学校
ガダから半日馬で移動すると目を疑う光景が広がっていた。
ジュナスの護衛の部隊がキャンプを張っていた。いや、正確に言おう。
軍勢と。
その数約3万人、さすがにこの軍勢ならこの辺りで待機しなければならないだろう。
「そりゃそうでしょうね。一国家の殿下が来るとなればこれくらいの規模に・・・なるわけ!?」
リタ姉、ナイスな一人ボケツッコミだ。
「レイン、お姉ちゃんは心配です。こんな盆暮殿下と共に学校に行くだなんて。」
ミラ姉、ジュナスは今にも泣きそうな顔に変わりましたよ?最近ミラ姉が毒舌です。
「・・・朕の護衛隊である。今、護衛隊長を呼んでくるでな。ハァ!」
勇ましくジュナスは駆けていった。
「私達も行きましょうか?」
「ハイ。」
っと、やはり一筋縄では行きませんでした。
殺気立った騎馬軍が向かってきました。
ジュナスは保護されたのでしょうか?その数約100騎。
「貴様か!殿下を誘拐した狼藉者は!」
いきなり抜刀し、指揮官らしい騎士が詰め寄って来た。
僕はジュナスとはやはり友達にはなれません。
あまりにも無礼なのでお灸を据えてやる事にいたしました。
馬が突然暴れ出し全員落馬しました。
気当てです。
指揮官も落馬したので、僕も抜刀して近づき、馬上から兜を剣先で持ち上げてやりますた。
おじいちゃんなら無礼打ちで首を跳ねていたでしょう。
金髪のリタよりも耳が尖った女性が青い顔をして震えていた。
レインはエルフであると分かった。
「さて、どうします?一戦交えますか?三対三万とか、後の世に語り継がれますね。リフテン家の者ここにありって。」
「レイン、一万人斬ったら死んでいいとか言わないでね?生きてるかもしれないから。」
リタとミリエラは殺る気満々であった。
「格下だらけなんで、指揮官首だけ切りましょう。そうすればあとの雑兵は逃げるでしょう。そしてジュナスだけ残して皇国に帰らせましょう。生き証人として。」
「了解!」
その後この一帯が血の海となり、永遠に語り継がれる事となるのだった。
「くひっ、くひひひひ。」
「のう?リタよ?レインは何幸せそうな顔して寝ているのかの?朕にはわからんのだが?」
「エロエロな夢でも見てるのでしょう。キモいキモいキモい。でも離れませんから。」
両断したマンティコワに近づき過ぎ、その血から催眠効果のある毒素を嗅いだようだ、リタとジュナスが介抱に残り、ミリエラは警護部隊を呼びに行った。
「起きぬかレイン!未熟物め!」
はい!おじいちゃん!すいません!!
レインは飛び起きた瞬間、レインの顔を除いていたジュナスのおでこにぶつかった。
「イテテ、れっ、レイン無事か?」
「ジュナス様?あいっ、イテテ。」
「汝のおかげだ!礼を言うぞ、朕は助かった。ありがとう!」
この場合なんと言うのだろうか?詰めが甘い?とりあえず不覚!
ジュナスの警護部隊をミリエラが連れてきた。
「マンティコワは殺してからも厄介な奴がたまにいます。ですが驚きました。一刀両断とは!!」
警護部隊はマンティコワの死体を片付けながらレインの剣技に感心していた。
「キャンプは間も無くです。一応大事無いとは思いますが魔術師に見て貰いましょう。」
100騎に守られて、キャンプに送って貰った。
夢とは裏腹に50騎以上キャンプには居た。
総勢約200の警護部隊で形成された、起動部隊であった。
「ささ、こちらで観て貰いましょう。しばらくお待ち下さい。」
「はぁ。」
「朕も共におるぞ!何せレインは我が命の恩人だからな!」
「やっと見つかってみたら魔獣に襲われていたとは、何を考えている!!貴様等、ジュナスに何かあったら首だけでは済まぬからな!」
外から女性の声が響き、部屋に入ってきた。
「おお、ジュナス!無事でしたか。母は心配しました!」
「母上!」
レイン達は母上と呼ばれた女性を見た。ある女性の顔が浮かんだ。
「マイラ姉様!?」
現皇后、ユリエラ・キフス=アーデランはマイラの母の双子の妹である。
そして魔術師でもあった。
「あのゲオルグに隠し子が居たとは、妾も驚愕しておった。で?誰もゲオルグには似てないが、全員母似なのか?」
ここは話をゲオルグに合わせなければと、レインが口を開いた。
「父に似てないかもしれません。なにせ、つい先日ゲオルグ様に会いましたので。いえ、父上ですね。」
「母上、レインは魔獣を一太刀で左右に分ける程の腕前!朕も父上同様に、レインを盟友としたく思います!」
「魔獣を一太刀で!?」
余計な事言うなよジュナス?弄りますぞ?
