表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣聖輪転  作者: 遊喜菜園
3/22

殿下

「今日からのお師匠は違う人です。あなたは誰ですか?昨日消えないでくださいね?って言いましたよね?」


朝いつもリタって呼び捨てする人がリタ姉って一瞬ドキッとしてしまった。

なんなの?この私のハートの捕まえ方が完璧な人は?もう一生離れたくないんですけど!!


「すいません。わかりますよね?」


この際今までの事を正直に話し、みなさんに許しを請うことがいいと思った。


レインは今までの経緯を全部話した。


「じゃあ昨日までの師匠はその83歳の御仁であったと?あれ?あれ?あれ?」


マイラは突然右往左往しだした。


「レイン君戻ってきたんだ。おかえりなさい!!」


ミリエラは喜んだ。


「で?今後の修行とかどうするんです?終わりですか?」


若干複雑なハーフエルフの少女リタは今後どうしようか悩んだ。

でも離れませんから。


「あっ、その辺は大丈夫です、僕皆さんより強いんで。」


さらっと言った一言にマイラが反応した。


「強いですって?」


といった瞬間マイラはまた再び膝を付き恐怖した。


「はい、強いです。」


レインはマイラに気当てを行ったのである。


「・・・すいません・・・師匠・・・許してください・・・」


「はい。許します。」


気当てを説いてすぐに



「ひぅ!!え?師匠?」



「やはり、出来ました。」


マイラは身体からレインの殺気が一瞬で抜けていったのが分かった。


「ついでにマイラ様が僕に対する殺気も抜いたので、どうですか?楽ではありませんか?」


「こっ、この技も奥義で?」


気抜キヌき・・・とでもつけましょうか?相手の殺気を抜いて戦う気を削ぐ、言わば平和的解決法ですね?おじいちゃんが出来なかった技でしょう。まぁ必要無かったのかも?そう殺気だたないでくださいね?」


「・・・肝に命じます。・・・」


気当て、気抜きをくらってしばらく立てないでいるマイラをミリエラが介抱した。

冷や汗を拭いてくれてるミリエラに対し、小声で言った。


「・・・以前より・・・恐ろしいです。」


「え?」


「・・・もう大丈夫です。ありがとう。」


立ち上がり剣を持ち再び型の練に入った。


ゲオルク・リフテンが中庭にまたソワソワしながら現れた。


「レインどの?マイラを借りてもよろしいかな?」


「父上?」


「あっ、ハイ。リフテン侯、おはようございます。」


「?はい。おはようございます?」


レインは剣を鞘におさめ


「では、早朝練習を終わりましょう。」


「はい。」


3人も剣を納め、レインに一礼し、各自の部屋に帰った。

レインもまた部屋へと帰った。


残されたゲオルクは違和感を覚えた。


「リフテン侯?ゲオルグ殿?はて?」




ゲオルグの書斎のドアがノックされた。


「父上、マイラ入ります。」


ゲオルグの書斎に入ると彫り細工が施されたガラス製の書状入れを両手で天にかざし、涙して膝を付いている父の姿があった。


「マイラ、陛下直筆の許可証じゃ!読んでみるがよい。」


「はい。やっとですね?」


書状入れを開け、読んでみた。


ー 絶大なる臣下、ゲオルグ・リフテンへ。

春、種蒔の時期としては多忙なる貴殿に際して書状を遅れた事、深く侘びる。


と堅苦しい話は、朕と汝の仲である、やめじゃ。元気だったか、リフテン?


「?ちちうえ?」


マイラが少し不安げにゲオルグを見たが、涙ながらにただ頷く父がいた。


ー まさか貴様が領内の村に妾を囲い、マイラ以外の子がおったとは朕も驚く所じゃ。

汝の使者も朕宛の内状までは知らなかったようであるな?今も朕は汝と若かりし頃を思い出し、思い耽る。


「?パパうえ?この・・・」


「お、お、お、オーヴェリオン!私もですぞ!!」


現皇帝、オーヴェリオン・ルナス=アーデランのファーストネームを叫ぶ。


ー 聞けばその子らの母も先の盗賊に討たれたとか?朕は汝の心情痛みいっている。


「なんと言う嘘を!!」


「まっ、まぁ、先を読むのだ?」


ー さらに男子はその仇を討ったそうではないか?見事じゃ!さすが朕の盟友の子である。


「・・・私、もう、知りませんから。」


ー しかもエルフとの間にも子を作ったとは。全く、亡き汝の妻も今頃泣いておるぞ?


