異世界転移力士とスー女の恋
唯乃花翔馬こと加山翔馬は、あの日のことを決して忘れない。大相撲の若手幕内力士として横綱の夢を追い、いつも全力で相撲に取り組んでいた彼の日常が、一瞬にして異世界に変わった。その瞬間、彼は車に轢かれそうになった子犬を助けようとしたのだ。それが、彼の運命を大きく変えることになるとは、夢にも思わなかった。
突然異世界に飛ばされた翔馬は、相撲が盛んなこの土地で「唯乃花」の四股名のまま、大いに奮闘することに。異世界でも相撲が尊ばれることを知り、彼なりに力士としての誇りを胸に、毎日を過ごしていた。しかし、心のどこかにあの子犬を救えなかった自分が残っていた。彼は、まるでそこに閉じ込められたような気持ちだった。
数か月が過ぎたある日、翔馬のもとに一つの知らせが舞い込む。「新聞社から、挿絵担当の女性が会いたいという連絡が来ている」と。少し戸惑いながらも、「挿絵って何?」という疑問を追い払い、彼はその女性に会うことにした。
待ち合わせの場所に着くと、目の前に現れたのは、艶やかな黒髪をなびかせた美しい女性、牧野みなみだった。彼女の笑顔は優しく、そして、どこか親しみやすい雰囲気を醸し出していた。イラストレーターの彼女は翔馬よりも前にこの異世界に突然飛ばされ、今もなお自分の居場所を見つけようとしているのだという。
「……唯乃花さん、あなたも異世界に来てしまったの? 私、私、あなたの大ファンで、ずっと応援していたのよ! ……まさか異世界で会えるなんて……!」と彼女は涙ぐみながら話しかけ、翔馬の心にポッと温かい灯火がともった。この瞬間、翔馬は自分だけが苦しんでいるのではないことを知り、少しばかりの安心感を覚えた。
みなみとの会話は、いつの間にか心が通じ合うものとなり、お互いの境遇や気持ちを語り合う中で、強く引き寄せられるように感じた。みなみの夢や挑戦を聞くうちに、翔馬もまた彼女をサポートしてあげたいと思うようになった。
彼女が描く挿絵は、元々の画力に加え、異世界での不思議な体験が合わさって、どこか力強いタッチのものだった。彼女に負けないように翔馬も自分を力強く表現したいと感じるようになっていた。彼らのコラボレーションは、ただの仕事を越え、友情、そしてお互いへの特別な感情へと変わっていく。
日々が過ぎ、共に過ごす時間が増えるにつれ、翔馬は彼女に恋をすることに。相撲での勝利だけではなく、彼女の笑顔を守ることが自分の大きな目標だと思うようになった。彼は、みなみと一緒にいられる世界を守りたい、その思いが日々強まっていく。
異世界転移によって運命が大きく変わった彼ら。しかし、これは新たな出発に過ぎなかった。大好きな相撲を通して、二人の絆はさらに深まり、新たな未来を描くことになるのだった。
翔馬とみなみの物語は、異世界で始まった恋の物語として、多くの人々に語り継がれることとなるだろう。