「レインよ、近う寄れ。」
「はっ、皇后陛下。」
覚悟しよう。僕も男だ。
皇后はレインのアタマに手をあてがい、何かを感じていた。
すると皇后の瞳から大粒の涙が一粒落ちた。
「・・・歯車は回り、そして、噛み合う。」
「えっ?皇后陛下?」
皇后ユリエラ・キフス=アーデランは涙を拭き取り万遍の笑みでレインに行った。
「汝、レインよ、妾の大事なジュナスをありがとう・・・」
その言葉はマンティコワから助けた事に対して言ったのか?
はたまた、まだ見ぬ未来に対して言ったのか。
深く思いの詰まった言葉であった。
とレインの両肩を持ち、顔をしっかりと見た。
「皇后陛下?」
「ジュナスの事を頼みましたよ?」
「おお!母上直々に朕の盟友となる事を許されたのじゃな?よろしくたのむぞ!レインよ」
お前後で表でろ。
皇国には3日で着くらしい。
前衛騎馬と本体、そして後衛騎馬隊での移動である。
レイン一行は本体皇后馬車の側にあった。
この部隊は皇帝直轄警護部隊で皇国最強である。
とはジュナスの自慢話である。
ジュナスはレインに皇室の1日や、侍女の数、臣下や階級をレインに自慢気に話していた。
その姿を馬車から見ている皇后も嬉しいのだろう。
息子が楽しげに話す姿を慈しむ目で見ていた。
そんな移動劇をひっくり返す気が近づいて来たのが3人には分かった。
「ミラ姉、馬車とジュナスを林に!リタ姉!前衛を呼んで来て!」
「了解!!」
3人の顔付きが変わったのを見てジュナスはレインに近づいた。
ふたたびレインは聖剣ファルコンを抜き、ジュナスに渡した。
「頼むファルコン!ジュナスを守れ!!」
「任テイタダキタイ。タダ、ドラゴンデアルゾ?」
「ジュナス、ミラ姉と皇后を御守り下さい。」
「分かったぞ、ちっ、朕に任せるのだ!」
波斬りを抜刀し、ファルコンの言葉、ドラゴンに備えた。
おじいちゃんの世界にはドラゴンはいたのかな?
「警護隊、弓用意!」
警護隊50人は直ちに弓を装備した。
「上空左!」
矢先を方向に向ける
「放て!」
レインに言われた方向を射た。
すると巨大な影が現れたと同時に矢が吸い込まれ咆哮と共に墜落した。
やはりドラゴンであった。
約警護隊50本の矢がドラゴンにささったはずである。
ドラゴンに致命傷になったか分からない、が、抜刀状態で騎馬から降り、前衛姿勢でドラゴンに突撃した。
するとドラゴンは首を持ち上げ、ブレスを吹いた。
ブレスと地面の隙間から頭部下に潜り込み下顎から貫いた。
波斬りを引き抜き左腕を切り落とし、心臓を貫いた。
勝負は一瞬であった。
ドラゴンは討伐された。
たった一人の少年に。
「波斬りが太刀打ち出来なければ、僕もダメだったでしょう。まだ滑てないですよね?」
波斬りを見た。
ドラゴンの体液によりはが錆び出した。
「ありがとう、波斬り。」
そう言うと波斬りは一瞬で錆び付き風化し、消えた。
皇后馬車も無事
ドラゴンのブレスによる被害なし
損害カットラス波斬り
前衛部隊を呼んできたリタがレインに駈けよつた。
「ご無事でなによりです師匠。しかし、師匠の馬が逃げてしまいました。」
「サバイのカットラスを失いました。」
「あのカットラスも本望でしょう。最後にドラゴンキラーになれたのですから。」
この世界の武器はもともと竜などを倒すようにできていない。
そのため、ドラゴンを討伐できた武器はドラゴンキラーと称えられ、剣の名誉ともされていた。
「・・・竜殺しレイン・リフテンだ・・・。」
警護部隊の人間は目の前で一瞬で絶命したドラゴンとそれを成し遂げたレインに敬意を表し、また畏れを感じた。
「はい、みなさん。皇后陛下一行が殿下を含めドラゴンに襲われました。って国に帰って報告するのですか?」
リタが警護の人間に言った。
たしかに。
皇后と殿下をドラゴンに襲われたとなると一大事である。
しかもドラゴンを瞬殺する人間など逆に手に余る。
「しかし、ドラゴンは討伐され・・・」
馬車から皇后が降り、咎めた。
「ドラゴンなど皆さん見てませんよね?これは皇后命令です。ドラゴンを一瞬に葬る者もいませんでした。無事、妾は皇国に到着しました。なにもありませんでした。よろしいですね?」
「はっ!!皇后陛下の名の下に!!」
一人納得しない殿下を除いて・・・
「朕は認めませんぞ!!母上?レインは朕と母上や警護の命も救ったのですぞ?なのに無かったこととは矛盾すぎますぞ!!」
