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第123話 賞金首の皆さんに反省してもらいます!


「……うーん?」


 ルッタと会話していた途中で何故か意識が飛んでしまったバルザールは、冷たい床の感触で目を覚ます。


 何が起こったのかよく思い出せず、困惑するバルザール。


「残念ですが……バルザールさんとはここでお別れですね……」


 彼の視線の先には、悲しそうな顔をしながら自身の体を縄で縛りつけているルッタの姿があった。


「えっ」


 どうやら先ほどの会話でやる気なしと見なされ、冒険者ギルドへ突き出されることが決定してしまったらしい。


 一瞬の隙に攻撃を食らい、意識を刈り取られてしまったようだ。


「なんですかこれはっ!?」


 驚愕のあまり叫ぶバルザール。


「さようなら、バルザールさん……牢屋に入ったら、ちゃんと反省しなければダメですよ……?」


 ルッタはスライムを返した時と同じくらい悲しそうな顔をしながら、しっかりと彼のことを縄で結んだ。


「うぐっ!」


「それでは……行きましょう」


 懐から端末を取り出し、ギルド本部へ転移する準備を進めていく。


「ま、待ちなさいっ! 今まで散々協力してあげたのに、使えないと判断したら即座に切り捨てるのですかッ?! 恥を知れッ!」


 体を動かし、全力で叫ぶバルザール。


「クリーンスライムの面倒は僕が頑張って見ることにします……秘密基地で飼えばたぶん大丈夫です」


 しかしルッタの心は揺らがない。


「人の話を聞けぇッ!」


 必死の抗議も虚しく、破滅の時が近づいてきているようだ。


「だいたい、今さら私を突き出したりなんてしたらお前もタダでは済まないぞッ! 私はお前に匿われていたと言いふらすからなッ! 絶対に道連れにしてやるッ!」


「そうなってしまったら……仕方ありませんね。僕にも牢屋に入ってもらいます」


 彼はルッタツーのことを頭に思い浮かべながら答える。


「変なところで潔くなるなッ!」


 ――実際のところ、ルッタに匿われていたなどと証言したところで信じる者は居ないだろう。やはり頭のおかしい奴だと言われ、バルザールの方が惨めな思いをするだけである。


「あの女――セレーヌはいいのかッ?! 邪教を渡り歩き、人々を恐怖に陥れる大罪人だぞッ!」


「……そうですね。やはり、みんな牢屋に入って罪を償うべきなのかもしれません!」


 倫理観が芽生えたのか、そんなことを口にするルッタ。


「賞金首クエストはちゃんと捕まえて冒険者ギルドに引き渡さないと、クリアした判定になりませんし……!」


 あるいは、単純にゲームをコンプリートしたいという欲求からくる発言かもしれない。


「でも、スライムみたいになれるセレーヌさんを縄で縛るのは難しそうです……! 箱のようなものに詰め込むしかないのでしょうか?」


「この人でなしが……ッ! 道理に反する化け物めッ! 頭に何が詰まってるのか開いて見てみたいものですよッ!」


 怒りに任せて罵倒するバルザール。


 普段のルッタであれば「ひどいです……」と言って涙目になるところだが、今回は違った。


「――そうです!」


「は?」


「その手がありました!」


 彼の瞳がキラキラと輝く。


「バルザールさんやセレーヌさんを仲間にしたまま、ギルドに引き取ってもらうことが出来るかもしれません!」


 どうやら、突如として画期的なアイデアを閃いたらしい。


「こうしてはいられませんよ! 早速、賞金首の皆さんを集めましょう!」


 彼はそう言って、バルザールを放置したまま何処かへ転移する。


「……せめて縄を解いてから消えなさい」


 彼の呟きが、暗い地下室に虚しくこだました。


 *


 ――それから、ひと月が過ぎた。


 湖上都市ペンタグラルの冒険者ギルド連盟本部は、いつもの喧騒を失っている。


「賞金首の皆さんを連れてきました!」


 ルッタ――もとい【神出鬼没】のルーテが、腰縄をした賞金首たち四人を引き連れてやってきたからだ。


 狂気の錬金術師バルザール、元ノクト教団白の背教者(イノセント)のセレーヌ、血装束ブラッディ・ローブのラヴェルナ、緑の魔女(ヴェルデ・ウィッチ)アルルネ――ギルドの賞金首リストに名を連ねる凶悪犯が目白押しである。


 彼らは騒ぎ立てたり暴れたりする様子もなく、ただ不気味に笑っていた。


「おいおい……どいつもこいつもBランク以上の賞金首じゃねぇか……!」


「あんな適当な縄で縛って大丈夫かよ……」


「一斉に暴れられたらとんでもないことになるぞ……!」


「おお、あれが我が主……!」


「あのガキが一人で捕まえたのか……? 嘘だろ!?」


「ルーテ様すてき……!」


 冒険者たちは恐怖と好奇心の入り混じった目で一人の少年と四人の凶悪犯たちを観察する。


「…………っ!? す、すぐにギルドマスターを呼んできますっ!」


 受付のお姉さんは顔を青ざめさせ、ガタガタと震えながら叫ぶ。そして、足をもつれさせて転びそうになりながら、逃げるようにして奥へと入っていくのだった。


 その様子を見届けたセレーヌは、くすくすと笑う。


「何だかこういうのってぇ……楽しい気持ちになりますよねぇ……!」


 その後、賞金首たちは無事に引き渡され、ルッタは大金を手にすることとなったのである。


 ――おそらく、彼らは闇ギルド等に関する情報を聞き出された後で処刑されることになるだろう。

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