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転生ゲーマーは無限レベルアップで成り上がる!  作者: おさない
第四章 目指せ無限レベルアップ
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第104話 幻夢流道場、完全崩壊


 ルッタがレベルアップした喜びを噛みしめていたその時、突如として広間の扉が物凄い勢いで開け放たれる。


「ラオは居るかッ!?」


 そう叫びながら中へ突撃して来たのはハオランであった。無事にワンリーを倒して安らかな眠りについたはずの彼だったが、つい先ほど目を覚まし、恐れおののく門下生たちを吹き飛ばしてここまで走って来たのである。


「……少し遅かったのう、ハオラン。その男ならルッタがもう倒してしまったぞい。ふぉっふぉっふぉ」


 師範は笑いながら彼にそう告げた。


「おかげで僕もレベルアップできました!」


「なんだって……ッ!?」


 ハオランは驚愕の表情を浮かべる。


「となると……オレはルッタと闘えばいいのかッ?!」


「どうしてそうなるのじゃ」


 即座にツッコミを入れる師範。


「今はそんなことをしている場合ではありませんよっ!」


 これに関しては、流石のルッタも否定するようだ。


「ちゃんとまわりを見てください、ハオラン!」


「まわり……だとッ?!」


 言われるがままに広間を見回すと、そこには呆気に取られている幻夢流の実力者たちがずらりと立ち並んでいる。


「まだ雑魚敵が残っています!」


 やはり、ルッタにも良識があるわけではなかったらしい。悲しい限りである。


「なるほどッ! この人たちがオレと闘ってくれるというわけだなッ!」


「そうです!」


 満面の笑みでそう答え、門下生たちに取り囲まれているハオランの隣へ駆け寄って拳を構えるルッタ。


「それなら、あまり待たせるのは失礼だッ!」


 気合十分のハオランも、気を高めながら構えを取る。


 残念ながら、彼らはお互いで潰しあうことなく普通に共闘するつもりのようだ。


「う、嘘……だ……!」


「化け物が……二人に……っ!」


 幻夢流の実力者の方々にとってこれほど絶望的なことはないだろう。中には恐怖のあまり逃げ出す者や、気絶する者まで出始めている。


「背中は任せたぞッ、ルッタ!」


「範囲攻撃に巻き込まれたくないので嫌です!」


 言いながら、ハオランの元を離れて再び魔力を高め始めるルッタ。


爆破エクスプロードッ!」


 彼が魔法を放つたびに数人が吹き飛び、


超絶ちょうぜつ最強さいきょう無敵むてき破壊拳はかいけんッ!」


 ハオランが拳を振るうたびに数人が壁にめり込む。


「ぎゃああああああああああああッ!」


 一人残らず経験値にされてしまった実力者たちの悲鳴が広間にこだました。


 戦いの余波によって建物も完全崩壊し、最後まで立っていたのは満足げな清々しい笑顔を浮かべた二人の怪物だけだったらしい。


 *


「……さてと、わしは帰るとするかのう」


 安全な中庭に避難して一部始終を見届けた師範は、全てを受け入れた表情で歩き始める。


「そうですね、ひとまず帰還しましょう!」


「帰ったらオレと戦うぞッ! ルッタッ!」


「わかりました! どちらが勝ってもレベルアップですね!」


 その後には制御不能の怪物たちが続く。


「まったく、元気じゃのう……」


 道中、彼は悲惨な姿で倒れているワンリ―の近くを通りがかった。


「――ワンリー、お主も来るか?」


 彼はいつもの調子で問いかける。


「……ご冗談を……あなた方には……ついて、行けません……」


 大の字になって青空を眺めながらそう答える彼の表情は、どこか晴れやかであった。ハオランに殴り飛ばされたことで新たな境地に至ってしまったのかもしれない。


「そうか。ではさらばじゃ。……気が向いたらいつでも顔を出すのじゃぞー」


「さようなら、師匠。もう二度と会うことはないでしょう」


 静かにそう告げるワンリーの声に、恨みの感情はこもっていない。ただ穏やかな諦観があるのみであった。


「オレは闘いたくなったらまたここに来るぜッ! よろしくなッ!」


「来ないでくれ」


 ハオランに対しては明らかに本気の拒絶である。


「僕もアイテムを回収しきれていないので、また来ますね!」


「……お前たちを仕留められなかったことが……残念でならないよ」


 共に過ごした時間は短かったが、ルッタもそれなりに嫌われていた。


「ひどいです……! 流石は裏切り者キャラですね……!」


「もう、来るな……」


 ハオランとルッタに対しては、若干の恨みが残っているようだ。人として当然の反応である。


「二人とも何をしておる。ワンリーは疲れて会話どころでは無いようじゃから、さっさと引き上げるぞい」


 流石の師範も、ワンリーを気遣ってそう言った。


 かくして、師範を含む三人は道場を好きなだけ荒らして立ち去ったのである。


「……奥義は……自分で考えるもの……か」


 一人残ったワンリーはゆっくりと目を閉じながらそう呟いた後、やがて大きく見開き言った。


「あれは武術でも何でもないだろ!」


 ――ちなみに、この後駆けつけた衛兵によってワンリーは町の騒ぎの濡れ衣を着せられ、危うく投獄されそうになってしまうのだが、それは関係のない話である。

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