「ジュナスや、ここには大人の事情があるのです。」
「殿下?べつに僕はドラゴンを討伐していませんよ?あれは空飛ぶオオトカゲです。」
「ぬぬぬ、レインもじゃ!!汝は2度も朕の命を救ったのだぞ?」
「2度以上、・・・あなたが皇帝で居続けれるのもレインのおかげですがね?」
「母上?なんのことで?」
「ほほほほほ。さぁ?」
皇后は会話をお茶で濁して終わらせた。
皇国、スレイマン・サラに着いたのは4日目の朝であった。
巨大な城壁に囲まれた港を有した貿易型都市である。世界中の物と人が集まっている。
とジュナスがドヤ顔で話てくれた。
「レイン?あれは何かしら?あっ!あれも?」
とお登りさんなミリエラ。
「昨夜、起こった事をありのまま話します。レイン様の寝所に人影が有りましたので松明で照らすと、なんと!半裸のリタ様が!」
と警護の人に言われて、耳まで真っ赤なリタの姿があった。
宮殿に着くと馬車ごと中に入った。
中には大理石を敷いてある広間があり、警護隊が全員入れた。
警護隊員は全員騎馬から降り、馬車から皇后が降り全員が敬礼した。
レイン達は空気を読むのが遅れたが馬から降り、敬礼した。
広間のテラスには黒い髭を生やした黒髪の紳士が立っていた。
「父上!只今戻りました。」
嬉しそうにジュナスが駆け寄った。
「べっ、別に其方らの事が心配でテラスまで来たわけではないのだからな?」
「わかっておりますわ。陛下」
ジュナスを抱き上げ、その陛下と呼ばれたツンデレは叫んだ。
「朕が、皇帝、オーヴェリオン・ルナス=アーデランである!レイン・リフテン、ミリエラ・リフテン、リタ・リフテンよ、長旅ご苦労であった。」
「なんだと?ドラゴンに襲われただと!?」
皇后陛下、大人の事情は?
「その内陛下のお耳には入るはずなので、今の内に話しておいた方がいいでしょう。」
皇后の命令で人払いされた謁見の間で旅で起こった出来事を皇后は一部始終話した。
「・・・なるほど、で、汝の剣は亡くなったのじゃな?」
「父上!レインは朕と母上の命の恩人です。しかも、父上の盟友、ゲオルグ殿の子と言うではないですか?朕の盟友にも相応しくありませんか?」
「汝の意見はどうか?」
皇后ユリエラは答えた。
「歯車は回り、そして噛み合う。二つの歯車は噛み合い回る、永久に・・・。ジュナス、レインと仲良くするのですよ?」
「ハイ。母上」
皇帝オーヴェリオンは深くうなずきレインに言った。
「よろしくたのむぞ?レインよ。」
「つまり、私とミリエラが同じ年ぐらいだから、授業時は殿下の護衛も兼ねてご学友と?プライベートはレイン様にべったり付くのですね?あのホモ殿下。まじキモい・・・」
「レイン、お尻はジュナス様に捧げちゃうんだ。変態さん・・・」
明日から学校に行くこととなり、馬車で学校に連れていかれた。
学校は全寮制で部屋はジュナスと一緒と皇帝の手回しでそうなってしまった。
殿下は12才、レインは7才である。
「リタ姉、ミラ姉、暴走しすぎです。」
馬車が止まり、学校の門が開いた。
貴族による、貴族のための学校、スレイマン・サラ・サン=ロイヤル学校(S・S・S・R)とはジュナスの言葉であった。
「今にも首が絞まる思いですよ。姉様方、どうかあまり、目立たないように、控え目に卒業までがんばりましょう。」
「了解しました。」
馬車が止まり、従者がドアを開けた。
殿下の馬車のドアの前に行き、殿下が降りてくるのを待つ。
するとジュナスの姿が見えたのでリタ、ミリエラ両名はジュナスの手をとり床まで誘導した。
「大事ないな。レイン」
「ハッ。あっしまった.」
「如何したレイン!?」
そりゃそうだ。
ついさっきリタとミリエラに目立たぬよう、控え目、などと指示した矢先、みごとに目立ってしまってる3人である。
3人は殿下の従者兼務なのだから。
周りの学生たちはみな貴族である。
騎士の子も貴族と判断すれば約500以上の生徒が居るのである。
まして殿下という客寄せパンダもいるのだから?
「殿下の隣の娘?かわいくね?」
「あの小さき少年は?どこの領家の方かしら?」
「リフテン侯爵家らしいぞ?」
「ではあれが噂の・・・・・」
リフテンの丁稚上げ隠し子の事を言っているのだろう。とりあえずリタに差別の目がかからなければそれでいい。
「ドラゴンキラーだ!!」
大人の事情とはどこえやら。
レインのドラゴン討伐がもはや学校にまで伝わっていた。
風邪気味で書いてるのでめちゃくちゃです