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SF・ホラー短編

檻の外に捕らわれた人

作者: 相戯陽大

俺は暗い部屋の中で檻に閉じ込められている。誰が何のために閉じ込めたのかは見当もつかない。いつからここに閉じ込められているのかすらわからないけれど、お腹が減っているので余計な体力を消耗しないように寝続けることにした。


「ピーッ」


突然ブザーのような音が鳴り始め、俺の睡眠を妨害する。同時に部屋の蛍光灯がついた。


「…?」


1分ほどすると音は止まり、蛍光灯は消えた。俺の体力を消耗させようとしているのだろうか。数分すると、またブザーが鳴り始めた。


「ピーッ」


「うるさい…!」


蛍光灯がつく。どうやら俺を寝かせないつもりらしい。俺は指で耳を塞ぎまぶたをぎゅっと閉じてやりすごすことにした。しばらくすると、またブザーは止まり、蛍光灯も消える。


「本当に、なんでこんな目に合わなくちゃいけないんだよ…」


それから数時間はブザーが鳴ることはなかった。俺はようやく静かに眠りにつくことができた。しかし、そう何時間も眠ることはできなかった。


「ピーッ」


「…人が寝るのを邪魔するな!」


俺は感情に身を任せ、檻の柵を思いきり蹴っ飛ばした。するとどういうわけだか天井からコッペパンと水の入ったペットボトルが落ちてきた。俺はそれに毒が入っているんじゃないかと疑わなかったわけではないけれど、本当に空腹のときは背に腹は変えられない。俺はそのコッペパンに貪りついた。


「…うまい。」


何の変哲もないコッペパンと水だったが、今の俺にはどんな料理よりも魅力的に思えた。ブザーは止まり、蛍光灯は消えた。それとほぼ同時にコッペパンを食べ終えた。しかし、まだ足りない。俺はもう一度柵を蹴っ飛ばした。しかし、コッペパンは落ちてこなかった。


「一個だけかよ…半端に食べると余計に腹が減るだろ…」


口ではそう言っても、疲れて、少しとはいえ食事もしたから俺はすごく眠くなった。そのまま俺はまた横になった。


「ピーッ」


「寝かせろよ…!」


俺は思いきり柵を殴った。するとコッペパンとペットボトルが天井から落ちてきた。もしかすると、ブザーが鳴っている間にしか食料は落ちてこないんじゃないだろうか。そう考えた俺はもう一度柵を殴った。予想通りコッペパンとペットボトルが天井から落ちてきた。


「そういうことか!」


そのまま柵を殴り続けようと思ったとき、ブザーは止まって蛍光灯は消えた。試しにもう一度殴ったけれど、食料は落ちてこなかった。それでも食料を手に入れる方法がわかったから大きな前進だ。俺は2つのコッペパンを平らげると、再び横になった。


「ザザザザザザ…」


今度はブザーではなくテレビの砂嵐のような音が聞こえ、蛍光灯ではなく赤い電球がついている。試すに越したことはないから、俺は柵を殴ってみた。


「うぐっ…!」


しかし、柵に電気が流れていたらしく激しい痛みに襲われ、俺はそのまま気絶した。


次に気がついたとき、ブザーがなって蛍光灯がついていた。俺は急いで飛び起きて柵を殴った。電気の一件で少し殴るのに躊躇したけれど、心配は杞憂に終わり、問題なく食料は出てきた。俺はそのまま殴り続け、10回目くらいでブザーが止まり蛍光灯が消えて、食料が落ちて来なくなった。


「大漁大漁〜!」


俺は2個のコッペパンと少しの水を食べ、残りを残しておいた。何か俺に苦痛を与えるために俺を閉じ込めた奴がブザーを鳴らさなくなるかもしれないからだ。


そして数分後、今度は砂嵐が鳴り、赤い電球が光った。俺は馬鹿ではない、柵を殴らずに過ごそうと思った。しかし、俺の考えが甘かった。柵が動き始めて檻が狭くなっていったのだ。


「柵を殴らないと押しつぶされるっていうことか…?」


押しつぶされては仕方ないから、俺は電気ショック覚悟で柵を殴った。すると案の定柵は元の位置に戻り始めた。俺はそのまま倒れこんだ。


檻の中の生活もだいぶ慣れてきた。次に目が覚めると、俺は残しておいたコッペパンのうち2つを食べる。ブザーと蛍光灯が付けば柵を殴って食料を手に入れ、砂嵐と赤い電球が付けば柵を殴って危険を回避した。


「ピーッ」


今日もブザーが鳴った。俺はいつものように柵を殴った。


「あれ…?」


食料が落ちてこなかった。


「おかしいな…」


何回も殴ったが、一個も落ちてこなかった。その後も何回もブザーが鳴り、何回も殴ったけれど、食料は落ちてこない。そんなことをやっているうちに食料が尽きてくる。


「なんでだよ…!」


またある日、蛍光灯がつき、砂嵐が鳴った。俺は混乱のあまり柵を何回も殴った。コッペパンがどんどん落ちてきた。食料ができたのは嬉しいはずなのに、俺は恐怖するばかりだった。


「ザザザザザザ…」


「こんなのおかしいだろ…!!」


その後も食料を口にすることなく柵を殴り続けた。殴り続けて3日間くらいしただろうか、柵は壊れた。どの柵も少し押しただけで歪み、殴ればすぐ壊れてしまうことはすぐにわかった。


この柵をなくして俺はこれからどうすればいいんだろう。ただただそんな不安と恐怖が渦巻き、俺は空腹も忘れ壊れた檻の中で死ぬまでうずくまっていた。

日曜の朝にやってた番組で、重力を自在に操る怪人が出てきたのを思い出しました。怪人は「重力に捕らわれている奴が俺に勝てるはずがない」と言うんですね。でも、最終的にヒーローは重力がある中で壁を駆け上ったり飛び上がったりして怪人を倒すんです。そのときの「重力に捕らわれているのはお前だ!」という台詞が印象的でした。

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