「・・・今日の朝食は何かしら?ウフフ!蝶々が見えましてよ。」


「どうじゃ?見事な策じゃろう?」



「・・・死ねばいいのに・・・」





「と、言う事で本日、今からレイン殿とミリエラ殿とリタ殿は余の子供となった。」


朝食の最中、突然のゲオルグ発言にリタとミリエラは吹き出した。

今日は桃のフルーツティーであった。

部屋に匂いが充満した。


「こら!行儀が悪いぞ?二人とも!」


急に父親になるゲオルグである。


「こ、こ、こ、侯爵さま?かなりの無茶振りですよ?しかも皇帝陛下まで嘘言で!?」


リタ姉は凄い形相でゲオルグを見た。尖った耳は真っ赤であった。


なるほど、本音の感情は耳にまで出ると言う事ですね。


レインは冷静に判断した。


「ゲオルグ様?私、ゲオルグ様の娘になったのですか?」


ミラ姉はまだ理解不能みたいである。


深く考えた。


この世界で生きる為にはやはり子供は大人に守ってもらうのが一番である。

マイラに教えてるから食客としてこうやって4人であたり前のように侯爵と食事を共に出来ているのである。

マイラ以外は庶民なのだから。


「・・・申し訳ありません!師匠、我が父親の勝手な行動、お怒りはごもっともです!しかし、当家と致しましては・・・」


席を立ち、土下座し、マイラは許しを請いた。


「では、マイラ様ではなく、マイラ姉様と呼ぶほうが普通ですよね?父様?」


「とうさま!?」


「ねえさま!?」


目をキラキラさせながらレインはゲオルグとマイラに言った。


「おっ、おお!れっ、レイン?」


ゲオルグは凄く嬉しそうであった。


「あっあのね?れっ、レイン?」


マイラは頬を赤らめた。


「はい、マイラ姉様?」


「私もマイラ姉と呼んでほしいです。」


の瞬間、焔の剣聖と魔法剣聖が剣聖皇女に気当てを行った。

まあ、まだお互いが変わりないので、大事にはいたらなかった。


「ハイ。マイラ姉。」




「今日からは型の練は控えめにいきます。しいては違う事にも精通していただきます。」


レイン・リフテンとなってしばらく、自警団待機所に3人を並べた。


「まぁ、領内での巡察も兼ねた修業の一環です。」


各人に護衛も付いた。

リフテンの名を持っているからである。

ただ護衛には命令は徹底させてある。

誰かに何かがあった場合、レイン・リフテンに報告に向かう。


「大概の事では、個人でなんとかなります。」


「師匠?」


「ミラ姉、独り言です。」


「はい。」


ガダは面白い形になった造りである。

リフテンの館の前に自警団待機所、そこから中央道、右外壁周り、左外壁周り、と円形に作られている。


外の世界とは4つの大門と4つの交易門、各門から中央の広場に向かい道が連なり、各門から各門の間で商業区、工業区、住宅区、運河も整備されており、帝国内では有数の街であった。


