から離れろ!」
剣をこちらへ構え、兵士は俺に抱き着く母を気にしつつ、憎悪の瞳でこちらを睨みつけてくる。
ベッドの上で俺を抱き締める母と、母の背を撫でている俺。
侍女が壁に寄りかかり、兵士が三、四人程剣を構えてベッドを囲んだ。
ママン、めっちゃ号泣。