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転生ゲーマーは無限レベルアップで成り上がる!  作者: おさない
第三章 王都の破壊者ルッタ
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第78話 二度目の感動の再会です!


 ――ヴォルスとネクロスの戦いは、明け方まで続いた。


「ぐッ、ガあぁアアぁああッ!」


 日の光が王都を照らし始めたその時、ヴォルスの一撃を受け続けたネクロスが突如として苦しみ始める。


「ようやく終いか……」


 自壊していく魔人の姿を見たヴォルスは、どこか寂しげにそう呟いた。


 何故か彼の上半身は裸であり、鍛え上げられた逞しい筋肉が露出している。


 おそらく、長きに渡る戦いで衣服が弾け飛んだのであろう。


「……二人とも、助力に感謝しますぞ」


 魔人との戦いに勝利したヴォルスは、背後へ振り返って言った。


 そこには、魔導騎士団総長のロゼッタと、近衛騎士団総長のレオンが佇んでいる。


「礼には及ばないよ。……でも、もう二度とあんなのの相手はしたくないな」


 そう答えたレオンの顔には、疲労の色が見えた。


 彼は主にネクロスが召喚し続けるアンデッドの数減らしを担当していたが、一晩中戦い続けたのでかなりうんざりしている様子だ。


「まったく、アンタも魔人も、中途半端にしぶといねぇ……。加減してやってるこっちの身にもなっておくれよ」


 一方、ロゼッタは呆れた様子で言った。


 火、雷、氷の三属性を操る彼女の魔法は天候を変えてしまうほどの威力を誇る。


 しかし、王都の中心で全力を出せばかえって被害が拡大してしまうため、基本的に使用を制限されているのだ。


 彼女が大人しくそれに従っているのは、今のところ王国との利害関係が一致しているからに他ならない。


 加えて、同等の力を持ちながら王国への忠誠を誓うヴォルスという抑止力の存在も大きいだろう。


「お互い、守らなくてはならないことが多いと大変ですな」


 そう言ってヴォルスは微笑んだ。


「ふん……アタシは疲れたからもう帰るよ。後始末は若いの二人でやんな」


 ロゼッタは足元へ魔法陣を展開し、一瞬にしてその場から消え去る。


「若いの……二人?」


 きょとんとした表情で呟くレオン。


「ハッハッハッ! よろしく頼みますぞ、レオン殿!」


 ヴォルスの豪快な笑い声が、一帯に響き渡るのだった。


 *


 召喚主であるネクロスが倒されたことで、王都に蔓延っていたアンデッドは消滅した。


 王国騎士団やゲーム・ピコピコ教団の尽力によって人々の避難や救助も済んだため、ひとまずの危機は去ったと言って良いだろう。


 王都に再び平穏が訪れたのである。


 ――そして、訓練場から無事に救助されたルッタとリリアは、王宮前の広場にて母との感動の再会を果たした。


「お母さまっ!」


 リリアは救護隊の天幕から出てきた母の姿を見るなり駆け寄って、勢いよくその胸に飛び込む。


「リリアっ! 無事で本当によかったわ……っ!」


 ステラはそんな彼女のことをしっかりと抱きしめ、涙を流した。


「怖い思いをしたでしょう? 本当によく頑張ったわね……っ!」


「ぐすっ……でも私……お姉さまなのに……ルッタちゃんのことを守ってあげられなかったわ……っ!」

 

 涙ぐむリリア。


「僕は生きていますが……」


 感動の再会イベントを黙って見守っていたルッタは、やんわりと抗議する。


 ステラはそんな二人の頭を優しく撫でながら言った。


「二人とも無事でいてくれたんだから……それで十分よ」


「……そうですね、お母さまの言うとおりです。リリア姉さまは今回の一件で更に最強へと近づいたので、何も問題はありません!」


「……そういう話ではないけれど」


 ステラは苦笑しながら続ける。


「でも、よくリリアのことを守ってくれたわね。偉いわよルッタ」


「HPの低いキャラが戦闘不能にならないよう注意するのは当然のことですよ! リリア姉さまのことは僕に任せてください!」


 ルッタは胸を張って答えるのだった。


「ルッタちゃん……っ!」


「うふふ、頼もしいわね」


 ちなみに、アルルー家の人間は皆、ルッタとの会話をまともに成立させる特殊技能を会得している。


 長年関わり続けた結果、彼の言動の余計な部分を除去して意図を汲み取ることができるようになってしまったのだ。


 本来であれば、セレーヌのによる洗脳がなければ不可能なことである。


「うふふ……子供たちが無事で良かったですね、ステラ」


 ――その時、三人の前にセレスが姿を現した。


「セレス隊長のお力添えのおかげです……! 本当にありがとうございますっ!」


 深々と頭を下げるステラ。


「うふふ……礼には及びませんよ。全ては神の思し召しなのですから」


「…………っ!」


 柔和な笑顔を浮かべる彼女からただならぬ気配を感じ取ったリリアは、母の後ろへ回って身を隠す。


「神の奇跡を信じなさい、ステラ。貴女は神に選ばれた特別な人間なのですから……!」


「は、はあ……分かりました」


 隊長の普段とは違う言動に困惑しつつも、ひとまず頷いておくステラ。


「私は気づかされたのです。神はすぐ近くに居ると……!」


「た、隊長……?」


 どうやら、セレスはほぼ完全に洗脳されてしまったようだ。


 恐ろしい限りである。


「ともかく……今回の事件はこれにて一件落着ですね!」


 ルッタは自身がセレスから並々ならぬ熱視線を向けられていることに気づかず、能天気にそうなことを言うのだった。


(……あれ、でも何か忘れているような)


 ノクト教団が彼の経験値となることは、永遠に無くなってしまったのである。

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