「じゃあ各巡察ルートにそって行動してください。」


リタは右外壁周り、ミリエラは左外壁、マイラは中央と移動した。


「皇国側の門とは何処になりますか?」


「中央から左前です。中央道を使うのが近いかと?途中鍛冶屋地区を抜けます。」


「ではそのルートで行ってみましょう。」


「わかりました。こちらへ。」


護衛と一緒にレインも巡察に入った。


ガダの人々はなかなかどうして、皆の顔が明るく、活気に満ちていた。


「父様の努力の賜物です。」


「はい、我々はゲオルグ様に感謝して暮らしております。いずれはレイン様も。」


「精進します。」


しばらく護衛と雑談して中央広場へと移動した。中央広場では市が建っていた。


「これはまた、賑やかです。」


「この市は各国、各村から免税で市を開かせたと聞きます。いやレイン様の指示とお聞きしました。」


あっち(あの世)でおじいちゃんの弟子さん達に習った手取り早い情報入手方法、楽市である。


あっ、入門税銀貨1枚は取っている。


「ではこちらへ、ここから鍛冶屋地区になります。」


鍛冶屋地区に入った。鉄を叩く音が鳴り響いている。


「特注の剣もここに来れば造ってくれるのでしょうか?」


「特注とはまた。まだ誰も頼んだ事がありませんが可能でしょう。」


そんなこんな話をしながら皇国側の門に近付くと1人の騎士が少女に絡まれていた。



「朕にぶつかっておいて礼の一つも無しとは!無礼であるぞ!!なっ、何をする!朕の剣を勝手に触るでないわ!」


少女はどうも騎士の持つ白い鞘の剣に興味があるようだ。


「あんた!なんで聖剣ファルコンなんて刺してんのさ?それは皇帝陛下しか持って無いはずだよ!!」


「こっ、これは、聖剣ファルコンなどでは無い!真っ赤な偽物じゃ!」


「嘘おっしゃい!!オリハルコンでもミスリルでも無い、龍神鋼じゃないのさ!!」


少女は見ただけで剣の素材を言い当てた。

どうやら伝説金属以上の物で出来ているらしい。


「どうかしましたか騎士殿?馬上から失礼いたします。」


レインが騎士に駆け寄った。

騎士は歳12程で美しき金色の長髪の少年であった。

おじいちゃんなら優男と言うのだろう。


「よき所へ、自警団殿!この娘が朕の剣が皇帝陛下の剣と同じ聖剣ファルコンだと言うのじゃ。」


「だから聖剣ファルコンだって言ってるだろ!」


レインは少女を見た。

ボサボサ黒髪に丸い顔だが目鼻はクッキリとした。

おじいちゃんならよき子供をたくさん産めそうなと言うのだろう。

耳も大きく尖ったドワーフの女性であった。


「騎士殿?偽物なら私に貸せますでしょう?」


「うっ、ウム!偽物なので自警団殿に、ちっ、朕は、かっ、貸せル、ゾ!」

馬上から降り聖剣ファルコンを借りた。

その瞬間頭に声が響いた。


「我ハ聖剣ファルコン、人ノ王二賜ル為造ラレタ。」


やれやれ、本物っぽいです。

でもおじいちゃんが教えてくれました。

所詮人斬り包丁だと。


「無礼ナ!我ハ聖剣ファルコン也!」


鞘から抜いて刃が完璧なまでに付いている事を確かめ、一振りした。

達人でも振ったのが見えないスピードで。

生意気なんでお仕置きです。


「ナッ!ナント!アッアナタ様ハイッタイ!?」


両刃剣、聖剣ファルコン、歴代皇帝の剣で刃毀れなどしないと言われる伝説の剣。


片方の刃が大気摩擦によりきれいに滑た。


「確かに偽物ですね。綺麗に片刃がなめました。」


「なっ!何!?自警団殿?朕の聖剣ファルコンを!!」


騎士の顔が物凄く青くなった。


騎士殿?ファルコンって言っちゃたね。


「なんだい、私の勘違いかい。一振りで滑る剣が聖剣ファルコンなわけ無いか。」


「何事ですかレイン?」


中央道巡察中のマイラが駆け付けた。


「グシュ、マッ、まいらぁ・・・」


騎士はマイラの知り合いのようであった。


「じゅっ、ジュナス殿下!!」


殿下って?皇国のかな?それしか無いな〜。




マイラはジュナス殿下を引き連れて館に戻った。

ドワーフの女性はスミスと名乗った。後に乗せて館に帰る。

護衛にはミラとリタを呼びに行かせた。


「あっ、あんた!領主様の息子だったのかい?あたいに何しようってんだい?」


「先日息子になりました。よろしくお願いします、スミスさん。別に何もしません。勢いで乗せました。」


「・・・ナンパにも手順ってのがあんだよ?全く」


「そうです。ナンパです!助けて下さい。ファルコン研げますか?」


「見てみないと解んないね。」


「だからナンパして館に向かってます。」


