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始まりは大体こいつのせい

皆様の作品に感化され、頑張って書いてみました。

初めての作品なので、拙い所ばかりですが、それでも良いよという心の広い方は、読んで貰えると嬉しいです。


「姫、何処に行ってしまわれた!…ええい、見張りは何をしていた!」


城全体に響き渡るような怒声で、私の護衛兼友人のカルナが辺りにいる人に喚き散らす声が聞こえる。


ざまぁみろ。この日の為に、何日もかけて練った計画は、今のところ順調だ。


毎日毎日、姫の嗜みだのと言われ。礼儀作法に、勉強、果ては楽器の演奏?ふざけんな。


朝起きて、日が沈むまでみっちりと隙間もない程に予定が組まれ、遊ぶ暇もない。


忙しい癖に、退屈なのだ。逃げ出したくもなるでしょう?


まあ、そんな事はいい。この計画の目的地―――後宮にある古ぼけた書庫にある隠し部屋に走り向かう


何の目的で作られたのか?何故、誰もこの部屋の存在を知らないのか。疑問は尽きない。同時に、好奇心も尽きない


何故、隠されていたであろう?お父様や、お母様は知っているのだろうか。


…いや、知らないだろう。15年生きてきて、話題にすら上がらない。


それとなく、カルナや家臣達にも探りを入れてみたが、誰も書庫に近づかないのだ。知るわけがない。


昔から仕えている者達も知らない様子だった…そもそも、何故、この書庫に誰も近づかないのか?


特別な蔵書があるわけでもない。専門書や小説、絵本があるぐらいだ。


特別なことなど何一つない。唯の書庫。それだけで説明がつく。


私が隠し部屋を見つけたのも本当に偶然なのだ。


数日前、今日のように口煩い家臣達から逃げ出し

城の中にある人の出入りが全くない薄暗い書庫に逃げ込んだ時だ。


埃が詰まった本棚の間を歩きつつ、目についた本を

適当に読んでは戻す事を繰り返して歩いて時間を潰していた。


読み歩いて、部屋の隅にぽつんと、不自然に離れた場所にボロボロの本棚があるのが目に留まった。


他の本棚は、新品同様で、きちんと隣合わせに並べられているのに、壁にひとつだけ不自然に置いてある。


…何か、特別な蔵書を収めているのだろうか?と物色し始めた時に

本を取り出した隙間から、微かな隙間から光が漏れているのに気がついた。


この部屋に窓など一切ない。ならば、この光はなんだろうか。


中を覗いて見ようとしても、よく見えない。もっとよく見たいが、本棚が邪魔。


ならば、と棚から本を全て取り出し、なるべく音を立てずに本棚をずらしていく。


漸く本棚をずらして、部屋の全貌を見ると、何もない。先程の光も何時の間にか無くなっていた。


埃が床の上に積もり、更に天井には無数の蜘蛛の巣。はっきりいって、その時は心底がっかりした。


興奮が一気に冷めて、カルナ達をあまり怒らせるのもよくないと思い

戻ろうと決め、やり場のない気持ちを抑え、最後に部屋をもう一度見渡した時に、部屋の異常性に気がついた。


床の埃が、部屋の中心だけ円を描くように積もっていないのだ。他の場所は積もりに積もっているのに。


よく見れば、埃が積もっていない円は、何かの魔方陣のようだった。うっすらと光を帯びている。


誰も近づかない書庫。その書庫の中にある、誰も知らない隠し部屋。そして、謎の魔方陣。


興味が尽きない。もっとよく調べたいが、何時までも隠れているとカルナや家臣達が怒る。


とりあえず、急いで紙とペンを持ってきて、魔方陣を写す。そして、数日かけて魔方陣を解読、今に至る。


魔方陣を解読していく内に、現在使われている魔法とは、全く違う術式が複雑に組み合わさっていることがわかった。


古い言葉が使われていたり、複雑な術式を解読するのは、流石の私一人では無理で、カルナを付き合わせた。


二人してあーでもないこーでもないと、何とかわかった事といえば

召喚の陣だったということだけ。魔法の中でも、割とポピュラーとはいえ、何が呼び出されるのか結果を知りたかった。


カルナと二人でも、完璧に解読したわけではないのだ。しかも、現在使われている魔法とは、全く違う術式。術式が少しでも違えば、結果も違ってくるのだ。それが、全く違う術式ともなれば楽しみでしょうがない。


逸る気持ちを抑え、誰にも見つからずに隠し部屋にたどり着く。


魔方陣の中心に立ち、自分の手のひらを短剣で刺す。痛みに顔をしかめるが、我慢して次の段階へ移る。


手のひらから滴る血を、足元に垂らしながら目を閉じ、陣を発動させる為に朗々と詠う。


滴る血は、床に落ち陣をなぞる様に蠢く。

言葉を紡ぐ度、陣が光を帯びる。鼓動をするように、点滅を繰り返す

溢れる光は、不思議な暖かみを持って部屋を、そして、離れ宮全体を覆っていく。


額からは、汗が流れ出て、光に押しつぶされそうになりながらも詠い続ける。



「――――――我が呼び声に答え、来たれ!」



最後に叫んだ瞬間、凄まじい音が周囲に響き渡り、光が爆発した。

衝撃で、埃が宙を舞い、爆発の衝撃で書庫が大変なことになっていたが、この現象を引き起こした本人はケロっとしている。



「けほっけほ…せ、成功?ふ、ふふふ!さあ、出ていらっしゃい!」



視界を覆う煙と埃に咽ながら、何かが動く影が見える。何が出てきたのだろう?


早く、早く視界よ晴れてくれ。既に爆発音を聞きつけて、城中の人が此処にやってくる音が聞こえる。


内心、やばいなー逃げちゃおっかな?とか思っていたりするが

数日かけてここまで頑張ったのだ。結果を見たい。

…後始末はカルナに任せよう、うん。


ゆっくりと、こちらに向かって歩いてくる影。私は両手を広げて歓迎のポーズを取りながら叫ぶ


「さあ、出て来なさい!早くしなければ私が怒られ―――…え?」


「けほっ…けほっ…………? △×○ψд☆∀…?!」


スラリとした体躯に、夜の闇を映した様な、膝の辺りまで無造作に伸ばされた髪


つり目がちな大きい瞳は、空の色。整った鼻筋と、桜色の唇


同性の私ですら、見惚れる様な美しさを持った少女が、意味不明な言葉を呟きながら現れた。







読んでくださって、ありがとうございます。

若干誤字や文を修正しました。

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