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剣聖輪転  作者: 遊喜菜園
8/22

第1宿場町 オスカールの書

オスカール大公爵様ストーリーさ。

「今年も免税でいいと大公は仰せですので。」


ブリデッシュ大公爵領、執務全般を任されているアルルがブリデッシュ領で通称、元老院と言われてる各村長、役員との会議で発表した。

領地開拓開始が始まってここ数年、領民は免税で生活している。

また今年も免税でいいと領主が言っている。

アルルは元伯爵令嬢であったが、オスカールの父の暗殺を企てた罪でお家断絶、奴隷となった、2つ年上の銀色の髪の女性である。

オスカールが怨むべき一族のはずが、すぐにオスカールに保護され、今では、オスカールの補佐として活躍している才女であった。


「こんなによくしてもらっては何か悪い気しかしないのですよ?せめて領民1人銀貨1枚ぐらい収めさせていただいても・・・・・・」


ある役員が発言した、が、アルルは睨みつけ一喝した。


「大公が決めた事に異議があるとは、反逆罪に問いますよ?」


「アルルが言うのだから、それでいいでしょう?村長、役員は村に帰って、収穫や発展に尽力しなさい」


「リンナ様が仰せなら・・・・」


リンナと言われた女性はオスカールの初めての奴隷、つまり筆頭奴隷であった。各村長も、いや領民全員が奴隷であった。人だけは。

オスカール・ルナス=ブリデッシュの領地は皇国から沖合にある火山諸島で元は魔族、亜人種の集合地帯であった。

魔族や亜人種が多くいる地域なので、平民が好んで住む事はなかった。

オスカールは国内中から奴隷を集め、領内の発展に努めていた。

大公爵だが領地は辺境にあった。

正確に言えばオスカールの父が皇帝に対し、謀反を企てたのが原因である。

謀反を企てて、格爵位持ちに送っていた書状をすべて鬼一法眼の能力、陰陽道式神を使い回収し、オーヴェリオンに報告した。

そのおかげで謀反は未然に塞がれた。

だが、さすがに大公を裁くとなるとそう簡単ではなかったが、オスカールの案で、オスカールの父とその共犯者、アルルの父が、大公を暗殺したとして処す事で世間を納得させたのである。

また、大公より書状を受け取った者も同等に裁かれた。

オーヴェリオンはオスカールが父親を売った事が不安であったが、世間が混乱なく収まった事を手柄とみとめ、のぞみの褒美を与えることとした。


「では叔父上、元あった領地を返還し、皇国の防衛の一環として、沖合いにあるあの火山諸島をください。」


「あの島々をか?」


約1000年前に誕生したであろう火山諸島、そこは魔族の巣窟でしかなかった。

領地としての価値はほとんど皆無だが、そこを手柄とはいえ謀反者の子に領地として与えるのはどうかと、


「本音は島送りでいいのでは?建前は未開領地開拓の任に付かせるで」


オスカールは頭が良すぎるのが痛いところだ。

皇后ユリエラに相談した。


「オスカールは謀反を未然に防いだ忠義の者ですよ?さらにあの土地も処理できるのです。いいのでは?」


「では先見的に問題ないのだな?」


「問題は未然で済んだのですよ?」


「あいわかった!!・・・・・」


そして、その土地をオスカールに与えたのである。

さて、この魔族の地をどうするか?