「じゃあ、そのナンパにホイホイ着いていってあげようかね?」


「ありがとうございます」


自警団待機所に馬を着け、スミスを下ろす。


「マイラ姉は何処に?」


マイラの護衛の話ではジュナスを引き連れゲオルグに会いに行ったらしい。

護衛の一人がファルコンを持っていた。


「ファルコンを貸してくれ。」


「ダメです。マイラ様からレイン様には渡すなと言付けられてます。」


「こちらの女性なら直せるかもしれないのです。ではスミスさんに見せて下さい。それなら私に貸した事にはならないはずです。」


するとファルコンを持ってる護衛が、



「・・・なにも言われた事を守ってる訳では無いです。こっそり待機所内で見て下さい。」


そう言うとファルコンを渡してくれた。


「ありがとうございます。スミスさん見てもらえますか?」


目をギラギラさせたスミスがファルコンを手に取った。


「約1000年前、偉大なる賢龍クルトが鍛えし聖剣ファルコン、皇室鍛冶ですら触れない剣がついにあたいの手に!!」


「いや、研げるか研げないか聞いてるだけですよ?」


「うるさいなぁ、歓喜してもいいじゃん!ちゃんと見てやるから。」


と鞘から抜き、刃を見た。するとリタよりも凄いジト目で見られた。


「嘘つき、滑て無いじゃんか!」


「えっ滑てるでしょ?貸して下さい!」


「どこが?」


とスミスの手からファルコンを取った。するとまたファルコンが喋り出した。



「我ハ聖剣ファルコン、我ニハ自己修復ガアルガ故二」


生意気なんで今度は左右に二回振ってあげました。


「ス、ス、ス、スイマセン!モウシマセン!」


「ほら?滑てるでしょ?」


「・・・本物のファルコンを滑めるとか凄いんだけど?でも本物なんで治さない。てか治す必要無いじゃんか?ほら?」


とファルコンを見ると滑た刃が修復していった。


「何?何?あたいと少しでも長く居たいからって別に聖剣のせいにしなくてもいいんだよ?」


「別に聖剣のせいにしてませんよ?もういいですよ帰って貰って。送りま!!」


膝をついた!

気当て?

誰だっ?

ゆっくり後を振り返る、殺す気満々のミラ姉、リタ姉、マイラ姉が後に立っていた。不覚!



「キモい、キモい、キモい、キモい、キモい、キモい、キモい、キモい、・・・」


「ちっちゃい女の子とかお姉ちゃん、幻滅しちゃったかも・・・」


「お姉ちゃん、ファルコンに触っちゃダメって言ったよね?言ったよね?」


「・・・その方がレインか?朕はジュナスである。以後心せよ?」


殿下、立ち直り早いですね。


マイラ姉、言ってないよ。


ミラ姉、スミスは鍛冶職人です。


リタ姉、そのご褒美止めて。


「あたいは知らなかったんです!!、レイン様が次期領主様だって!聖剣ファルコンを見せてあげるからついてこいって。そしたら誰もいないこの部屋で・・・・それ以上は言えません、キャ!!」


お前もう帰れよ・・・・


「・・・姉様方、殿下。ファルコンを勝手に滑させてすいませんでした。以後妖刀の類には近づきませんので許してください。」


「ぬ!!妖刀とは無礼な!?聖なる剣、ファルコンなるぞ!!朕も父上も鞘から抜けたことが無い、初代皇帝のみ扱えた・・・・」


「え?」


驚いたのはスミスであった。


「レイン様が最初に抜いて一振りで滑て次に衛兵さんから借りてあたいが抜いて、んでまたレイン様が2振りしてさらに滑ましたけど?」


「しかもソイツ喋るし、生意気だったんです、剣のくせに。」


レインの喋るの一言でジュナスは腰から落ちた


「ファルコンの声を聞いたというのか!!初代皇帝も聞いたことが無い真なる者のみに聞こえるという聖剣の言葉を!?」


「今も僕に謝ってます。1000年待ッテスイマセンって。」


「ぬぬぬ!!さすが父上の盟友の子よ!!朕の盟友となることもゆるそうぞ!!」


「嫌です。」


「・・・朕の盟友ぞ?嫌と申すか?」


「はい。」


「・・・グシュッ、マっ、まいらぁ・・・・」


殿下は再びマイラに泣きついた。


歴代皇帝の中で唯一聖剣ファルコンの声を聞いた良皇ジュナス・マヨール=アーデランとその盟友、剣神レイン・ガイラード=バドッシュの初めての出会いのエピソードであった。




「オーヴェリオン陛下からの直筆の書状である!!心して聞くように!!」


ジュナスを招いての晩餐の際、ゲオルクはジュナスが持ってきた書状を読み出した。


 - 春の種蒔が終わり、娘たちのさえずり・・・めんどい。

すまない。ゲオルク、汝宛ての手紙に堅苦しい言葉は不要じゃな?


