入学試験 ―実技試験―
三話のまえおきで、一日一話投稿を目指してると書きましたが、世界観などの設定があやふやなので少し考えるために時間が欲しいです。そのため更新速度を落としてもいいでしょうか?
並行してやってもいいんですが、ただでさえ薄い内容がさらに薄くなる気がします。
どっちがいいか、コメントしてくれると嬉しいです
実技試験を行うための場所を移動する。
集められた人は皆、準備運動を行っていた。当然僕もストレッチをしている。
そして、ついに試験開始の鐘が鳴り響く。その音とともに強烈な光で目が眩む。光が収まり、目を開けるとそこには先ほどまでいた学園の待機室とは打って変わり、辺り一面黄土色の空間に出た。どうやらここが試験会場である亜空間のようだ。
地面は坂道になっている。すると突然その亜空間内に声が響いた。
『この坂道を登ると、アクセサリが保管されている祠に到着します。その祠からアクセサリを取った時点のタイムが点数に変換されます。道中には仮想魔獣が存在しています。仮想魔獣から一定以上のダメージを受けると強制的に亜空間から退出し、失格となります。それでは頑張ってください』
その声を聞いた僕は、坂道を走り出す。今までの訓練のお陰もあり、基礎体力はかなりある。
道中の敵を無視しながら、僕は先へと進んだ。しばらく走っていると後ろから地面を蹴る音が聞こえてきて、何事かと思った僕は後ろを振り向く。すると、後ろからは先ほど無視した魔獣が群れを成し追いかけてきたのだ。
僕は少し焦ってしまった。しかし前を見ると、微かにだが遠くに祠のような物が見えた。
これなら魔獣を倒さずに祠へ行ってアクセサリを取ってしまったほうが早い、そう判断した僕は、後ろから追いかけてくる魔獣を無視してスピードを上げた。
この判断がいけなかった。そう思ったのは祠の前に着いたときだった。
確かに、祠はあるのだが、指輪である指輪に手を伸ばしたときに上から体調3Mはあるだろう大蛇が降ってきたのだ。
後ろからは魔獣の群れ、前には大蛇。完全に僕は囲まれてしまった。
僕はすぐさま双剣を構え、後ろに飛ぶ。大蛇との距離を置き、後ろの魔獣を先に倒してしまおうと考えたのだ。
凄い数の魔獣だったが、一匹一匹が弱く、敵をどんどん捌いていった。だが、やっかいなのは大蛇がたまに攻撃してくることだった。祠の近くから動けないようだったが、小石を尻尾で叩き飛ばしてくるのだ。それを避けて魔獣に当てたり、切り落としたりしながら、やっと魔獣の群れを全滅させた。
すぐさま大蛇に突っ込む。
すると大蛇は僕めがけて噛み付いてきた。その攻撃を左の剣で弾く。大蛇の顔は上を向き、胴体が見える。その弱点ともいえる胴体に右の剣で切りかかった。その攻撃を受け、若干怯んだ大蛇だったが、尻尾を振り回し僕を叩き飛ばそうとしてきた。だが、それを空中に飛ぶことで回避する。
「行くよ」
【石口流双剣術攻の型:龍牙】剣を逆手に持ち、敵を上から刺す攻撃。敵の攻撃を上に避けたときにカウンターとして使う技の一つだ。相手の動きが鈍い敵に対して効果的だ。
僕の攻撃は見事に大蛇に当たり、目を貫いた。そのまま大蛇は倒れこみ光となって消えていった。仮想魔獣特有の死に方だ。
祠に近づき、指輪を手に取った。その瞬間だった。パッと空間が歪み、景色は今までの黄土色の世界から見知らぬ部屋に出た。
その部屋は、高級感があふれていた。僕は何が起きたのか理解できずにいた。
「32分54秒」
後ろから声が聞こえた。僕は驚きつつも後ろを振り向く。そこには白髪、白髭で眼鏡をかけた年老いた男性がいた。その老人は僕の隣を通り過ぎ、椅子に座った。
「私はここの学園長だ。警戒せんでもいい」
この人が、校長……。道理でさっき気配が全然掴めなかったわけだ。
「君は優秀だな。亜空間攻略時間は歴代一位の速さだ」
「僕が歴代一位!?」
思わず大声を上げてしまった。このLiMACで歴代一位なんて、かなり名誉なことだ。例えそれが入学試験でもだ。
「今までの最高記録は37分34秒だ。君は大幅に上回った時間で攻略してくれたのぅ。君の将来が楽しみだ」
まさか、LiMACの学園長からここまでの言葉が貰えるとは思ってもいなかった僕は心の中では嬉しくてたまらなくいた。
「喜ぶのもわかるが、ここからの六年間真面目にやらなければ直ぐに追い越されることを忘れぬようにな。さて、その指輪は明日の試験結果発表に持ってきなさい」
「わかりました」
「以上だ。帰ってよろしい」
「あ、はい。失礼しました!」
そう言って僕は、学園長室を出た。
次の日、僕はまた学園に向かった。理由は勿論、試験結果発表を見るためだ。学園に入るといくつもの掲示板が存在していた。掲示板には合格者の受験番号ずらーっと並んだいた。僕の受験番号は1192番だ。
えっと1192だから、……1187、1188、1192、1196、1199……。
「あ、あった!」
自分の受験番号を見つけ、声を出してしまった。少し恥ずかしかったが、周りの人たちは全然気にしていなかった。僕の番号の隣には寮番号が書いてあった。このLiMACは全寮制の学園だからだ。僕は早速、校舎内に入った。そこには既に長蛇の列が出来ていた。しかし、結構回転は速いらしく、直ぐに自分の番がやってきた。
「失礼します。受験番号1192番石蓮です」
「入れ」
言われるまま僕は部屋に入る。
「昨日の指輪は持ってきたか?」
「はい、これです」
僕は鞄から指輪を出す。
「よろしい」
そう言って、校長がそれに魔法をかけた。その魔法によって、指輪は輝き、いつの間にかに僕の指にはめられていた。
「その指輪が学生証となる。この学園内のサービスを受けるためにはその指輪が必要だ。再発行は出来ないのでくれぐれも失くさないように」
「わかりました」
「それから知っての通り、明日には寮へと移り住んでもらうことになる。寮室番号は掲示されているので確認しておくように」
「わかりました」
「質問は?」
「ありません」
「では帰ってよろしい」
「はい、ありがとうございました」
それだけで終わった。道理で直ぐに自分の番が着たわけだ。
僕は昼食を食堂でとった。今日は美月と会わなかったのが少し寂しかった。美月が受かっているといいなと思いながら、宿屋に戻った。言っていなかったが、流石に自宅から受験するには遠すぎるので学園の近くにある宿屋に泊まっているのだ。僕は荷造りをして、明日に備えて早めに寝たのだった。
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