すでに魔族とオスカールの間で取り決められていた。

度重なるギルド様ご一行による経験稼ぎの場所であったため、無益な殺生が続いていたのだ。


「オスカール殿が安住を約束してくれるなら我らは従おう。」


魔族の長、エンシェントドラゴン第2王アルトゥーラとオスカールとの盟約がなされ、ついにオスカールは魔族安住の地を手に入れてあげたのだ。

オスカールがこの火山諸島が欲しい理由はもう1つあった。

ここにはレアメタル鉱山が大量に存在したのであった。


********************


「では魔族側からの要望は?」


リンナは慣れた感じで魔族の代表にきいた。


「もう少し、食料等の値段を下げていただきたい。」


「それはだめだ!!正当な値段で取引してるはずだ!!」


「肉1キロで魔結晶12個がか!!不当だ!貴様達は銀貨1枚ではないか!!」


「・・・・・それはさすがに不当です。皇国ですら魔結晶1つ金貨10枚ですよ?なぜです?」


アルルが眼鏡をかけ、皇国での現在のレートを見て答えた。


「いや・・・・・それは、・・・あの・・・・・」


役員達全員が個々にアルルとリンナから眼をそらす。


「ここに差別があるならしかるべき処置に意向します!!公に報告以前の問題です!!」


「いや!・・・・違うんだ・・・その肉牛達に疫病があって予定の生産に追いついていないんだ。現に今肉を食べれるのはアルル様とリンナ様、館の人間だけだ!!」


「まあ!!」


リンナは館の食料調達書類を見た。

たしかに牛肉は毎月納品量は収められていた。


「(これアルル)」


リンナは館の調達書をアルルに見せた。


「(はい・・・・でもリンナ様、疫病の報告はありませんでしたが?)」


「(そうなのよ)」


「で、疫病の被害はどれだけ出ているのですか?」


アルルは役員に訪ねた。


「まだ出ていません。様態の悪い肉牛も排除しています。人や魔族に被害が感染したらそれこそ大公に顔向け出来ません。」


アルルは大公の為と言われたらそれ以上問い詰められなかった。


「(これも大公を思っての行為では?人側に責任があるとは思いませんが?)」


リンナもアルルの複雑な気持ちを思ってか、アルルに助言した。


「(では館側で解決しますか。)」


「(そうですね。)」


「・・・では魔結晶の返金は館側が行い、次の輸入品には肉を用意します。それを皇国と同じレートで売ります。疫病の原因の解明と治療を人側はお願いします。」


「では、食料事情もお任せしてよろしいので?」


「致し方ないでしょう。まだ開拓もままならないのですから。」


そうは言ったものの、オスカール領の者は皇国では無碍にあしらわれる。何せ大公以外は奴隷であったからだ。

領地と皇国との往来は最新型巨大高速ジーベックが5隻、毎日運行している。大商人が欲しがる程の船で輸送して、希少素材を大量に運搬しても、安く叩かれていた。

また皇国とで法外な取引が成されるはずである、と、アルルとリンナの頭を痛める所であった。


「またご主人様の大赤字です。」


会議も終わり、ため息まじりにアルルがリンナにボヤく。

リンナは自分がオスカールに買われた時の事を思い出していた。

大公暗殺の話題は皇国の奴隷達にまで伝わっていた。

性奴隷として、散々慰み者になり、今回4度目の転売であった自分にはむしろ関係ない事であった。

また、誰かの主人の子を孕みまた売られる自分には。


「こちらはむしろ、貴方様にはふさわしくない奴隷ではないかと。歳も相当離れてますが?」


「・・・いや!この方を貰おう!この方を余に譲れ!!」


「!いやいや!大公爵様!?こんな歳を召した奴隷などをお売りしたら我が商館の面目がたちませんぞ!!」


「だから貴様の所がアルル殿をすぐに落札して余に売るのだ!!この方を余に譲らぬならありもせん不当取引をでっち上げて潰すぞ?アルル殿の情報もなかった事にする。余にはその力あるのを忘れるな?」


「いや、では先程の14の娘でも良いのでは?」


「・・・ではこの方を余に譲るなら白金貨1枚やろう。アルル殿落札には予算もいるだろう。なんなら白金貨5枚、さらに用意してやろう。どうだ?」


自分の前で聞いたこともない法外な金貨が自分の為に飛び交っていた。


「・・・ではアルル殿落札の折りには、こちらの言い値で購入されると言う事でよろしいので?」


「そうだ!で?この方の名前は?」


「・・・リンナ、新しいご主人様のオスカール・ルナス=ブリディッシュ大公爵様だ!!そそうの無いように。」


オスカールの馬車の中でオスカールの膝枕をしている時、リンナは我に返った。


「ねえ、リンナ?欲しい物あったら言って?一緒に買いに行こう。余はリンナを妻として迎えるんだ。だからリンナは余になんでもおねだりしていいんだよ?」


「は?え?大公爵様?」


「あれ。余はリンナに嫌われてる?・・・そうだよね?出逢いがこんなんじゃ、余の第1婦人なんだけどね。」


「え?あの?私をお買い上げなさった方です?よね?」


「そう。余が一方的に一目惚れして、無理矢理余の第1婦人になっちゃうリンナ・オスカール=ブリディッシュだよ。」


何故かオスカールの話で泣き出したリンナ。


「え?ごめん!先見の能力なんだ!余の。変な子とか思わないで!?」


白金貨6枚という法外な取引と始めての優しい言葉。


「・・・では始めに買っていただきたいのは涙を拭くハンカチを。」


********************


「・・・私、白金貨6枚でご主人様に買われて、第1婦人になるんですって。」


アルルに始めて買われた時の自分の金額を言った。


「やはりリンナ様が第1婦人ですのね?私は第2婦人らしいです。フフ。白金貨2枚でしたが。」


アルルはリンナに自分の金額と第2婦人である事を告げた。


「あら?じゃあアライナとラナンは3、4婦人なのかしら?」


リンナの話にアルルは若干切れ気味に答える


「SSSRに付きっきりでお情け頂いてますのよ、あの2人?先に孕ませられたら私達の立場がございませんわ?」


「まあ、妬き餅ですわね?」


「当たり前です!!」


とアルルは捻くれて見せた。


「そうだわ?ついでに迎えに行きませんか?たしか夏休みですわ。」


リンナは前にオスカールから送られた手紙を思い出した。

夏休みには領地に帰り休養すると。


「では今夜の便で皇国へ向かいましょうリンナ様!」


「ですわね?」








美輪明宏様ではない。

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