此度、汝に頼みがあって書いた。

朕の息子ジュナスが学校に入ることとなった。


しかし、ジュナスには同年代の子らが周りに少なくてな。そこへ汝の隠し子達の話がきたのだ。


どうじゃろうか?汝の子等とジュナスを学校に通わせては?



「フフン、レインよ?朕と共に学校に通うのだ!!朕と通えてうれしかろう?」



「嫌です。父上?学校ですか?」


「グシュ、マいらぁ。」


マイラに泣き付くジュナスを尻目にゲオルグは答えた。


「我が盟友の頼みとあらば致し方なし、レインよ?ご学友として、学校に入るのだ。」


皇帝からの勅命であろう。

まぁ文はアレだけど。

父上の命令だから仕方なし、学校に行こう。


「では僕は、殿下の護衛として学校に通いましょう。飽くまでも護衛です。護衛は友達になりません。」


「よっ、良かろう。朕の護衛をする事を許そうぞ?」


「やはり嫌です。学校には行きますが。」


「まっ、マイらぁ。」


再び殿下は泣き付いた。

殿下をイジるのか楽しくなって来たレインであった。


「レイン、あまりいじめるでない。」


ゲオルグは苦笑いしながらレインをたしなめた。





「マイラ姉、剣だけではなく、他の武器も練習して下さい、さすればその武器の弱点も見えてきますから。」


皇国に旅立ちの日、見送りに来たマイラに対し、修行は欠かさず行う事を徹底させた。


リタとミリエラも学校に行かないとダメであって、殿下と共に皇国に行く事となった。


泣かして泣き付く相手がいないので素直に殿下の話を聞いていた。


皇国までの道は馬で3日程の距離で、回りは藪と林に囲まれた道である。


「朕の護衛を務めるのは、本来は公爵家の人間では無いといけないのだぞ?特別に朕が許可してやっているなだからな?」


「はい、肝に命じて置きます。」


しかし、ガダまで殿下はどうやって来たのだろうか?一人で来ていい物ではない。


「殿下。付かぬ事をお伺い致しますがよろしいですか?」


「なんでも申すがよい!朕と汝の仲であろう?」


「では、お一人でガダまで来られたのでしょうか?」


絡んで泣かれても面倒くさいので素直に受け入れた。


「朕の警護はこの先半日いった所で待たせてあるわ。安心して朕と共にくるがよいぞ?」


「なるほど、ではこの回りにいるのは敵ですね?」




そう言い放つと、ミリエラとリタが抜刀し、藪の中に突撃した。


「気当てを使いましょうか?ミラ姉?」


「ゴブリンです。大丈夫です。」


「師匠、トロールです、気当てを使います!」


リタは三体のトロールに気当てを行った。


と、上空から翼の風切り音とともに咆哮が聞こえた。マンティコワである。


レインはジュナスのファルコンを抜きジュナスに渡した。


「抜けないのでしょ?持っていて下さい。無いよりはマシでしょう。」


レインは波斬りを抜き、低い体制でマンティコワに向かった。


マンティコワは咆哮と共にレインを騎馬もろとも襲った。


レインは馬から飛び出し、マンティコワの下に潜り込んだ、と同時にマンティコワは左右に分かれた。


両断されたのだ。


ジュナスに泣く暇はなかった。

藪から返り血を浴びたリタとミリエラが現れた。


「返り血とは、まだまだですね、姉様方?」


「不覚を取りました精進いたします。」


といってミリエラはジュナスに駆け寄り、馬上から降りジュナスの容態をみた。


一瞬の出来事でジュナスは理解できてないようである。


「定期的に討伐を街道沿いは行なわせます。今後の課題ですね。」


とリタがレインの馬を連れてきた。


「な、な、な、何が起きたのじゃ、レイン?朕は無事なのか?」


ジュナスは混乱している。恐らく魔物の類を見るのは初めてだろう。


「無事です。ご安心を。」


と言い、ジュナスに近づき、ファルコンを手から外さした。



「見事ナリ。」


「ファルコン、ジュナスをお守り下さり、ありがとうございます。」


「我ハ何モ!・・・了解シタ。」


「!汝、今なんと申した!?」


急に目を輝かせてジュナスがレインを見た。


「ありがとうございます?」


「そっ、その前じゃ!」


「・・・嫌です。」



ジュナスは仲間を呼んだ。しかし、マイラは現れなかった。
















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